【エッセイ】旅行とか行ってないで、家でぼーっとしてる方がいいかもしれない
エッセイ的な何かです。
エッセイはまとめてどこかに隔離するかもしれません。
休日の朝。
起きてから、30分ほど布団の中でヌクヌクしていると。
ピーンポーン
チャイムが鳴った。
(誰だろう?)
布団からで玄関に行くと、友達の真希だった。
(あっ、そうだ。今日遊ぶ約束してた)
(って、俺パジャマ)
(でも、真希だからいいっか)
ガチャ
「おはよっ」
「うん、おはよう」
いつもながら、朝から元気な真希。
彼女の周りは空気は弾んでいる。
「あれ、着替えてないのぉ?」
「うん。さっき起きたとこ。今日は家で遊ばない?」
(部屋は…そこそこ綺麗だから良いかな)
「いいけど…」
「なら、入って入って、いいよ。外寒いでしょ」
「お邪魔しまーすっ」
「お邪魔してっ」
家の中に入ってくる真希。
俺の部屋の中に入ると…
「あー、布団片付けてないの?」
「さっき起きたとこだしっ。真希も休みなよ。お客さんの用のパジャマあるから。ええっと……はいこれ」
俺はタンスからパジャマを出して、真希に渡す。
そして布団の中に戻る。
(ふぅーあったかい。極楽極楽~)
(布団の中から出たくない)
(冬は寒い)
(一生布団の中にいたい)
「何でパジャマー?」
「パジャマの方が楽だよ。服にしわできるし。真希は、何着てもかわいいよっ」
「うーーーん」
と真希は唸りつつ、色々文句をいいながらも。
ゴソゴソゴソと着替える音がする。
大人しく着替えているようだ。
俺は布団の中で極楽モードなので真希の姿が見えない。
(まったりまったり)
布団と一体になっています。
(心地よいです)
暫くすると、近づいてくる足音。
そちらを見ると。
(おっ、ダボダボのパジャマ姿の真希)
(小さく見えてかわいいな)
(足首と手首に服がだぼついている)
「真希、似合ってるよ。ごわごわだけど。着られてるみたい」
「大きいもん。でも、着心ちいいね」
「手触りで選んだから。ほらっ、布団の中あったかいよ」
「寒い寒いっ、なんで暖房つけないのー?」
そう。
起きたばかりだから、暖房はつけていないのです。
「布団の中にいれば関係ないし。温度差が良いじゃん」
「さむさむっ」
ゴソゴソと布団の中に入る真希。
「ほんとだぁー、あったかいぃ」
「でしょ。真希のために、温めときました」
いっしょにヌクヌク。
一人増えたので温かいです。
人独特の体温です。
俺は目をつぶってぼーっとします。
真希もぼーっとしてます。
すると。
俺は時々やる空想ゲームをやります。
体が温まると、頭が働くのです。
頭の中で想像します。
家から出発して、どこまで移動できるか。
家を出て、駅に向かって、電車に乗っての移動を、全て頭の中で実行します。
簡単そうに見えて、これが中々難しい。
途中で想像が切れちゃうので。
頭の中での絵を続けるって事が中々困難。
「何考えてるの?」
「うん。空想ゲーム」
「何それ?」
俺は説明します。
頭の中で想像して、家からどこまで行けるか試すと。
「私もやってみよぉ」
「難しいよ。初心者、ビギナーじゃ、街からも出れないよ」
「出れるかもよっ」
「真希、頑張れっ」
じーっと目をつぶる真希。
多分、空想ゲーム中。
真希の顔を見ます。
まつげながいなーーとか。
変な耳の形してるなーとか、色々思います。
目を閉じている子は、不思議と清楚に見える。
暫くして目を開ける真希。
気になったので聞いてみる。
「どこまでいった?」
「隣町」
「ふふっ」
俺は思わず笑ってしまいます。
「うそでしょっ。初心者がそこまでいけないよ」
(うんうん。絶対無理無理)
(これ。本当難しいんだからっ)
「なぁー、行ったよ。電車乗ったよぉ」
「本当?」
「うん。電車に乗っていったぁ」
(マジか……)
「そうかー。因みに、駅の改札機は何個あった?」
「それは……ふた…つぅ?」
怪しげな顔をする真希。
自信なさそうな心を苦笑いで隠す。
「えへへ」っと軽く声が聞こえる。
(やはりか……)
「やっぱ行ってないじゃん。嘘つきじゃん。数が違うっ」
「いいのー。私の中では2つなの。2つでいいじゃん」
(くっ…とても疑わしい証言だ。うさんくさい)
「まぁ、真希がそう思うなら、それでいいじゃないすかっ。真希先輩っ」
「なぁーー。なんかやっ。本当だよぉ」
「信じてるよ。俺も空想ゲームに戻るから」
俺は目をつぶった。
そして頭の中で移動した。
家を出て、駅に行き、電車に乗る。
どんどん電車は過ぎて行き、隣街を過ぎる。
すると…
トントン
(なんだ、顔を触られている)
(感触がする)
(あっ。しまった……)
そこで空想が消える。
少しでも注意がそれると、空想の維持は難しいのです。
目を開けると、真希が俺の顔を触ってる。
ニコニコしてみてる。
(って、うそっ!)
