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冒険者ギルド

冒険者ギルド。

俺たちが中に入ると。


ドサッ


ティアがカウンターにギルデインをつきだす。


「犯罪者を捕まえたわよ」

「あれっ、お嬢ちゃん、確か魔物に連れ去られたはずじゃ」


ビックリするギルドの男。


「仲間が助けてくれたの」


「ほ、本当か?」

「うん」


ギルドの男は後ろの俺達を見る。


「そ、そうか、それはよかった。それでこいつは?凄いボコボコになってるけど」

「魔物使いのギルデイン。こいつが私を拉致監禁して、アイテムまで奪い、最後には魔物で殺そうとしたの」


「そうなのか?大変な目にあったな。それで、冒険者プレートを確認していいか?」

「いいわよ」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~


冒険者プレートとは、冒険者の証だ。

冒険者ギルドに登録すると発行される。


プレートには、冒険者ランクなどの個人情報が書き込まれている。

それに+して、冒険者の行動を逐一記録している。


冒険者の周りで過去に何が起こったのか、確認することができるのだ。

特に違反行為とされているものは確認しやすい。

犯罪の立証するには一番良い。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~


ティアが冒険者プレートをギルドの男に渡す。


「今日の午後よ」

「分かった」


プレートを機械に通す男。



そして数分後。


「お嬢ちゃん。確かに犯罪行為を確認した。ギルデインはギルドで受け取るよ」

「よろしく」


「それにギルデインだが…ギルドのデータを見ると、報奨金もでているようだ」

「本当?」


「あぁ。冒険者を襲っていたようだ。報奨金は500万ゴールドだ。額が高いので、今すぐには渡せないから、また後日来てくれ」

「分かったわ」


(よし、報奨金ゲット)


「それにこれだけの手柄となれば、お前さんたちの冒険者ランクも上がるかもしれない」

「本当に?」


「あぁ、申請しておく。元上級を倒したんだ。特殊な事例になるから、ちょっと審査に時間がかかるかもしれないが…」

「お願いね」


「それで。誰が倒したんだ?」


ギルドの男が俺達を見る。


ティアが俺を見るが、俺は首を振る。


(俺の実力を知られたくない)


なのでティアは。


「それは…グラントよ」


「そうか。さすがルーキーの中でも人気な剣士のことはあるな。クエストの成績も良いし、ただものではないと思ってた。どうりで、女にもてるわけだ」


「うんうん」と頷くギルドの男。

普段、俺達が高レベルの魔物を狩っていたので、ギルデインを倒しても納得しているのかもしれない。



だが、グラントは…


「いいのか?エクト」


っと、小声で俺に聞く。

自分だけの手柄にしたくないのだろう。


しかし、俺はここで注目を浴びたくない。

というより、俺の実力をギルドに知られたくないので頷く。


「それでいい。実際最後に倒したのはグラントだろ」

「そうか…エクトがいうなら、分かった」


グラントは了承したようだ。



ギルドの男はグラントを見る。


「それでグラントは、定期期間は過ぎているのか?」


~~~~~~~~~~~~


定期期間とは、ギルドの冒険者ランクが上がるのに必要な所属期間である。

どんなに才能があっても、クエストを達成しても、通常は一定期間は冒険者ランクが上がらないようになっている。

下手にランクを上げて冒険者が死なないようにするため、一定期間の成績を見るのだ。

それに、代理等による不正なランクアップ対策でもある。


昇格に必要な期間は以下だ。


階級 : 必要な期間

F級→E級:半年

E級→D級:半年

D級→C級:1年 

C級→B級:1年

B級→A級:1年

A級→S級:3年


これは、新しい階級になってから必要な期間。

つまり例を出すと、D級になってから1年たたないとC級にはなれない。


このため、才能がある者が下の階級にいることも時々ある。


