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何人

 魔力のうねり。

 魔力の衝突を感じたのは王都でだった。だが、それ以上の動乱の種があると僕が判断したのは件の場所の調査を頼んだベルカナたちがいる場所だった。


「……当たり、だね」


 そして、その僕の判断は間違えていなかったとほくそ笑む。


「うーん。開けないな……顔認証?」


 久しぶりに見るスマホを僕は己の前にいる男へと向ける。


「あれ?違った?指紋認証かな?……ちょいと失礼」


 懐かしいスマホだ。折角、僕の手元にスマホがあるのだ。使ってみたい。

 僕はスマホを持っていた男の隣に立ち、その手を掴んで指紋認証させようとする。


「ふんっ!」


「……あれ、気づかれちゃった」


 だが、僕が男の指紋をスマホにつけるよりも前に、僕の手を男は振り払う。

 うーん……結構強めの人だね。ベルカナ含め、僕はほとんどの人の手を掴み、勝手に使っていてもバレない特殊技能を持っているんだけど、うまく行かなかった。


「スマホ。スーツ。顔認証。指紋認証……まさか、こんなところでバッタリと同郷に出会うとは。まさか、私の知らぬところに生き残りが、いるとは思わなかった」


「いや、君の推察は全部間違いだね」


 男から少し離れた僕は彼の言葉に首を振る。


「とりあえず、これは返すよ」


 僕は手にあったスマホを目の前の男へと返す。


「……何者だ?」


 スマホを受け取った男はこちらへと疑問を投げかけてくる。


「名を聞く前に自分から名乗るのが筋じゃない?」


「……いいだろう。私の名前はアンドリュー。ただのアメリカ人だ」


「わぁ、アメリカ。懐かしい響きだ。僕の名前はゼノン。ただのオースティン王国人だよ」


「それではない。我が聞きたい出身は。何処だ?私と同じアメリカか?それとも、ドイツ。イギリス。何処だ?欧米以外か?中国……はないだろう。一番余波を受けていたのがあの国だ。日本か?それとも韓国?」


「調べてみればわかるさ。僕はオースティン王国で確かに生まれた記録を持っているよ」


「……ほう」


 まぁ、日本人だと言ってもいいけど……僕は前の文明が滅びた理由を知らないからな。

 何か知っているようで、僕は何も知らない。

 正体不明の人間という風に相手の目に映ってくれるほうが都合良さそう。敵対関係になるならね?こちらと友好的なら全然自分の状況を明かしてもいいんだけど。


「では、……その体にでも、聞いてみるか?」


「あはッ。戦い?……良いね。それは。僕、嫌いじゃないよ。戦闘」


 静かに、戦闘態勢へと移ったアンドリューに対し、僕もゆっくり戦闘態勢へと移っていった。

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