【エッセイ】東京観光3~絵画展 ※本編外
またまたエッセイ風な何かです。本編ではありません。
明治天皇絵画館に行った時の感想です。
※本当の名前は、聖徳記念絵画館ですが、こっちの方が分かりやすいので。
前回さらっと書いた内容の詳しい版です。
次回は…2日後
3月4日 (土)の夜に投稿予定です。
東京観光ということで……
新宿と皇居の間。
明治神宮外苑にある、明治天皇絵画館に友達と行ってきました。
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少し古い国会議事堂のような建物で……築90年ほど。
この建物は1926年、第一次世界大戦後に開館し、建ってから90年程たっています。
この建物は明治天皇の業績を残すために、明治神宮と一緒に作られたようです。
当時は今よりも強い権威があったので、都心のど真ん中に、神宮外苑と明治神宮が明治天皇のためにできたと。
それだけ影響力があったし、残したい人がいたのでしょう。
現在とは状況が色々違いますが。
現在に一番近い天皇。
昭和天皇の業績の証は、昭和記念公園、昭和天皇記念館(立川市)がありますが、やはり明治神宮と神宮外苑と比べると別物です。
新宿と皇居の間に、どかんとある明治神宮&神宮外苑と比べると……影響力は落ちます。
昔だから出来たのでしょうけど、今では無理ですね。
そもそも思えば…
故人の建物で、現在でも残っている大きな建物&人が多く訪れる場所といえば、明治神宮&神宮外苑ぐらいですね。
※都心以外なら、色々あるかもしれませんが
江戸時代の将軍でも、今でも残っていて、多くの人が来るのは、日光東照宮 (初代将軍:徳川家康の墓)だけではないかと。
他の将軍、信長も秀吉も、神社で祭られているようですが、そこまで多くの人が来る観光地にはなっていません。
そもそも思ってみれば……
昭和の有名人で一番残したのが昭和天皇。公園&記念館&墓地。
田中角栄などの総理大臣、実業家で有名な人もいますが、さすがに死んだ後に大きな公園を作るようなことはしていません。
政治家の場合は、残ったのは子孫&一族。
財閥の場合は企業。
でもそれは個人ではなく一族や組織。
なので、個人関係で多くの人が訪れたりするのは、やっぱり明治神宮&神宮外苑ぐらいしかないのかもしれません。
やはり、国家プロジェクトじゃないと残らないのかも。
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と色々思いつつ。
友達の真希と明治天皇絵画展に入ります。
お爺ちゃんとお婆ちゃんの受付です。
500円の寄付金?という名の入館料で入ります。
説明によると、20m以上高さがある大きな天井で、美術館のようにおごそこな雰囲気。
シーンとしていて落ち着きます。
(なんだろう~この落ち着き)
美術館や博物館など、大きな空間特有のものかもしれない。
しかし歴史の重みか。
他の場所より空気が澄んでいます。
山の空気に近いです。
(うん。こういうところで読書とか作業したい)
(本読みたい)
(机と椅子持ってきて、甘いカフェオレ飲みたい)
(スタバが入らないかな……)
さてさて。
絵が飾ってある部屋の中に入ります。
「全然人いない……」
「ほんとだぁ…でも、あっ、あっちにいるよぉー」
真希の視線の先には……
(ポツンと老夫婦が一組…)
(ガランとしている)
あまり人気がない建物かもしれない。
駐車場は全て埋まっていたのに。
(あの車は何だったのか……)
(車の中の人はどこにいった?)
(まぁ、いいか)
「貸切みたいだし」
(じゃあ、順番にまわろっか)
と言おうと思ったら。
「あっ、見て見て、お馬さん」
(おっ、お馬さん?…だとぉ…)
(ここに?)