~~~~~~~~~~~~~


「大丈夫だ、E級になって半年は過ぎてる」

「それなら上手く申請も通るだろう」



それからギルドの男とティアが事務話を進める。




話が終わると。


「よし、またきてくれな。色々準備しておくから」

「うん。またくるわ」



こうして俺達はギルドを出ようとしたが。

ちょっと長居してしまったためか、周りはざわついている。


「おい、聞いたか。あいつら上級冒険者を倒したんだってよ」

「すげーな。だって、一番よくてD級だろ。奴らのパーティー」

「D級が上級に勝つなんて、ありえないだろ」

「倒したのは剣士だって」


「でも、普段から高レベルの魔物を狩ってたしな」

「うんうん」

「さすがグラント。新人最強の剣士だけあるな」

「かっこいいな。グラント様」

「おい、何、目をキラキラさせてるんだよ」



周りが騒がしいな。

何故か俺達が妙な目で見られている。


(あまり注目を浴びたくないのだが…)


(本当に)


「でも、すげーパーティーだな。D級で美人の女騎士」

「それに上級を倒したイケメン剣士」

「ちっこい魔法使いもエリート一族だろ。あの子の背中、サクラの文様」

「あぁ、魔法の名家だ」


「ほんと、この街1番の期待の星だな」

「1番は分からないだろう。ほらっ、例の【加護者のパーティー】もいるし」

「じゃあ、【加護者のパーティー】と同じレベルかもな」

「出世するかもしれないから、今のうちに写真とっておくかっ」


パシャパシャ


俺達を写真に撮り始めた者までいる。

人気者だ。


「でもよー、ほらっ、もう1人いるだろ」

「あれか。生産職」

「あれは数あわせだろ。雑用も必要だし」


「いいなー。俺も雑用でもいいから、あのパーティーに入りたい」

「俺もー。金魚のふんっていいよな。楽で」

「それに美人とイケメンパーティーだし。ちっこい子もかわいいし」

「なんであんな奴がいるんだよ。俺と変わって欲しいわ」


ティアが軽口を叩く者を睨もうとするが…

俺は彼女の肩に触れてとめる。


「ティア、いいんだ。言いたい奴にはいわせておけ」

「でもエクト、あんなこと。本当のエクトの実力を知れば」


「ティアの気持ちは分かっているよ。でも、ここで無意味は争いは起こしたくない」

「そう……エクトがいいなら…」


そう言いながらも、ティアは気持ちがおさまらないのか、ギロっと周りを睨む。

それで気持ちを発散したようだ。


「エクトはいつも謙遜しすぎなのです」

「そうだ。でも、エクトがそうしたいなら、それでいいな」


ティアとグラントも周りの状況をよく思っていないようだ。


「悪いな、みんな」


(どうやら、皆に気を使わせてしまったかな)


「エクトは全然わるくないよっ」

「ティア。ありがとう」


「じゃあ、飯行こうぜー。はらへった」

「そうなのです。私もなのです」


「だな」


俺達が冒険者ギルドを出ようとした時。



カランッ コロンッ


銀色の鎧を着た騎士が冒険者ギルドに入ってくる。


周りの冒険者とオーラが違った。

明らかに実力者。

上級冒険者だろう。


(鎧の素材は…鋼鉄か)


~~~~~~~~~~~


一般に流通している武器の素材ランクは以下だ。


クズ鉄<銅<青銅<赤銅<鉄<鋼鉄<羽鉄


混ぜ物がないなど、純度の問題もあるが、鋼鉄は上から2番目の素材。

鋼鉄と羽鉄では、硬度の部分では同じだが、羽鉄の方が軽く、様々な形に加工できる。

なので鍛治師次第では、鋼鉄でも羽鉄レベルの武具を作成できる。


他にも、黒曜石、銀、ミスリル銀などの魔法要素が入ったもの。

龍のウロコなど素材系もあるが、それらは珍しい品だ。

一般流通品ではない。


加工できる鍛治師も少ないので、一点物と認識されている。


