第五話〜〜確かな成長〜〜
氷の魔女である、ルノちゃんと討伐に行くようになってからカフェでの仕事……いや、生活そのものが楽しくなってきた気がする。
「あははっ! それでさー」
「ここ最近は当たり前のようにこの席に来ますね……」
「ぺらぺらぺらぺら! ……え?」
「いや、いいんですけどね」
現在、わたしはカフェにやって来たルノちゃんと共にコーヒーを飲んでいる。仕事中に。
「ところでサトリさん」
「うん?」
「明日も討伐に行くんですか?」
「あ、ごめんね。明日はちょっと予定があってね」
そう。ここ最近はルノちゃんと討伐ばかり行っていたので師匠との特訓はあまり出来ていないのだ。
「分かりました。なら明日はゆっくり過ごすことにします」
「うん。また次来た時に予定は決めよ!」
「はい」
明日は久しぶりの師匠との特訓。流石に気合い入れ直さないとな。
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そして特訓当日。
お馴染みの特訓場所にやって来たわたしは何気なく師匠に挨拶した。
「師匠、お久しぶりですねー!」
「ほんとだな。……なんかあったのか? なんだかご機嫌だな」
「そうですか? ……友達ができたからですかね?」
「おまえ……苦労してるんだな……」
「???」
え、なんでわたし可哀想な目で見られてんの?
「私は嬉しいよ、サトリ。おまえも頑張ってたんだな……」
「頑張ってた事は否定しませんけど誤解されてるような……」
「よし。なら久しぶりに腕を見てやる。かかってきな!」
「また突然ですね……」
そうして始まった師匠との特訓。双剣を使うのは久しぶりだな。
「ふっ!」
キィン!
挨拶がわりの一撃が弾かれた。相変わらず師匠は強い。
「はっ!」
お返しと言わんばかりに師匠の反撃が来る。
「!」
キンキィン!ヒュッ……!
「むっ?」
それに対してわたしは最初の二連撃を防御し、最後の一撃は身を引いて避けた。
「ふむ……ほんとに頑張ってたんだな」
「……? はい」
なんだろう。よく分からないが褒められた。
「よーし、それなら私ももうちょい本気で行くぞ」
「はい!」
よし、どうやら一歩前進したみたいだ!
「はっ!」
「くっ!」
キィンッ!
師匠の攻撃がさらに鋭くなった。わたしはたまらず距離を取る。
「守ってばかりじゃだめだぞ?」
「はい!」
流石に強い。だけどわたしはルノちゃんと討伐に夢中になっている間に思いついた事がある。
「よし。試してみよう」
「ん?」
ヒュッ!
「ふっ!」
「おっと!」
やっぱりこのままじゃだめか。難なく避けられた。そしてその隙をつくように師匠の反撃が来る。今だ!
わたしは風の魔法を発動させて自らの身体を弾いた。風による超高速移動だ。
「!?」
師匠の顔色が変わった……成功だ。わたしは師匠の背後まで移動し、一気に攻める。
「ふっ!」
「くっ!」
キィンッッ!
背後を取ったのに弾かれた。流石にこれだけでは届かないか。それなら!
「はぁぁぁ!」
右手・左手・右足・左足。身体のあらゆる部分を風で弾いてかつてないほどの超高速の連撃を繰り出す。魔法と双剣の併用。手応えはある……これならいける!
しかし。
超高速で動いている中、師匠は確かにわたしの目を見た。それも獲物を狩るようなとんでもない目で。これは……ヤバい……!
「はあっ!」
ギィィンッ!
「あ……」
気付いた時にはわたしの双剣は空高く舞い上がっていた。
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その後も何度か手合わせしたが結局一本も取れなかった。
「はぁ……はぁ……」
「ふぅ……。サトリ」
「はい……?」
「なんかあったのか?」
今朝と同じ質問。だか、今回は何となく意味は分かった。
「そうですね……友達……良い友達ができました」
「……」
「最近、一緒に討伐に行くようになってですね。その子も魔女なんですよ? どっちが速く倒せるかー! とか、どっちが沢山倒せるかー! なんてやってるんですよ」
「ふーん……」
「で、その子……あ、ルノちゃんって言うんですけど。ルノちゃんの氷の魔法は凄いんですよ? ふふっ!」
「サトリ」
「あ、すいません。つい……」
「良かったな?」
その師匠の一言にはいろんな意味が含まれているような気がした。とりあえず……
「はい、ありがとうございます」
そこで師匠は何やら考え始めた。
「うむ……そろそろか」
「何がですか?」
「サトリ」
「は、はい……」
なんだか怖いな。まさかクビ?
そのまま師匠は少しの時間を置いてこう言った。
「お前に試練を与える!」




