校外学習
オースティン王国が誇る教育機関。
オールウェイズ学園。
そこには王国の王国貴族の子息令嬢が通っているばかりか、海外からも広く留学生を募集している世界最大の教育機関である。
そんな学園には何と驚くべきことに、男子学生が五十名近くも通っており、その男子生徒たちのロマンスを夢見て外国から留学を熱望する声も少ない。
なお、その男子学生たちは必要最低日数しか出席せず、ほとんど女子生徒たちと交流を持たないのだが。
「明日はとうとう校外学習に行く日だ。既に準備は終わっているか?」
まぁ、そんな学園はともかくとして世界最大の教育機関であり、授業にもかなりの金がかかっている。
一年生の最初の頃に行われる校外学習はその最たる例だといえ、全ての生徒を学園の金で海外に連れ出し、そこで様々な体験をさせるのだ。
「日程はこれから配る旅のしおりに書いてある。明日まで時間をやる。この日程にあったものを準備しろ。準備が間に合わなかったものはどうなるか……それは行ってからのお楽しみだな」
急ピッチでの準備。
それも授業の一環だ。
「ふふんっ!」
僕は先生から一人だけ丁重に手渡しされたしおりを広げ、その中を確認する。
「むふっー」
人生初めての校外学習!
前世で死ぬほど行ってみたかった校外学習!職業体験!修学旅行!僕は明日!ようやくその体験をこの手に掴むことが出来るのだ!
「……お、お前も行く、つもりなのか?」
ご機嫌でしおりを読んでいた僕に対し、ローズ先生が疑問の声を投げかけてくる。
「……えっ?」
「いや、その……行く気マンマンに見えたから」
「な、何でそんな質問を……?行く、つもりだけど」
「く、来るのか!?い、いや……この校外学習に男子生徒が参加した例はなくて、だな……男子が来ることを想定して作られていないというか」
「えっ!?じゃ、じゃあ……来ちゃ駄目、ってこと……?」
そ、そんな……楽しみにしていたのに!?
「い、いや!?そんなことは決してない!全然来てもらって構わない!いや、むしろ来てほしい!だから、泣きそうにならないでくれ!」
「……っ!おぉ、えへっ……良かった。あっ、でも、僕は泣いてないよ?全然泣きそうにもなっていない。そんな泣き虫じゃないからね」
良かった……健康になった後もいけないのかと思った。
いけないとか言われちゃったら、ちょっと国王陛下へと泣きつきにいくところだった。戦略的な涙を浮かべるところだったよ。
「ローズ先生。そいつは特殊なんだ。大人しくしたいようにさせておくのが一番だ。変に男扱いしない方がいい。狂人として扱うべきだな」
「あ、……あぁ?」
「ちょ、ちょっと!何で貴方がゼノンくんの理解者面しているの!?」
「何よ!その私わかっていますよ!みたいな言葉!」
「いくら王女様とて許されないわよ!」
「いくらでも男なんて捕まえられる立場でしょ!私たちからゼノンくんまで奪うの!?」
「メロついてんじゃないわよ!大人しく男嫌いを拗らせていなさいよ」
「な、何だ?!お前ら!わ、私は別にメロついてなど……」
僕の周りが騒ぎ出した中で。
「……楽しみだなぁ」
いつものことだと割り切ってる僕はただ、明日行ける校外学習へと思いを馳せるのだった。
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