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荷造り

「うぅ……考えられないわ。許せない。何で、何で私たちがゼノンと二日も引き離されてないといけないの?」


「忌々しい行事だわ……っ!離れ離れはもう十分なのにっ」


「……何を言っているんだが」


 アスカねぇとかもう三年生で僕が二年生になったところでさようならでしょうに。

 卒業後は自領に帰ることとなるだろうし、確実にまた二年間は離れ離れだよ?卒業後とか、僕は世界を旅する予定なので、十年単位で離れ離れになる予定だし。


「はぁー」


 僕が校外学習に行くたった二日間、家を空けるというだけで悲壮感に暮れている二人を前にため息を吐く。


「せめて、今日は寂しさを紛らわせるために派手なお別れ会をしましょうね?もう今日という日を一生に堪能しましょう」


「いやだよ。これから校外学習に行くための準備をしなくちゃいけないんだから」


 しおりを渡されたのは今日だからね。

 行事に適応した荷造り出来るのは今日だけだからね……まぁ、しおりを見た感じ手ぶらでも何とかなりそうな気配だったけど。一年前の僕のドキドキドラゴン討伐大作戦よりも全然楽そうな内容だった。


「それに関しては任せて」


 僕の言葉に対し、アスカねぇは胸を張って答える。


「私が必要になるであろう荷物を用意してきたわ!」


 そして、彼女は手を伸ばし、布を引っ張る。

 この部屋に昨日まではなかった大きな物体に布がかぶさり、隠されていたもの。それがアスカねぇの行いによってあらわになった。


「……リュック?」


 布に隠されていたものはリュックだった。


「えぇ、これがあれば完璧に校外学習を終えられるはずだわ。ちゃんと生徒会長としての権限で前もって校外学習についての情報は仕入れていたから間違いないわ。完璧よ」


「流石アスカお姉さま!」


「これに加え、……何とかして私たちが生徒会として引率出来るように手を回しているところなの。これだけしているのよ?何の心配もないわ!」


「それが良いわ!それなら私たちも寂しくない!今日はみんなで校外学習頑張りましょう会にしましょう!」


「要らない。ついてこないで。勝手についてきたら、二度と口聞かないから」


「な、なぁぁあああああ!?」


「え、えぇぇえええええ!?」


 僕だけ家族同伴とか恥ずかしいでしょ。絶対に嫌だ。


「わかった?ついてきたら……ね?うん。本当に口を利かないから」


「……う、うん」


「……そこまで、言われるならぁ」


「言っておくけど、僕を相手に隠れられると思ったら大間違いだからね?二人を見つけるなんて簡単だから」


「「……」」

 

 ここまで言ったんだ。ちゃんと我慢してくれるだろう。


「じゃあ、この荷物だけで……この、荷物だけでも十分対処できるはずだから」


「……」


 ……デカいな。

 まぁ、手ぶらでもいいか。


「よし、ほら、夕食を食べようよ。僕はもうお腹空いたよ!……今日は僕が料理を作るね!」


 一旦、話を逸らして荷物についての話は終わらせてしまおう。

 まぁ、僕は寛大だから、パッキングという僕の楽しみを奪おうとした罪は許してやろう。元々、手ぶらで行ってもいいなぁ、とか思っていたし。


「そんな!男の子に料理なんて作らせられないよ!座って待っていてよ!」


「そうよ!」


「僕の手料理食べたくないの?」


「「……」」


 僕の言葉にリーノねぇも、アスカねぇも揃って口を閉ざす。


「ということで今日、料理を作るのは僕ね」


「で、でも斬るのは私がやるから!」


「包丁を握らせないわよ!」


「剣を握っている僕に何を言っているのやら……」


 無駄に過保護な二人に呆れながら僕はキッチンへと向かっていくのだった。

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