別れ話
「別れよう」
「…」
「ねぇ、猫さん聞いてる?」
「…聞いてる。」
「そっか」
「聞いてたけど、主くん、別れたいの?」
「…だって、猫さんは別に俺のこと好きなわけじゃないでしょ?
ごめんね、今まで付き合わせて。」
「これ、何回目、かなーって。数えてたよ。4回目かな。」
「…」
「黙るな。3度目の正直って言葉は知ってるけど、4度目は何って言うんだろうね?4度目の馬鹿?
これで私が頷いてもいいの?」
「…ぅ。」
「泣いて許されるのは未成年までだよ。少なくとも私からしたら高校卒は許さんね。」
「猫さんは、基本的にモテるし…」
「そりゃ、外見には気を使ってるし、コミュ力が売りだもの、この世界での私は。むしろ察しの良さなら人には負ける気がしないな。」
「だからクリエイティブ業界のコミュ障に好かれすぎでしょ!?浮気?」
「…いや、奴らは、うん、チームとしては凄いやつなんだけど…」
「ごめん、なんか察した…」
「まさかの方向の妬きもちで私の方がダメージ受けてる気がする。」
「ごめんね…?」
「とりあえず、明日のデートで許す。」
「猫さん…結婚しよう」
「あ、今度の仕事、派遣で契約だけど月40だから。」
「技術職のキャリア怖い」
「はっはっは。まだまだだな、新人!!」
「家事スキル」
「グッ…」
「汚部屋」
「うぐっ…」
「料理しかできないよね、猫さん」
「だがしかし、ハウスキーパーというものが」
「一昨日片付けたのにまた散らかしたの?」
「…散らかしては無い。タンスに隠してた洗濯物があるだけだ。」
「明後日行くから、それまでどうにかしてね。」
「はい」