アリアとソフィア 最終
洞窟を出た時…本当の試練があったなんて…
洞窟の先は…何の事はない、町はずれの丘の中腹にある遺跡跡。
神殿だか教会だかの跡地の裏の洞窟にあっさりと出た。
「何よ。だったらこっちから入るんだったっ!」
毒づくアタシにソフィアは笑う。
「それだと…たぶん向こうには出てこれないわよ。きっと」
判ってます。はい。
水の精霊の罠の所を遡らなくっちゃならないからね。
それより…既に夜。二つの月の明かりと煌めく星、街の灯りが綺麗。
一緒になって星空を見上げているソフィアは…かなり色っぽい。美人っていいね。
景色を楽しんでいると…お腹がぐぅとなった。
アタシは色気より食い気かい。
…あのね、ソコのアンタ。こういうときは否定しなさい。さっきまでずぅっと否定していたのに、こういうときだけ肯定しないように。
ま、実際、疲れているし。お腹も減っている。
「早く街へ行こう。奢ったげるから宿屋に行って晩御飯でも…」
ちゃりぃん
ん? 歩き出した足下でなにやら軽い金属音というより、軽やかなれども重厚な響き。
音がした辺りを見ると…土の中に数枚の古代金貨がっ!
「らっき〜っ! これで今回の報酬が…」
思わず口にしてソフィアを見ると…悲しそうな顔のまま止まっている。
不安が心の中に湧いてくる。
さっき…遺跡の伝承碑文の所で何故か安心していたのに…
…何を安心していたんだっけ?
そして今、何が不安なんだろう?
ソフィアは真剣な…止まった表情のままアタシを見ている。
アタシは…今、どんな顔をしているんだろう。
報酬を払ったら…ソフィアと別れなきゃ…ならないのかな?
違う目的で旅してるんだし…
やがて、にっこりと笑ってソフィアは…思わぬ事を言った。
「拾いモノは届けないといけません。報酬はギルドの規定により1割です」
ソフィアが言いたい事が判る。…なんとなく。
「なによ。半年、誰も…落とし主が見つからなかったら全部…アタシのモノよっ」
言いたい事を隠して毒づく。
ソフィアはアタシが言いたい事を…先回りして微笑みながら言ってくれた。
「いえ。コレは依頼とは関係在りませんから発見者は私達二人。つまり、半年後には半々でお願いします。その時まで…」
アタシは何故か安心して毒づいた。
「…狡しないけど。疑われるのも何だから、その時まで一緒に…」
「仕方在りませんね。御一緒致しましょ」
二人で笑い合う。
不安は何処かへ消えてった。
うん。言いたい事が言わなくても解り合える仲間っていいね。
「んじゃ。これからは義姉妹という事で」
「古代の金貨数枚の縁ということ?」
笑っているソフィアにアタシは毅然として言った。
「違うわよ。古代遺跡お墨付きの縁」
「ふふっ。ま、いいでしょ」
そうして私達の旅が始まった。
ソフィアが魔王と対峙するまでの長い旅が…
(終了)
2話に分けて、連載中を完了としました。
読んで下さりありがとうございます。
この作はNiftyのSFフォーラムにUPしていた光と闇の挿話集の3作目になります。
宜しかったら感想などいただけると有り難いです。
繰り返しになりますが……
読んで下さりありがとうございます