「手、つめたぁーー」
「どこまで行ったのぉ?」
「隣町」
「じゃあ、私と一緒だねっ。同じぃ」
「違うよ。無理やり止められたから、違うよっ」
(絶対自分の方が遠くまで行ったはず)
(年季が違うから。初心者の真希とはっ)
(俺はこのゲームに関しちゃ、ベテランだっ)
「ねぇ、ジュースある?」
(真希は喉が渇いたようだ)
(頭使うとのどか湧くからね)
「冷蔵庫にあるよ。コーラとファンタグレープ。とってくるね」
「いいのに。私が」
「いいよいいよ。こっちの部屋だし。真希は布団の中で」
俺は布団から出てジュースとコップを持ってくる。
ついでにポテチとチョコも。
(ふぅー、寒い寒い)
コップにコーラを注ぎ、真希に渡す。
「はいっ。コーラ」
「ありがとっ。でもいいの?布団」
「いいよ。汚れたら洗うし。あっ、でも、こぼさないでね」
「こぼさないよっ」
両手でコップを持ち、チビチビ飲む真希。
「あっ、それとベッドの位置調整するから、気をつけて」
「うんん?」
俺はベッドの角度を調整します。
このベッド。
病院のベッドの用に、角度を調整できるのです。
ギギギーー ドシンッ
「きゃっ」
真希がビビルが、ソファベッドのようになります。
つまり、寝ていても自動的に上半身だけ起きます。
(ふぅーさむさむっ)
ササッっと真希が入っている布団に入ります。
そして。
布団から上半身だけ出し、ポテチとチョコを食べ、コーラを飲みます。
モグモグモグ
つまり、グダグダします。
(最高~。何もしないの最高~)
(ポカポカで気持ちいです)
(布団との一体感があります)
(一生ここから出たくない)
(布団に吸い込まれます)
(出れません)
(ここ最高~~~~)
真希と一緒にヌクヌクします。
お菓子とコーラを食べると意識が覚醒してきたので、お話しタイムです。
思いついたことを適当に話します。
最近、嬉しかったこととか 楽しかったこととか、世間話です。
真希は、よく分からない友達の話をし始めました。
「うんうん」という感じの話でした。
俺は、最近見た夢の話をしました。
夢の内容はこうです。
~~~~~~~~
夕方ホームセンターに行って、植物の種を買います。
※私の作品を読めば分かるかもしれませんが、植物がすきなのです。
その夜。
何故か間違って植物の種を飲み込みます。
翌朝起きると、手のひらから芽が出ています。
で。
学校に行き教室に入ると、皆、手から芽を出してます。
仲の良い友達が傍に来ると、何故か植物同士をぶつけ合います。
それがこの世界のコミュニケーションなのです。
それから淡々と授業が始ります。
~~~~~~~~
今思うと、不気味な夢です。
真希には笑われました…
(くっ…解せん)
そんなこんなで色々話していると、すぐに時間が過ぎます。
あっという間に2時間ぐらい経ってました。
話しているとすっきりしました。
少し話しつかれたので、それからお互い個人タイムです。
俺は図書館でかりてきた本を読み始めます。
真希はスマホでポチポチ。
ツムツムやったり、LINEとか、女の子がよく見てるファッション形っぽいアプリをみたり、色々やってます。
1時間ぐらいしてそれに飽きると、布団の中でイチャイチャします。
頭を撫でたり、抱きしめたり、腕を絡めたり、くすぐったりします。
ワチャワチャして、コロンっと位置が入れ替わったり。
馬乗りになったり、馬乗りにされたり。
布団の中から出ないようにするのが難しいです。
間違って足や手が布団の外に出ると、「きゃっ」「うわっ」「寒っ」と高い声をだします。
なんだか楽しくなってきます。
体もあったまってきます。
