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狐面は伊達じゃ無い!  作者: 遮二無二
2章 集結!二人の男!
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第12話 Wの災難/追放される者

2章プロローグです。

 ウィリアム=マクスウェル視点


「お前に試練を与えようウィリアム。お前ももう12歳で成人だろう。一人で離島に行き、祠に供物を捧げるのだ。船は村の物を貸してやる」


 ()()()父が言っていた事をふと思い出す。

 俺の故郷では男の子が成人を迎えたとき、10㎞離れた離島にある祠に祈りと供物を捧げる風習がある。

 そこまで船を使い、一人でたどり着き、戻ってくるのが成人の証しとされている。

 そして俺は()()()()


 村の共同用の船の一部が劣化していたのか破損してしまい、海のど真ん中で船の底から浸水が始まった。

 そこまでならまだ良い。

 俺は10㎞程度なら何とか泳げるからだ。

 しかし、そこで巨大な海の魔物が現れた。

 俺は船を尾で叩き上げられ、船はバラバラになり、俺は高く空に投げ出される。

 俺はそのまま落下して、海面に強かに叩きつけられた気絶してしまった。

 幸い壊れた船の一部が引っ掛かり、俺は溺れる事はなかった。


 次に目が覚めた時は見知らぬ無人島だった。

 ある程度の広さがあり、暖かい時期は果実が実り、食べる物には困らない。

 しかし、島の一番高いところから周囲を覗いても島ひとつも無い。

 おおよそ半径30㎞には陸が無いのだろうか、そんな環境に放り出された俺は最初に脱出を試みた。

 流木を浮き代わりにして、海に出る。

 これが最初の計画だった。

 しかし、島の回りの潮の流れが異様に速く、筏が前に進まないで必ず島まで戻る。

 まるで監獄のような島だな……


 一年目。

 俺は次に救助を待つことにした。

 川で拾った石でナイフを作り、本格的な拠点を作った。

 島には凶暴な魔物もいるだろう。余り拠点から離れようにして、海で魚を取ったりして暮らそう。


 二年目。救助は全く来ない。

 俺は鍛える事にした。

 泳ぎ以外の運動が出来なく、この貧相な体では島を生き抜けないであろう。

 俺は逞しい肉体を持てるよう強く()()()()して鍛える。


 三年目。

 成長期だろうか? 俺の体はみるみる成長し、筋肉を着けていく。

 石槍や、石斧といった武器も作った。

 そろそろ島の森に入っても大丈夫だろう。

 森には大量の恵みがあったが、虫型や植物型の魔物が居たので、俺は手作りの武器で初めて魔物を殺した。

 昔の俺では考えられない。

 殺したので食べてみようとしたが、この島の虫型と植物型の魔物は毒があるらしく、とても食えたものでは無かったが、

 しかし俺は生きる為に時にはそう言った物も食べた。


 四年目、島の主と思われる大きな魔物を狩った。

 久しぶりの肉は涙が出るほど旨かった。

 大量の食料を手に入れる事が出来た俺は島を巡ってみる事にした。

 もう魔物も襲ってこない。

 どうやら俺がこの島の主になったようだ。


 五年目。

 なんて事だ。

 島の森の洞窟に生活していたであろう跡と綺麗な装飾をした、錆び一つ無いナイフを握りしめた白骨化した死体と手記が置いてあった。

 手記の持ち主は俺と同じくこの島に遭難し、数年暮らしたが、最後は絶望して自殺してしまったのだろうか?

 供養してから手記を読んでみるとそんなことは無く、更に最後に脱出のヒントが書かれていた。


「唯一脱出出来るチャンスの十年に一度の大時化(おおしけ)を私は逃してしまった。この島には常に島に向かって強い潮の流れが出来ている。しかし、大時化の時は潮の流れが無くなるようだ。しかし、この島にはまともな食料も無く、私の体は大時化を乗り越えられる体力はもう無いだろう。私の能力「促進」と命を持ってして、この島の命を育もう。この手記を見つけた人間がいたら希望を失わず生きて欲しい。後、どうか私の家族までこの手記を届けて欲しい。ドレン=ギルグッド」


 そして六年目、大時化の時である。



 アル=デジール視点


「悪いけどお前はパーティーから外そうと思う。理由は分かるだろう?」


 対魔ギルド狩人パーティーのリーダー格のダミアンが宣告する。

 同じパーティーである他の二人が何も言わないということは三人の総意なのだろう。

 重々しい空気の中で僕は呟く……


「はい……」

「そう……何故なら……」


 ダミアンはゆっくり告げてくる。


「お前は魔術師(ウィザード)なのに録に魔法が使えないからだよ!」


 そう、僕は魔術師なのに録に魔法が使えないからである。


「それだけじゃねーよ! お前は大食漢過ぎんだよ! なんだよ!? 俺ら三人分より食べるって!? お前は凄くチビなのに何処に入ってるんだよ! お前の食費だけで破産するわ!!」


「うっ……すみませんいつもお腹減っていてしまって……」


「驚異の四元素適正持ちと聞いたから仲間になって貰ったのに! 出来るのが火付け、飲める水生成、爽やかな送風に、土を少し盛り上がらせるってさあ……時々便利だけどさぁ……」


 ダミアンは疲れてきたのか喋るペースが落ちてくる。

 しかも少し泣きそうだ。


「頼むからよぉ……二つ隣のアルストって街に行って鍛えて貰えよ……狩人駆け出しの街って呼ばれてるから多少マシになれるんじゃねぇか……? 俺らもう無理だぜ……選別に少し金やるから、そこまでは気合いでたどり着いてくれよぉ……」


「はい……今までありがとうございました。またどこかで会えたら宜しくお願いします……」


「おうよ……俺らも強くなったお前をみるのを楽しみにしてるぜ……」


 こうして僕、アル=デジールは皆から見守られる形でパーティーから追放された。

はて?追放…?

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