潜り
サメの魔物が斬り裂かれ、その体が海の底へと沈んでいく。
「うわっ……めっちゃ来た」
その血にでも寄せられたのか。
こちらの方へとまた同じ魔物が近づいてくる気配を感じる。
「……うーん、ちょっと数が多いな」
その数は十を軽く超えていた。
別に倒すのは簡単だ。だけど……同じように倒すのはつまらないしなぁ。ずっと同じ魔物をまったく同じ方法で倒し続けるの普通につまらない。
飽きてくるよね。
「海で戦えないかな?」
僕は何となくで海の中へと入り、魔力でゴーグルと似たようなものを作っていく。
魔力は何でも出来る。やったことなどないが、眼鏡を守るゴーグル的なものは簡単に作れるんじゃないか?
「ボコボコボコ……」
……呼吸が苦しい。
息が続かない。
海の中で戦うのなら、ゴーグルだけではなく、呼吸を続かせる魔力も必要なのか。なんか必要なものが多くて嫌になってきちゃね。
「ん、行けたわ」
そんなことを思いながら、それでも色々と魔力をこねくり回していた僕は普通に上記2つをうまく起動させることに成功する。
海の中でも目を開き、呼吸することに成功した僕は海に沈んだ状況のまま四方から迫ってくるサメの魔物の姿をしっかりと捉えた僕は足を動かし、海の中を突き進んでいく。
「ヒャッハーっ!」
海の中でなお、声を告げることまで成功した僕は蛮族のような声をあげながら突き進み、まずは一匹目のサメの魔物に突撃していく。
「ほっ!」
拳の一振り。
魔力を込めたその拳ひとつでサメの頭をかち割った僕は次々と他のサメの魔物も殴殺していく。
「弱いけど……うん。新感覚だ」
戦いを楽しめる相手としては中々物足りないが、それでも僕が海での戦いに慣れるための試金石としてはちょうどいいのかもしれない。
海を泳ぎながら相手を倒す。中々に新感覚だ。
「もっと寄ってきてくれても良かったのに」
中々に楽しめた戦いだったが、サメの魔物を僕が全滅させるまでにかかった時間は5分もない。
あっさりと戦いを終えてしまった僕は少し、不満げに頬を膨らませる。
「それにしても、……もっとこれ色々出来るな」
とはいえ、得られたもの。これから工夫できそうな部分は多い。
魔力で膜を作って目を覆い、口を覆う。
口を覆っている膜から管を伸ばし、そのまま空中へ。何とも原始的で、最もわかりやすい手段でもって視覚と呼吸を確保した。
もっとうまいやり方もある気がするし、これを元に何か色々出来そう。
楽しめそうなことはまだまだ多いな……。
「……あぁ」
これからどう楽しもうか。
そんなことを考えていた中、僕の視界に大慌てでこちらへと泳いできているもの───学校の先生や生徒たちが見える。
「……そりゃ、心配か」
既に僕が海に潜ってから5分は確実に経過している。
5分も上がってこなかったらそりゃ心配する。
「よっと」
僕は一度、浮上し、水面から顔を出す。
「えーっと……声を拡散する魔力運用方法は、っと……」
うまく魔力を動かし、僕は全体に声を響かせる。
「自由時間の間、好きに遊んでいるから!心配しないで!」
周りは過保護。
だけど、僕は自由に遊びたい。
ならば、逃げだすしかない。心配しないで、そう声をかけた僕はこちらへと向かってくる人たちを無視し、全力でもっと海の奥深くへと潜っていった。
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