海底
海は偉大だ。
魔力をフル活用し、何十キロと陸地から離れ、どんどん深海に潜って入っている僕は改めて、この自然の偉大さを感じる。
色とりどりの海藻。複雑で美しい地形。多種多様なお魚たち。
ついでに、信じられないような魔物など。この海は僕の見たことない宝の山だった。
「まぶしっ」
光の届かない暗闇の世界をこれまた魔力をうまく活用して自分の目で見ている僕は突如として網膜が光を捉え、目がくらむ。
この深海で光……何だろうか?
アンコウかな?そう思ってそちらのほうに視線を向けてみれば。
「……うわ、でっか」
僕の隣にあったのは1つの巨大な瞳だった。
相手と僕との距離はかなり離れている。だけど、すぐ隣にいるんじゃないかと思わせるほどにその瞳は大きかった。瞳だけで、オースティン王国の王城くらいのサイズがあるんじゃないだろうか?
大きいのは、瞳だけじゃない。
その大きさに見合うだけのサイズを持った魚の魔物が、僕の隣にいた。その全容は僕の視界で捉えきることが出来なかった。
「……邪魔だよ」
その魔物がゆっくりと、此方の方へと近づいて来ようという中で僕は全力の魔力の圧を魔物へと叩きつける。
「……」
僕が相手の瞳から感じたのは知性の色だった。
ただの、知性なき獣の瞳ではなかった。
「それでいい」
だからこそ、静かに隣にいた巨大な魔物は何処かへと消えていく。
デカいは脅威だ。
常識外のデカさを持った先の魔物はまごうことなく、この世界で最強クラスの魔物であったと思う───でも、僕の方が実力は上だと判断した。
であるからこそ魔力をぶつけて威圧し、向こうはそれに恐れて引いていった。
僕の判断は何も間違えていなかったわけだ。
「……戦ってもいいけど、こんなところでド派手に戦っていたら普通に海が荒れそうだしね」
相手の魔物はちょっとデカすぎた。
どっかで戦いが原因で津波が起きかねないデカさをしていたので普通に自重した。
「今度、気が向いたら戦ってみようかね」
時間も足りなそうだったし。
自由時間は三時間くらいしかない。あれだけデカい化け物を三時間……いや、もう一時間くらいは経っているし、帰ることも考えたら一時間で倒さなきゃいけない。うん。無理だぁ。
「……ァ?」
戦わない選択肢はあっていた。
そんなことを考えた僕は目の前に突然、建物群の残骸が見えてきて目を見張る。
「……何、それ」
海の、海底の中に浮かび上がる建物群。
崩れ去ったビルのがれき。打ち捨てられた車。荒れ放題の光景───だが、僕にとってはこの荒れ放題の光景に懐かしさを覚える。
こんなに荒れてはいなかった。
だけど、今、僕の目の前には自分の知る日本のような文明の残滓があった。
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