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異国の街

 僕たちがやってきた国。

 そこはオースティン王国よりも南へと行った場所にあるイマリ王国だった。

 イマリ王国は国土が小さいながらも農業に適した豊かな土地を多く抱えると共に、その国境部が山岳であったり、その国土のほとんどが海に面していたりと、戦争などで守り固めるのに向いている国だった。

 その土地柄ゆえ、イマリ王国は何処かの攻撃を受けて滅びることもなく長い歴史を刻み、安寧を維持し続けてきた国だった。


「いやぁ、見たことないものばかりですなぁ」


 国境を2つまたいでやってきた国だ。

 街の様子も、そこで売られている服もオースティン王国と全然違った。個人的に遊びにいった五か国くらいとも違う。本当に初めて見る文化圏だった。


「意気揚々と街に繰り出していかないでぇ!?」


 意気揚々と、気分高く街に繰り出した僕のことを大慌てでナターシャが止めに入る。


「貴方は男の子なのよ!普通に市井の者が目にするような存在じゃないんだから!」


「おー」


「大人しく馬車の中にいて……!目的地である海のリゾートまでの辛抱を!」


 街をのろのろ進んでいる馬車と並走するように僕以外の生徒は街を観光することを許されている。

 であるなら、僕もそれを認めてもらわないと困る。僕に枷をつけられると思ったら大間違いだ。僕は世界で最も自由なのだ。

 

「何てこったい」


 ナターシャの言葉をサラリと流した僕は彼女の元から離れ、目に入った服屋さんへと突撃する。


「お姉さん」


 呆然と僕の方を眺めていたお店のお姉さんの前に立った僕は彼女へと声をかける。


「おほっ!?うほい……おほほい!?」


「猿かな?まぁ、良いや。勝手に店見ているよ」


 僕が話しかけた結果、おさるのように跳ねてしまったお店の人をおいて僕は店を見て回る。


「……男物の服はないか」


 だが、当然というべきなのか男物の服は一着も置いていなかった。

 男用の服ってあまり売っていないんだよね。代々の男はオーダーメイドするし。


「別に女装でもいいけどね」


 仕方ないし、女物の服で我慢しようかな。


「普通にそうしようか。僕は小柄だし、女児用の服で十分だよね」


 適当に僕は服を取り、それにパッと一瞬で着替える。


「似合っているっしょ」


 まだ買っていない服を着ているのは普通に考えれば駄目なことだけど、男である僕ならオッケー。男で面倒なことは多いけど、それ以上に恩恵はやっぱり大きいよね、この世界。


「バッチリ」


 そんなことを考えながら鏡の前に立ち、自分の姿を確認した僕は満足げに頷く。

 この国特有の中々に派手な女物の服だけど、僕の元の面が良いから、似合ってしまうね。


「ちょちょ!……着替え、……今、ここで着替えたのか!?」


「どうせ、見えていないんだからいいんだよ」


「……い、いやいや!?そういう問題ではないんだよ!」


「幾つかみつくろっていこ。ナターシャは僕に何が似合うと思う?」


「……えっ?」


「いや、馬車が行っちゃうし、他の店も見ていこうか。お姉さん!代金はここに!何なら、僕が着ていた服もあげるよ。家宝にでもしてな」


「はっ!?」


 適当に金とそれまで着ていた服をお店の人に渡した僕は別の店へと向かうのだった。

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