真希がピンピンと指差してる方を見る。
中央ロビーの奥側。
(本当だ。馬がかざってある。大きな馬が)
2人でテコテコと歩いていき近づく。
目の前には…
・剥製になった馬 (横幅は4mぐらいで、高さ2~3Mぐらいある)
・その馬の骨の模型 (博物館の恐竜模型みたいな奴)
・馬の顔の絵 (しかも大きい。縦横、3mx2mぐらいありそう)
説明を見ると……
「明治天皇の愛馬らしい…岩手県産の馬っ」
(にしても大きい)
(漫画「北斗の拳」のアレだ)
(ラ王が乗っていた馬みたい)
(あれぐらい…黒くて大きい)
(顔はおだやかな馬だけど)
「にしても、凄いなこれっ、骨と剥製。ぱっと見生きてるみたい」
「でも、カピカピだよぉ」
(確かに、剥製特有のカピカピ感はある)
(カラスの毛並みのようなカピカピ感)
(ヘドロというか、ドロッと固まった感じ)
(でもしかし)
(この馬、人より大きいから迫力ある)
(あれだ、自分より大きいものみると……なんかあるっ、大きいくて、凄いなっ)
と感心してみていると。
なんとなく思った。
「真希も死んだら、骨と剥製にするといいよ」
「いやっ」
「想像してみて。皮と骨をはがされて、骨を抜き取られて、進撃の巨人の巨人とか、学校の人体模型みたいになっちゃうの」
「もぅ、そういうこといわないでぇ。なんでそういうこというのぉ」
「ごめんごめん」
(いや、なんとなく思いついただけだし)
(特に理由とかないんだな)
「でも、剥製って凄いね。100年も前の馬が残ってるんだよ。今にも動きそうっ」
「あっ、今、目が動いたっ」
「本当?」
「かもっ」
「じゃあ、絵を見よっか。あっちみたいだし」
◆絵画鑑賞
俺と真希は絵が飾ってある場所に移動する。
「えっと、順番どおり、時代順。まずは幕末~、日本画40枚から」
ゆっくりと一枚一枚2人で絵を見て行きます。
3mx2m程の大きさなので、迫力があります。
歴史の教科書にのってそうな絵です。
というか、一部の絵は歴史の教科書で見たことがある気が……
(くっ……記憶がおぼろげで…よく分からない)
暫く絵を見ていると…
普通の絵、教科書の絵と違いに気づきます。
教科書だと縮小した絵しか載っていないので、細部って分からないのです。
ここだと細かくよく見えます。
それに、多分教科書で表現できる色使いとの違い、紙の質感の差でしょうか。
受ける印象が違います。
アレですね。
よくみると、一人一人の表情を掻き分けているんです。
どういう感情なのかが、雰囲気で分かるようになっています。
確か、これらの絵は「歴史の一場面を再現する」ことが目標なので、表情にも注意を払っているのでしょう。
・富岡製糸場の絵
大勢の女性が工場で働いている中、皇后(天皇の奥さん)が、従者をつれて中央を歩いています。
働いている女性は絶対に目を合わさず、下を向いて黙々と作業しています。
皇后はおっとりとした表情。
後ろに従る従者は、きつそうな顔でキリっと周りを観察。
その後ろの従者は大変そうな顔。
(うむ。こりゃまた凄い。身分格差が分かりやすいです)
・観菊会
和服ではなく、洋服に身を包んだ紳士と淑女。
多分、身分が高い人でしょう。
天皇&皇后がくるのも、庭園で立って待っています。
※今で言うと、4月に新宿御苑で行われる、総理大臣主催の「桜を見る会」や、春と秋に赤坂御苑で行われれる、天皇主催の「園遊会」でしょうか。どちらも皇族や各国の大使、財政界など、各界の著名人が呼ばれるので。
しかし、絵の人の表情は、今の人と余り変わりません。
(あまり楽しそうには見えません)
男性はうつむき、何かを抱えたような、ちょっと緊張したような、「何も問題が起きなければ良い」というような、会議前のサラリーマン顔。
女性は、家の前で世間話している、近所のオバさんみたいな、まったり、のほほんとした顔。
時代は変わっても、あまり変わりませんね。
(この仕事でやってる感)
・戦争出陣式
前に出ている壮年の指揮官などは、威勢の良い顔をしている。
だが、文官のような高齢者は、心配事があるような顔。苦労顔。
兵隊はのほほん顔。「え、今からどこ行くの?」みたいな顔してる。
学校の、校長先生のつまらない話を聞いてる学生みたい。
(この温度差です)
全員士気高揚ってわけではないですね。
・日露戦争、条約締結式
勝った日本軍の幹部は穏やかな表情。
余裕ある感じで笑みがこぼれる。
仲介役のアメリカ人は、事務仕事の様にたんたんとした無表情。