「おうおうおうぅ~」っと、真希もテンションが上がると、オットセイような声を出します。
真希の癖です。
甘い匂いと甘い雰囲気が立ち込め、なんだか自然と心の壁がゆるくなります。
普段は真希に全然女を感じません。
不思議と女って感じがしません。
よく分からないけど、何故かそうなんですよね。
別に彼女の見た目が女の子っぽくないというわけではないです。
普通に女の子ですが、まぁ、そうなんです。
それ故、凄くリラックスでき、仲良くできるのですが…
今は女を強く感じます。
だからこそ…
流れて……
心を重ねます。
終わると。
一部覚めた頭でジュースを飲んで、お菓子を食べます。
パンも食べます。
(まったりです)
少しお腹が減ったのです。
パンをかじりながら、ちょっと深遠とした気分になります。
頭が透き通ります。
なので、妙なことを口走ったりします。
「真希、怖くない?何もない一日が繰り返すと。ずっと部屋の中にいたら、いつの間にか、1日が3日。3日が1週間。1週間1年。1年が5年も10年も時間が経ったら?」
「うん?うん…」
「同じ所を行ったり来たりすると、ずっと往復してると、長い間同じ事をしていると、不安にならない?」
「そうかな……それでもいいよ。カチカチ時計みたいだしぃ」
「カチカチ時計?」
(なんだろう?)
(カチカチ山のたぬきだったら知ってるけど)
「うん?違った、音楽室にある奴…あっ、メトロノーム」
「あーあれね」
(ふむふむ)
(テンポを計る奴ね)
「見てると楽しいでしょ。針が行ったり来たりするのぉ」
「まぁ…確かに……」
「だから、いいよっ」
(そうか……そんなものなのかもしれない)
(ほとんどの人はそうやって生活してるわけだしね)
でも……
なんだかモヤモヤして不安なので、真希の手をとり、指を絡ませます。
中指から絡め、最後に小指を絡めようとしますが、彼女がちょこんと小指を動かして抵抗します。
(くっ、小生意気な……)
小指を動かしあってじゃれあい、追いかけっこします。
最後には小指を絡めて、ぎゅっと手を握ります。
子供の手の用に小さい彼女の手ですが、女性らしい柔らかな肉感があります。
真希の手を引いて、抱きしめます。
柔らかくて、わずかに汗ばんで、仄かにほてった体。
裸で抱きしめているのに、お互いの体温が近いためか、感触を感じません。
溶け合っているかのようで、まるで初めから一体だったかのようです。
肩に彼女の髪があたり、規則正しい吐息に耳を澄まします。
彼女の鼓動を感じます。
そのリズムを聞いていると……
(ふぅー、心が落ち着きます)
布団の中に包まれてたり。
ほっと一息つき、温かいコーヒーを飲んだり。
夜道をゆっくりと歩いたり。
色々心が落ち着く瞬間はありますが……
やはり、親しい人を抱きしめるのが一番です。
これに勝るものはありません。
(戻ってきたと思えます)
俺が抱きしめたの対応して、真希もぎゅっと手を回してきます。
抱きしめ合っていると、彼女を凄く近くに感じます。
身体的に触れているのは当たり前ですが、それ以上に、心に近づいているようにも思えます。
こちらの方が大事です。
彼女の雰囲気に包まれて、自分と彼女の境界線が曖昧になり、時間間隔がふわふわしてきます。
布団と一体となっている時同様、時間の進みが遅くなり、時が止まったような感覚になります。
そうして暫く。
布団の中で、僅かに汗をかきながら裸で抱きしめ合います。
汗が潤滑油のようになり、じわりと密着度を増させます。
時々小声で「好きだよ」「かわいいね」「ずっと一緒にいたい」と言いあったり、クスクスと笑いあいます。
