夢はでっかくの件について
「えぇーと、我が国の音楽家で最も優秀な者は…誰ですかね?誰がいいんでしょう?」
「……あ、ゾーラ様なんてどうでしょうか、ゴルゴン家のサックス奏者の」
「あぁ、ゴルゴン家は名門よね。でもゾーラ呼んじゃったらまずくないかしら?ゾーラって言ったら、超絶イケメンで話によると紳士も淑女も目を合わせた瞬間にキュン死にするとか…」
きゃー恐ろしい。と恐ろしい程の棒読みで姫様は肩をすくめております。
「でも姫様、ゾーラ様のサックスは我が国のトップですし、その話は噂にすぎないのではありませんか?実際私そんな話聞いた事ないですもの」
「あらメスト。あなた私を疑うのね。へぇーベルク側の人間だったんだー」
「違いますよ姫様!ベルクなんかと一緒にしないでくださいませ!」
ベルクなんかって何やねん!…もはや反論する元気もありません。疲労困憊、戦意喪失。もう付き合ってられません…。
「…ねぇ夜水」
「なにアーテ」
「なんか…どうする?w」
「とりあえず観てましょ?w」
「そうだねぇーw」
アーテ様と夜水様も割と困っておられる様子。さすがにそうですよねwそういえばさっきから一度も会話に参加されてませんでしたね。というかアーテ様のキャラが落ち着いている事に全力で驚いている私。
「まあまあ、姫様もメストも一回落ち着いてくださいよ。とりあえず候補者を考えなければならないんですから」
「「じゃあベルクが考えて」」
「ひどい!ひどすぎるぅ!!」
「そうだよベルク君、君が考えたまえ!」
「何故にアーテ様までそんな事を…!」
エンドレス。あぁエンドレス。…エンドレス。
5分後。皆さん疲れたようで、ようやく落ち着きました。ホッ…。でも本当にどうしましょうねぇ…困りました。
「…私、ずっと前からやりたい事があったのよね」
「なんですか?やりたい事って」
「バンドよ」
「「「「バ、バ・ン・ド…?!」」」」
ピッシャーン!
今漫画で言うならば、目が真っ白になりめちゃくちゃ影だの光だのがさしています。怠惰なあの姫様が珍しく積極的で、感動というより嵐でも起こるのではないかという。
まあバンドやりたいぐらいなら…
「姫様は一体何を演奏するんです?」
「私?私はヘドバン担当。あとみんな演奏よろしくね」
「「「「へ、ヘ・ド・バ・ン…?!」」」」
ピッシャーン!!
ここでまさかのヘドバン…!やべぇ……
「私ヘドバン1回やってみたかったのよね、それも全力で。ほら、私一応姫でしょ?できないじゃない。この機会にやらせてくれないかしら、バンド」
珍しく上機嫌で夢(?)を語っている姫様。嬉しさと衝撃は1:9ぐらいのバランス、もう衝撃に支配されまくってます。まさかそんな夢を持っていたとは…
「姫様、積極的なのはすごく嬉しいですが…一国の姫が音楽会で全力でヘドバンをやるっていうのは…」
「いいんじゃないかい?面白そうじゃないかぁー」
…は?ばか?何考えてんだこの人は。
「姫様、せめて身内の中だけにしていただけませんか…?」
「あぁいいわよ」
ふふふおほほと謎の笑みを浮かべる姫様。
何故にこんなに素直なんでしょうか…裏があるのでは…?
…あれ?そういえば何か忘れている気が…
「…!演奏家、選んでないじゃないですか!!」
「あぁーそうだったわねー」
「まったく君たちはよく話がそれるなぁー。真面目に考えたまえ、ベルク君」
「あなたがそれを言いますか?!」
これ一体いつまで続ける気なんでしょうか…。これもう次話まで入ってしまう予感が…
と、その時!
「おやおや、お困りのようだねぇ」
「「「「「こ、この声は?!」」」」」
なんかこの流れ、つい最近あったような…
「そう、私はMs.シュガー。その件、私に任せるのだ」
決まった…とMs.シュガーは満足気にしております。
この人誰だっけ…?
「貴女は!自称お菓子の妖精(62歳)じゃない!」
「姫様、この者をご存知なのですか??」
「ご存知も何も遠い遠い親戚なんだから知ってて当然じゃない」
姫様の親戚という事は王族…
私はとんだ失態を…!
でも、いったいどれくらい離れた親戚なのでしょうか?
「この方は私のお母様のお母様つまりお祖母様の義姉の父親と愛人の娘よ」
…ちょっと難しいから、もうスルーしよう!
「なぜここにいらしたのです?」
「いやぁ〜困っている声が聴こえたものでね」
「助けてくれるのですか?」
「よかろう。何でも言ってみるのだ」
よっぽど頼られたかったのでしょうか、随分と嬉しそうにしてらっしゃいます。
「今度の音楽会に出席させる音楽家を考えていただきたいのです。どうしても私達では決められないのです」
「任せなさい!いい人を知っておる。それは…」
「「「「「それは…?????」」」」」
「…次話へつ・づ・く♡」
結局次話入るんかいΣ\( ̄ー ̄