お役所の人の顔です。
負けたロシア軍の幹部は、落ち込みつつも、威勢を張っている感じ。
国に帰った時のことを考えているのかも。
・台湾侵略絵
将軍っぽい人が、街中を凱旋中。
何気に現地人の描きっぷりが凄い。
アマゾンに住んでる、どこかの部族みたいになってる。
又、『日清戦争で勝って、中国から台湾を貰いましたが、一部の現地人 (台湾人)が抵抗したので制圧しました』っと、さらっと書いてある。
(制圧とは何をしたんだろう…)
というように。
教科書では見えなかったところまでよく見えます。
絵から雰囲気が伝わってきます。
又、時代を描く順番が、日本画40枚→洋画40枚なので。
画風のためか、絵が洗練されていきます。
抽象的でふわっとした落ち着いた日本画空間から、細緻で豪華な洋画の空間へ。
日本が明治維新で西洋化し、富国強兵策を展開。
日清、日露戦争で大国に勝ち続け、台湾や中国の侵略して領土を広げていく力強さ、世界の列強への道が力強く表現されています。
この頃の日本の中央部は、明治維新で旧勢力の幕府を倒して日本を掌握し、幕府=連合国体制から中央集権国家へ。
新政権の内部争いでも勝って、その続きで、中国、ロシアと日本より大きな国を相手にして勝ち続ける。
つまり、常に自分達より大きな組織を倒して、負け無しの状態ですからね。
勢いがあります。
この勢いは第二次世界大戦の終戦まで行くのでしょうけど。
ここら辺の話の小説や漫画は思いつかないので、書くと面白いのかもしれません。
いや、「坂の上の雲」という小説があったはずです。
確か、日清&日露戦争部分の小説で……
っと。
一周しました。
中々、迫力がある絵でした。
「真希、もう一周しようか?ちょっと休憩する?」
ヒョイっと近づいてきて、何故か弾んだ笑顔の真希。
小声のヒソヒソ声で。
「ちょっと疲れたぁ」
「そりゃヤバイ。じゃあ、椅子に座ろっか」
少し休憩です。
スマホをポチポチしたりします。
「何の絵が一番よかった?」
「うーん。なんだろう……全部素敵だったよっ」
(あれだこれ…何も印象に残ってなさげだ…)
(答えに困ってる)
「pixivのハンコ絵しか見てないからだよっ」
「何が?」
「何でも」
それから数分後。
もう一周見て回ります。
ふと、富岡製糸場の絵で目を留めます。
皇后の絵です。
(ザ・貴族って感じです)
(貴族女性か~~)
(多分、今の日本だと皇族しかいないんだと思うけど…)
「一回でいいから…貴族女性と付き合いたいっ」
「日本にはいないよぉ」
「皇族とかいるじゃん。写真集出した綺麗な人もいるし」
「あの人綺麗だね」
「うん。今時、NHK、いや、世間一般で様づけで呼ばれる人なんて、そうそういないよ。そこいらのアイドルや女優じゃ無理だし」
「そうかな?ヨン様とか」
「それネタじゃん。アイドルが自己PRで頑張っても、無理だから。そもそも同列の人は、根本的に尊敬されないから。婆ちゃんとか、爺ちゃんみてみいぃ。ポットでのアイドルと皇族の方に対する態度、ビックリするほど違うから」
「…かな」
「今から新宿御苑つぶして、一番人気のあるアイドルや、政治家でも、財界人でも誰でも良いけど、その人の家にしますとか、絶対無理だよ。大多数の国民が反対するよ。今、皇族が都心のど真ん中で、広い土地に住んでいるのは良いけど、他の人は絶対無理。正統性がなくて、ほとんどの人が納得できないから。特に金と権力もっている高齢者が反対するはずっ。こういうのって、生まれる前から権威持ってないと無理だから。高校生が小学生を尊敬しない話で」
「何いってるのぉ?」
(うん…はてまぁ~、俺は一体何をのたまってるんだ……)
(分からない。分からないぞー)
(何か適当にいってた)
(この絵画館の空気に当てられたのかも)
「それは俺も思った。何言ってるんだろうね」
「ははっ、自分でいったんじゃん」
(そうだけど……)
(何の話だっけ……)
(ええっと、そうだ、貴族だ)
(その話)
「とにかく、アレだよ。日本の貴族は皇族だから。
外交で、「おたくのお国は素晴らしいですな。ほほほっ」っていっとけば。難しい交渉は官僚がやってくれるし。家は大きいし。
日本の民間の金持ち、ソフバンやユニクロの人とか、
政治家の金持ち、総理や財務大臣の人の家でも、
皇居や赤坂御用地に比べると、比較にならないほど都内の家は小さいし。米粒みたい。
色々庶務や警備は、宮内庁や警察がやってくれるし。まぁ、やっぱり違うなぁーってことよっ!」