手を動かして真希の背中を撫でたり、彼女の豊かな髪を触ったり、耳たぶをさすります。
「きゃはっ」っと、彼女がくすぐったいような、鈴のような声をあげて、体に僅かに力が入ります。
彼女の吐息が肩にかかります。
(心が落ち着きつつも、あわ立ちます)
柔らかな雰囲気と温かく柔らかな人肌で、真希の好意が伝わってきます。
自分の事が好きなんだと実感できます。
素のままの自分を受け入れてくれて、好きの気持ちが伝わってきてポカポカします。
通常では感じにくい、相手の感情が直に伝わってきて、心がジワジワします。
それはとても心地よく、社交的なものではなく、他では得がたいものです。
少しでも濁れば「嘘だな」と直感で分かってしまいます。
だから自分も、彼女に好意を伝えます。
素直に伝えます。
(この感覚は……)
(どんな観光地に行くよりも、高価なサービスを受けるよりも、漫画や小説を読むよりも、美味しいものを食べるよりも、心地よいのかもしれません)
時々唇を重ねます。
甘い味です。
ですが、何だかおかしくて、時々笑ってしまいます。
間違って唇を噛みそうになります。
(危ない危ない)
真希は「なんで笑うのっ」っとチャカしてきます。
しかし、なんで笑えるかは分かりません。
笑っちゃうものはしょうがないです
そうして2人だけの世界がより一層強くなり、何故か彼女の匂いも変わってきます。
世界には他には誰もいないと思えてきます。
2人だけの世界でいいと思えます。
何故か頭に浮かぶのは、夜空と星ぼしです。
夜空の下を、2人で手を繋いで歩いている映像です。
大きな月が出ている夜、夏の草原の夜空の下を歩きます。
それから暫くして……
一緒に布団に入りながらノートパソコンでネットサーフィンして、一緒に動画みたりします。
この時、自分がちょっと前から収集している秘蔵画像フォルダを見せました。
世界遺産、北海道、知床の画像フォルダです。
これを真希に見せ、色々お話しします。
※前に知床を舞台にした小説を書いていました。
植物とか、自然とか、動物の写真です。
心癒される、素敵な写真が多いんです。
「すぅー」と自然に引き込まれます。
最初はネットで画像や情報を集めていたんですけど、それだけだとどうしても行き詰まります。
情報少ないですし、知りたいことが書かれていません。
グーグルマップだと森の中はほぼ見えませんし、色々疑問も出てきますから。
そこで、現地、近くに住んでいる人に連絡を取り、色々話を聞いたり、写真や動画を貰いました。
※ネットだと連絡先を探しやすいので便利です
※又、表に出しにくい情報がありますし。ネットは自分で出そうと思った情報しかないので。
面白い話も聞けましたし、いくつかの疑問も解決しました。
やっぱり、ネット情報は当てにならないので、現地人&関係者に聞かないと難しいと痛感です。
変な方向に曲がってる情報が多いので。
一番は現地確認がいいんですけど、季節と時間の問題があるのが難点。
それで。
何がやりたいかという、知床の中の、ある部分に行って見たいなと思っていたんです。
観光地じゃないので、道も整備されていない。
それならば、自分で行くしかない。
陸路で行く場合は……
知床は車だと途中までしか移動できないようなので。
森の中を歩くのは距離があるので、オフロードバイクで森の中を突っ切るのが一番楽そうです。
高低差がきつそうなので、機動性が高い軍用バイクがいいですね。
AMD搭載のChristini Technologies Incとかがいいですね。
軍用バイクなので、米軍払い下げオークションか、一般仕様のバイクをカスタマイズするかしないといけません。
