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プロローグ
草木の匂い。
水の音。
そして風の心地良さ。
あの時の事は今でも鮮明に思い出せる。
「今日までよく頑張ったな。ほら、持っていきな」
「ありがとうございます。師匠」
手渡されたのは緑色の透き通った武器。風がエンチャントされた双剣『カラット・カラット』
思い出されるのは師匠との特訓の日々。そしてあの人との勝負。それらの時間は確かに意味があった。肉体的にも、精神的にも、わたしは成長できた。
感謝しよう。師匠と、あの人に。そしてもちろん『あの子』にも。
この日、わたしは。
風の双剣使いとなった。