(伝統って奴かな)
(でも、皇族の方は大変そうかなっ)
(皇族の方って、皆凄く心労たまってそうな顔してるし。苦労が多そう)
(もし、政治家とか軍部が暴走して、色々困った問題が起きたら、いきなり、「天皇、ご決断をっ!?」って無茶振りされるかもしれないし)
(まぁ、良く分からないけど……)
「ふぅーん」っと真希。
絵を見てる。
こりゃ、話し聞いてないな。
絶対途中から聞いてない。
(くっ…折角俺が、いい感じの話、ご高説をたれたのに)
(なんだか寂しい…)
でも俺はふと思った。
声を整えて。
「真希様っ、真希様っ。とてもお美しいでございまする」
「えっ、何ぃ?いきなりっ」
「ちょっと、貴族女性扱いしてみたっ。どうっ?真希様?」
「うんっ」
とりあえず頷かれた。
「あっ、ダメだ」
笑えてきた。
「無理だ。真希って、様ってがらじゃないし。真希ドンって感じだし」
「わー、それいやっ、なんかー、いやっ」
「いいじゃん、西郷隆盛っぽくて。昔の偉い人だし、犬好きだし、犬だよ犬っ」
「柴犬かわいいね」
「それに真希、ドレス似合わなさそう」
「そうかな?」
「多分、和服が良いよ。結婚式でも、普通の人って西洋ドレスって似合わないから」
ここで思い出す。
とある写真を。
「いや、真希が友達の結婚式で来ていたドレスっぽいのは、似合ってたよ。写真見たけど」
「あれ?写真見せたっけ?」
「多分、どこかで見た。それにほらっ、バレー (ダンスの方です)とかやっていたら、すらっとした後姿になるけど。いたじゃん、真希の友達にお嬢っぽい子。スラットしてた」
「あー、クミちゃんねー。スーっとしてるよね」
ササッ ササッ
笑顔で、手を小さく振り出す真希。
「…何やってるの?」
(本当、何やってるんだ?)
(時々わっけわからんっ)
(本当に……)
「皇族の人の手の振り方~」
真希が言う。
(………)
時が止まった。
「似てない、全然高貴じゃない。馬鹿にしてるじゃん。馬鹿にしてるでしょ?」
「そうかなぁ?」
コテッと顔を倒して、手を振り続ける真希。
微笑を浮かべる。
お気に入りのポーズなのかもしれない。
(!?)
(むむっ、これあれだ、少し練習した感があるぞ)
「うん。おばさんが学生服着てるぐらい違和感。見てるこっちが悲しくなる」
かまわずニコニコ顔の真希。
「よろしくてっ」
「!?」
(!?)
「よろしくてっ」
「うん?なにそれ?」
「高貴な話し方ぁ」
「そんな人いないよ…多分。まぁ、絵の続き、見よっか」
「おうおうおうぅ~」 (真希の高音)
「!?」
(なんだ。煽られた?何故?真希に煽られた?)
(南極か北極のオットセイみたいな声だされた…)
(でもあれだ、なんかかわいい。楽しそうだし)
(元気で小さなラッコさんが、色々流行る気持ちを押さえられず、貝殻を両手で叩いてるみたいに、ニパーっと初心な感じ)
(つまり、ときめきました。1ときめきptです)
(こっちまで押されて、妙な元気に感染しました)
(かわいいです)
「絵、あっちだよ。行こっか」
「うん。行くっ」
スタスタと一緒に歩く。
俺は気になっていることを口に出す。
「真希、そのオットセイみたいな声、得意だよね」
「えぇーー何が?」
(興奮すると、「おうおうおう~」っと、高い声でいいだすことだけど、気づいてないのかも…)
(そういうのってよくあるからなぁ)
(自分で気づかないもんだし)
(むむっ、自分にも何かあるかも……)
(動物的な何かが…)
(ヤバイな。自分を録画してチェックしないと)
「いや、なんでもない」
「なんでなくないよぉ~教えてぇ」
「なんでもないよっ」
「なんでぇ?」
「なんでもないから」
「教えてぇ?」
(うおっ!なんか粘着された……)
(張り付かれた)
(でも、面倒なのでっ)
「なんでもない侍っ!」
「はははっ、おかしいっ」
いつものように少し甘ったるく、鈴のような声で笑う真希。
猫っぽい笑顔。
ということで。
もう一周絵を見て回りました。
高貴な絵と雰囲気でした
そんな日常の一時でした。
◆終わり
寝る前。
頭の中で「おうおうおうぅ~」 (高音)という、楽しげな煽り声がループする今日この頃。
実際の会話って……
文にすると荒唐無稽になりますね。
次回は…2日後
3月4日 (土)の夜に投稿予定です。
~~~~~~~~~
同時連載中の「七人の聖女~」の方ですが……
すっかり忘れていましたが、更新しました。