しかし、知床の地形によっては国産のオフロードバイクでも大丈夫かもしれません。
それで撮影はドローンですね。
最近のは、3km程まで通信できて、20分ぐらいバッテリーも持つようなので。
ドローン自体も1kg程と軽いので背負えます。
海から行く場合は…
地元の漁師にお金払って頼むとかですかね。
それか、小型船かジェットスキーで目的の海岸まで近づいても良いですが。
森の中の移動で歩くのは面倒なので却下ですね。
でも、知床半島をぐるっと船で一周するのは楽しいかもしれません。
それに、ちょっと潮に流されたりすると、ロシア国境警備隊に捕まるらしいから注意です。
北方領土が近いですので。
後、ヒグマもですね。
何か対策がいりますね。
鈴とかですかね。
とまぁ、色々考えておりました。
そんなこんなで……
真希に知床の魅力を熱く布教して、「一緒に知床探検に行こうっ!」と語ったのですが…
(んん…反応が……悪い)
(小キツネとかの写真を見て「かわいいっ♪」と喜んでたのに、探検の話になるとガランとしだす)
(食いつきが悪い……)
(なんでだろう……)
(というか、女の子に話すとあまり受けない気がする)
(おかしいなぁ~。知床探検はワクワクすると思うだけどな……)
(植物と旅行好きな女の子は多いので、知床探検も同じだと思うんだけど…)
(植物と旅行好きの行き着く先は…探検しかないはずなのに……)
(何故だろう?)
と色々思いつつ。
それから。
ポテチを食べて。
イチャイチャして。
心を重ねて。
少し寝て。
偶にキスしたり。
ネットを見て。
お話しして。
時々、部屋の植物に水をあげて。
トランプのスピードやジェンガやったりして。
こんな感じで、ゴロゴロします。
全て布団から出ずに行います。
変な汗をかきます。
しかし……
(布団の吸着力が強いっ!)
(ここから出たくないっ!)
(出れませんっ!)
(一生暮らしますっ!)
(布団キングダムですっ!)
いや、出ましたね。
昼食の焼きソバをつくるためにでました。
鍋で野菜とお肉をいためていると、冬なので煙がすごいです。
出来上がった料理は、豚肉とキャベツが美味しかったです。
で。
昼以降も同じです。
布団から出ずに真希と過ごします。
部屋の外からは、色々音が聞こえます。
近所のおばんさが道端でしている世間話の声。
色々褒めあっています。
小学生ぐらいの子供達の元気の良い声。
「こっちだょおお!」「まってぇえー!」「ふぇえええーー!」と高い声と奇声が聞こえてきます。
音からして、ボールを持ってどこかに遊びにいくようです。
多分、近くの公園でしょう。
時々公園で子供が遊んでいる姿を見かけるので。
というか、この声知ってる子です。
前に飛んできたボールを返してあげました。
おばさんも知ってる人です。
近所なので当たり前ですが。
又、時々、ブーンと車が通る音が聞こえます。
どこかに向かっているのでしょう。
日常の生活音です。
外では皆活動的です。
そんな中。
俺と真希は布団から出ません。
布団の中でヌクヌクします。
小さな世界に閉じこもります。
ひたすらポテチを食べて。
イチャイチャして。
心を重ねて。
少し寝て。
偶にキスして。
お話しして、ネットを見てうとうとします。
カーテンも下ろしています。
光が微妙に入ってくる部屋の中でヌクヌクします。
そんなことをしていると…
(おっ、いつのまにか、窓の外が真っ暗)
(時計を見ると19時か……)
(10時間ぐらい経ってました)
(時間が過ぎるのが早いっ!)
(早すぎっ!)
