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クラス

「それで?テレーニア伯爵家の先祖は魔力をどう、活用したと?」


「えっとね、えっとね……まず、魔力の捉え方から変えたんだ」


「ほう?」


「今でも魔力は水に例えられることが多い。そんな中で、ご先祖様は魔力を波としてとらえたんだ。音は波。魔力を波としてとらえ、それを前提として振るったところ、音を発したらしいの。それを利用して私の家では様々な技をっ」


「へぇ~……それ、後でやっているところ見せてよ」


「も、も、もちろんっ!」


 入学式で自分の隣に座っていた少女、マリアと共に僕は自分たちのクラスへと移動してきていた。

 今年の新入生のクラスはA、B、C、D、Eの計五クラス。僕とマリアは同じAクラスだった。


「席は五十音順みたいだね」


 教室の黒板には席順が張り出されていた。

 一番前の席の左端から右に1、2、3、と続いていくような形。僕とマリアは隣の席だった。


「お母さん……ありがとうっ」


「大袈裟だなぁ」


 この女性諸君の大袈裟な態度にはこの世界でどれだけ暮らしてもちょっと慣れそうにない。

 こちらに向けられる性欲に染まった視線含め、誰からも見捨てられて一人ベッドの上で死んだ前世との違いに戸惑うことしかできないのだ。

 特に性欲に染まった視線に関しては特に……慣れないんだよなぁ。

 

 ベルカナくらいじゃないか?僕へと直球な性欲を向けてきていないの。ウィアドは性別不肖ということで通っているはずなのに、ルーンコードのメンバーは普通に僕を性的に見ている。

 何ならベルカナも直球的じゃないだけで、ちょくちょくその視線は怪しい。


「……ぜ、ゼノン……、くん?」


 とはいえ、慣れない視線にも慣れないと僕は一生友達を作れないだろう。

 これに関しては頑張らないとっ。僕は友達を……というか、今思えばナターシャってその視線に困惑の色はあれど、性欲の色はなかったなぁ。

 でも、なんか敵愾心を感じたから仲良くなるのは中々難しそうだけど。


「ゼノンくんっ!……だ、大丈夫?」


 ぼんやり、考え事をしていた中、横からマリアに強く呼ばれる。


「ん。大丈夫だよー。ちょっと考え事していただけ」

 

 僕は全然大丈夫だ。

 それよりも大丈夫じゃないのは、僕の周りの人たちだ。


「……ねぇ、なんかあの女、自然体で男子と会話していない?」


「にゅ、入学式の時にだけ見えた亡霊じゃなかったんだ……」


「な、何でこんな入学式の日に男子がっ」


 さっきから普通に教室の席に座っている僕を見て困惑の表情を浮かべている人たちが多数。彼女たちの様子はとてもじゃないけど大丈夫とは言えなそうだった。


「おー!おー!女子どもぉ!色めき立つなぁ!今日唯一、学校に登校してきた男子がいるからって浮かれるなよぉ!」


 そんな、女子たちを鎮めるようにクラスへと一人の女性が入ってくる。


「そんなんじゃ引かれちまうぞ~、ということで学園最初のホームルームを始める。席につけぇー!」


 その女性は教卓の前に立ち、全員に座るよう促す。


「私の名前はローズ・オクトリアだ。これから二年間。クラス替えが行われるまでの間、私が君たちの担任を受け持つ。よろしく頼む」


 ローズ。そう名乗った担任の先生はなんかキリっとしていてカッコいい感じの人だった。

 前世だったら、女子高で色々な女の子をキャーキャー言わせているタイプだろう。髪色も派手な赤色で、目立ちに目立って学園の王子様になること間違いなしだ。


「ふふっ」


 そんな人に対して何となく、いたずらしてみたくなった僕はローズ先生と目と目があった瞬間に軽くウィンクしてみせる。


「おっふ……」


 あっ、陥落した。

 他愛もなかったな……僕のウィンク一つで膝から崩れ落ちる。教師と言えど、こんなものよ!

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