第七話〜〜風VS雷〜〜
「オレはこれを使う。遠慮はしないぜ?」
そう言ってランペッジさんが構えたのは双剣『カラット・カラット』
特訓の時は、どれだけ頑張っても使わせることができなかった武器。
師匠が初めて認めた弟子に贈った一級品。
「わたしも全力で行きます」
そして。
「準備はいいか?」
「はい!」
前置きは終わり。いくぞ!
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開始と同時にランペッジさん動いた。
まるで雷が視界を走るかのような錯覚を覚えた。
いや、錯覚ではない。双剣『カラット・カラット』から雷が溢れだしている。スピードは今までの中で最高。様子見なんてしていられない!
「はっ!」
ランペッジさんの最初の一撃。大丈夫、見える!
キィンッ!
初撃は弾き、一気に決める!
「あぐっ!?」
武器を弾き、隙を突こうとしたが身体が動かなかった。
「これ……って……痺れて……!?」
「何をぼーっとしてる?」
「!?」
速い……! ランペッジさんが既に目の前にまで来ていた。わたしは風の魔法を使い距離を取る。
「ふむ。終わりか?」
「くっ……」
なんとか痺れは抜けてきた……あれは打ち合いの最中に受けたら終わりだ。回避一択!
「ふっ!」
風の魔法で身体を弾く。距離が一気に詰まり、射程圏内に入る。
「はっ!」
ランペッジさんが迎え撃ってきた。お互いに手の届く距離。ここからは全速全開……いくぞ!
ヒュッ!
「!」
ヒュッ!ヒュッ!
「おいおい……!?」
計三発、全て躱した。当然ランペッジさんに隙もできる。
「ふっ!」
「ちぃ!」
キィンッ!
金属がぶつかり合う音が響く。わたしの一撃。ランペッジさんの防御。雷による痺れはとにかく耐える。初めて対等に渡り合えた気がした。
「ふぅ……驚いたな。これも師匠の教えか?」
「それもありますが……友達のおかげです」
「そうか」
一旦距離を置き、そんな言葉を交わす。しかし、それも一瞬。
「行きます!」
「はっ! 来い!」
再び始まる風と雷の乱舞。
お互いの斬撃が空を切る中、徐々にその均衡が崩れ始めた。
「ふっ!」
「くっ!?」
惜しい。わたしの一撃がランペッジさんの服の一部を掠めた。あと少し……あと少しなのだが。
「やっぱりこのままじゃ……」
「はっ!」
ランペッジさんが攻撃を返してくる。よし……行く!
わたしは風魔法で身体を弾く。かつてないほどの速さで。
弾く……弾く……弾く!
的は絞らせない。見失った瞬間が狙いだ。
ヒュッ!
「まだ」
ヒュッ!!
「まだ……!」
超高速で動き続けるも、ランペッジさんの反撃は止まらない。もっと速く……もっと!
ヒュッ!!!
「なっ……!?」
「最後!」
ランペッジさんが一瞬、わたしを見失った。わたしは痺れることもお構い無しに全力の一撃を打ち込む。この壁を越えなければ一本取るなんて不可能!
「ふっ!!!」
「くっ!?」
キィィィン……!
いつかの再現。しかし今回は立場が逆。
ランペッジさんの武器は空に舞い。
わたしの武器はランペッジさんの首元へ。
「勝負あり……ですね」
「はっ……大したもんだ……」
一本取るまでもない……それで終わりだった。
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「はぁー……強くなったなぁ」
「ふふん! ありがとうございます!」
「師匠に認められたってんだから、一本取れなくても自滅してやろうと思ってたのに」
「あー! そんなことしたら一生恨みますからね!」
「はは! そんな余裕無かったけどな!」
わたしとランペッジさんは試練を終えてお互いにスッキリしていた。
「サトリも正式に双剣使いになれるわけか。これで……」
「ん?」
ランペッジさんが思わせぶりな表情で言葉を止めてしまった。
「なんですか?」
「いや、師匠に会ってからのお楽しみだな。もう行くんだろ?」
「はい。早く報告もしたいですし」
「そうか。オレもちょいちょい師匠の所へ顔出すからまた会うかもな」
「はい。だからどうってこともないですけど」
「ひどすぎる!」
「はは、冗談です。……ランペッジさん」
「ん、なんだ?」
ここまでこれたのはランペッジさんのおかげだ。だから……
「ありがとうございました」
たった一言。純粋な感謝の気持ちを兄弟子に伝えた。