(ってヤバイ。なんもやってないよ)
(いや、色々したけど…実際何もやってない……)
(堕落してしまった…)
横ではスースーっと真希が寝ています。
気持ちよさそうです。
俺は重い頭で、目を開けたり、閉じたりします。
(目を閉じても暗く、目を開けても暗いです)
(そのためか、目で見た世界と頭の中での世界の一体感を感じます)
(シーンとして、時が止まった感じがいいです)
(世界の時間がとんでもなく遅くなった感じです)
(夜に溶け込む感じ)
(何の音も聞こえない)
(いや、時より、ブォオオオオーンという車の音や、ジュジュジューッと冷蔵庫が動く音)
(ノートパソコンのブーンという、ファンの音が聞こえます)
(パソコンの画面は暗くスリープ状態。自動で入っている不思議な模様が映っている)
(………)
(この世界に自分一人しかいない感じがする)
(それが落ち着く)
(山に行った時の感覚と近いけど、こっちの方が音は多いかな)
(生活音はどうしてもする)
(山では、本当に何の音もしなかったけど)
(それに、布団の中でヌクヌクして気持ちが良いです)
(まったりします)
(心地よい世界で、たった一人の世界)
(一人だけど、孤独感も感じず、安心して心地よい世界)
スースースーっと、隣から寝息が聞こえる。
(いや、真希も隣にいるから……)
(なら、2人しかいない世界か)
(世界に2人しかいないと感じるからこそ、彼女の雰囲気、世界観を強く感じます)
(いつもは他のものが覆いかぶさっていますが。今はそれがなく澄んでいます)
そんな高尚で、詩的で、ピュアで、センチメンタリズムな気持ち。
孤高のブルジョワ小説家のような気持ちで。
妙に澄んだ心で真希の髪を撫でると。
ピクッ
真希が目を覚まします。
(うおおっ!!)
(ビックしたっ)
(ピクッてしたぁ)
(体が動いたっ!)
真希は寝起きの、とぼけた顔をしています。
まどろむ瞳と、ほわっとしたゆるい表情。
目をシュパシュパさせていて。
凄くアホっぽいっというか、猫っぽいです。
(親近感を抱くといいますか、愛らしい雰囲気です)
(綺麗なモデルさんのように刺激的ではないけれど、ほっとします)
(その姿を見ていると、ふっと脱力し、心が温かな風で満たされます)
今日は寝ても起きても隣に真希がいたので、親近感があるというか、スマホみたいです。
いつも傍にいました。
これから2人きりで、40年くらいなら暮らせそうな勢いがあります。
(しかしアレです)
(真希が醸し出す空気が心地よく感じ始めました)
(これが愛着なのかもしれません)
「あれっ、暗いっ、暗いっ。なんでぇ?」
「19時っ」
「えっ、そんなに経ってるのぉ?さっきまでお昼だったのにぃ」
「ビックリだよねー」
「一日終わっちゃう」
「まだ、5時間あるよ」
「もうぅ、今日どこにも行けなかったねぇ」
「今度行こっか?それか、今から行こっか?夜桜が綺麗なとこあるし」
(実は最近、偶然夜桜スポットを発見したんです)
(植物周りは、なるべくチェックしています)
そんなこんなで、再び心を重ねます。
そして。
布団から出て、部屋の外に出ました。
2人の空間から外に出ました。
具体的には、夕食を食べに行きました。
久しぶりに出た外は (といっても、昨夜の睡眠時間をいれれば20時間ぐらいぶりですが)、何だか違って見えました。
いつもより静かな夜に思えました。
気のせいか、すぅーっと空気が澄んでいました。
頭もすきとおっているので新鮮です。
いつもと同じ街並みなのに、違って見えました。
どこか透明感が強く、綺麗な光景です。
歩いているだけで、なんだかムズムズ楽しくなってきます。
心が沸き立ってきます。
不思議な感覚です。
特に何もしていないのに、心が躍ります。
隣にいる真希も、いつもと違って見えました。
見た目は同じなんですが、印象が違うというか…澄んで見えました。
意外ですが、ちょっと上品に見えました。
◆
夕食後。
寒空の下、真希と一緒に夜桜を見に行きました。
夜の月の光の下、細い枝と、うすい白とピンクがかった桜の花が写ります。
儚さと綺麗さを感じ、少し不気味でしたが、夜の冷たい空気と澄んだ空間にマッチしています。