~~~~~~~~~~~


銀色の騎士は俺達、いや、俺を見る。

一瞬目を合わせるが……すぐに目を離す。


騎士はギルドのカウンターに向かう。



「エクト、知り合い?」

「いいや。ティア、初めてみたよ」

「そう。じゃあ、行きましょうか」

「そうだな」


俺達はギルドを出たのだった。




■銀色の騎士




銀色の騎士はギルドのカウンターで。


「俺は上級冒険者のフェンリルだ。冒険者を強力な魔物に浚われて、上級冒険者を探しているときいたが」

「それなら、もう依頼はなくなったよ」


「そうか…残念だ。遅かったか…助からなかったのか?」

「いや、他の奴が助けたんだよ」


「そうなのか?この街に今、上級はいないと聞いたが」

「そうさ。だから中級&初級パーティーの奴だ。それに、こいつも捕まえてくれた」


フェンリルがギルデインを見る。


「この男は…魔物使いのギルデインか?確か元B級の」

「おう。お前さん知ってるのか」


「あぁ、懸賞金リストでみた」

「こいつを倒してくれたんだ」


「上級をっ?本当か?誰が倒したんだ?」

「ほらっ、さっき入り口ですれ違った若いパーティーだよ」


フェンリルはさっき入ってきたギルドの入り口を見る。

だが、既にエクト達はいない。


「あの者達か…確かにオーラは違ったな」

「あんた分かったのかい?」


「あぁ。あれが噂で時々聞く、例の【加護者のパーティー】か?初級にいるんだろ?」

「いいや。それとは別のパーティーだよ。あの中に加護持ちはいないはずさ」


「そうか…他にも…例のパーティー以外にも有望な奴らがいるのか」

「あぁ。定期期間がなければ、とっくに上にあがってる奴らは時々いるから」


「で。ギルデインを倒したのは…あの中の…何も持ってない奴。装備からして…生産職か?」

「いや、馬鹿いっちゃいけねー。あれはF級の生産職。ただのサポートだよ」


「あのオーラでF級?」

「そうさ」


フェンリルはたじろぐ、

自分の感覚では、F級どころではなかったのだ。


「じゃあ、誰が倒したんだ?」

「横にかっこいい剣士がいたろ。あいつだ」


「そうか…剣士か。確かにあの生産職程ではないが、感じるものはあったな」

「ということだ。悪いね。急いできてもらったのに」


「いや、いい。ちょうどこの街にも用事があったんだ。ついでだ。それに面白い新人を見れた」

「そうかい。お茶でもだそうか。時間があれば、最近の世間話でも」


「そうだな。少し貰おうか」

「それじゃ、ここに」


フェンリルは椅子に座りながら、ギルドの入り口を見て考える。



(あのF級の生産職。ありえないオーラだった)


(上級でもあれ程の者はいない)


(勘違いかもしれないが、S級だとしてもおかしくない)


(どうなってる?)


(いや、今日は疲れてるのかもしれないな…)



「そういや、お前さんのクエストは終わったのかい」

「完了した。そんなに難しいものじゃなかったから」


「でも、上級クエストだろ」

「上級の中にも色々あるんだ、上と下が幅広い」


「そうかい。確かにそうなのかもしれないな。下級剣士が、上級の冒険者を倒しちまうんだから」

「そうだ。それに下級だからって弱いわけでもない。最初は皆下級だからな」


「いえてるな」

「あぁ」


そして銀色の騎士、フェンリルは思考にふけるのだった。


今さっき感じたオーラ。

F級生産職に思いをはせる。


「そういえば…さっきの生産職の名前はなんていうんだ?」

「何だったかな…ええっと…確か…そうだ、思い出した。エクトだよ、生産職のエクト」

「エクトか…エクト…」


小さく呟くフェンリルだった。


WEB拍手&感想&評価ありがとうございます。



次回は…

明後日、31日の夜に投稿予定です。





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