そんな木の下で、2人して白い息を弾ませます。
「桜、綺麗だね」
「ちょっと不気味だけどね」
「そう?」
「うん。真希は感じない?」
(桜は色を吸い取りそうな花です)
(薄い色で綺麗ですが、何かが足りない)
(完成途中のような美しさです)
昔の人が、桜の下には死体があるといったのも、同じ気持ちからかもしれません。
不気味で色が足りない。
赤色が足りない花。
なら、桜の下に死体でも埋まり、花が血を吸っていれば、桜の花が完成するかもしれないと。
前、桜を見たときは何も感じませんでしたが、今は強くそう思いました。
「うん。ちょっと怖い」
真希がブルッと震えるので、彼女を安心させるために手を握ります。
食後なので温かいですが、夜風でちょっと冷たい小さな手でした。
今日布団の中で何度も握った手なので、すっと収まりました。
元あった場所に戻ったような感覚で、落ち着きます。
ずっと握っていたい手です。
離したくありません。
真希の手を握ると、今日のことが蘇ってきます。
布団で過ごした感覚と記憶が。
2人だけの世界観が戻ってきます。
小さな2人だけの世界ですけど、それが少し大きくなった気がします。
夜の暗さと、幻想的な桜の効果かもしれません。
そこで思いました。
(特に話すような、派手なことは何もなかったけど……)
(こういう日も悪く無い)
(日常が良いという言葉を時々聞くけれど、こういう事なのかもしれないと)
そんな日常の一日でした。
ずっと同じ部屋にいて、のんびりしていましたが、心地よい日でした。
◆
その後。
近くの森に行きました。
「ここにいるの?」
「もうすぐ~もうすぐ~」
スルッ
「ニャーン」
黒猫が寄ってきます。
「ニャ、ニャーン」
もう一匹寄ってきます。
「ニャーン」
さらにもう一匹寄ってきます。
「うわっ、本当にいっぱい来たぁ」
「いったっしょ。ここ、猫がいっぱいいるの。多分、誰かが餌付けしてる」
「ペットの皿~」
「そうそう。毎回キャットフードがつまってる。しかも新し目」
俺は黒猫によって撫でる。
「よしよし~よしよし~」
(かわいいな。心が和む)
「全然逃げないねっ」
「ここのは普通に触れるんだよ。何故か。はいっ、猫ちゃん」
猫を抱っこして真希におしつける。
「うわっ」
ビクッと猫を持つ真希。
「ヌクヌクで柔らかいでしょ」
「うん。ちょっと重いかもぉ」
「そうだね」
俺は真希から猫を取り上げる。
「あっ、なんか黒いの来たっ!」
真希が指差す。
「あれはたぬきだよ。何故か一匹だけ猫グループにまざってる」
たぬきがキャットフードを食べる。
「多分、いつも最後に来るから、この猫グループの序列最下位かもしれない」
「たぬきだぁ~~」
たぬきに感心する真希。
凄い近くで見てる。
たぬきは、真希にビクビクしながらも、エサをモクモクと食べる。
警戒よりも、食事の方が優先らしい。
そんなこんなで、猫と触れ合いました。
「真希、今日泊まってく?」
「帰る予定だったけど…そうしよっかな」
「じゃあ、帰りにコンビニよって色々買ってくかっ」
「雪見~大福~」
「あれ、冬も売ってたっけ?」
森を後にした後。
コンビニに寄って、一緒に部屋に帰りました。
こうして一日が終わりました。
◆
前回旅行が良いと言っていましたが。
180度意見が変わりますが。
ストレスフリーの快適も悪くないですね。
布団の中でぐずぐずして、一日中同じ部屋にいるのも楽しいです。
観光地や遊園地など、いつもと違う場所、新しい場所に行かず。
頭の中のスイッチが切り替わらず、特に新しい刺激が入ってこなくても、同じ世界に長時間いても快適です。
安心感、安定感がありました。
深くリラックスできました。
布団には包み込むような吸着力がありますし。
同じ部屋にい続けると、ぼーっと世界が止まっているような感覚がして心地よかったです。
世界が止まった安心感。
一体感かもしれません。
そんな……
どこにでもありそうな…
とるにたらないような…
よくある日常の一時でした。
◆終わり
友達と家でグダグダするだけの、誠に地味な話しですが。
伝わったか分かりませんが。
最近感じた、日常の良さを書いてみました。
残しておきたいと思いましたので、日記みたいかも。




