王都へ
黒ずくめの女たちは中々に骨のある集団でございました。
僕がこれまで襲い掛かっていった盗賊団の中では最も骨のある集団だったんじゃないか?みんなびっくりするくらい強かった。
「これで全滅だね」
だからと言って、僕が負けることはない。
僕が目指すのは人生の謳歌であり、己が見てきた世界を体験すること。主人公は女の子を助けるときは負けないのだ。
「大丈夫?」
無事に敵を全滅させた後、僕は豪華な服を着た人へと再び向かい直って口を開く。
「あ、貴方は一体……?」
だがその人は今もなお、呆然とこちらを見てくるだけだった。
うぅん。相手の動き出しを待つつもりだったんだけど、これはこちらからワンアクションを起こすべきかな?
「ハッ……いえ、それよりもまずはこちらから名乗るべきでしたね」
どう動くか。
悠長に考えていた僕の前で、混乱から立ち直ったらしい少女が服装を正してこちらへと一礼する。
「私の名前はナターシャ・アルベルト。オースティン王国の第一王女にございます。以後、お見知りおきを」
「これはご丁寧にどうも」
おっとぉ~、王族の方?
見た目的に、僕と同い年位に見える。
これ、僕を迎えに来た王族なのではだろうか?あまりにもその説が濃厚だよね。それ以外何も思いつかない、ってくらいだ。
「えっと、何で男性がこんなところに……いや、まずその強さは、と。色々と聞きたいことが多くありますが、我々にはある御方をお迎えしないといけなくて……えぇと、この場合、どうするのが最善かしら?」
この世界で男と言うのは中々出会えないレアキャラだ。
そもそも男が少ないというのもあるの加え、この世界の男性諸君は何と恥ずかしいことにみんな引きこもりなのだ。ほとんとが心身ともに健康だというのに女性に守られてぬくぬく我儘に生活している奴らしかいない。
そういうこともあって、男性と外で、それもこんな危険な
普通であれば保護一択。
だが、自分たちはこれから男子を迎えに行こうという行軍をしているわけで……という、中々巡り合うことはないであろう悩みに頭を抱えていた。
「ともに、来てくだされば一番安心できるのですが……」
「僕は一人でも十分問題ないけど?」
「いえ、そういうわけにはいきません。そんな真似をしてしまえば、私が国中の笑いものになってしまいます」
「大袈裟だなぁ……」
「……そう、言えない世界ですよ。ここは」
「ふふっ」
まぁ、確かにそうかもしれない。
この世界だものなぁ。
「とはいえ、だ。僕が君からの要請を、自分よりも弱い一団に守ってもらう必要があると思う?ないよね?」
「……そう、ですね」
頭を悩ませているナターシャが助けを求めるように、周りにいた騎士の方々に視線を送っても、彼女たちもどうすればいいか、困惑の表情を浮かべているだけだ。
「申し訳ございません」
そんな彼女へと僕は頭を下げて謝罪する。
「はっ……?い、いえっ、そんな謝罪されるようなことを我々は」
「いえ、ちょっとばかりいたずらしてしまいまして」
「えっ……?」
このまま、ナターシャを置いて僕一人で王都に向かってもいい。
だけど、せっかく僕という主人公のヒロインになってくれそうな動きをしてくれたのだ。このままちゃんと関わってもいいだろう。
「えっ?」
「名乗るのが遅れました。私はフリューゲル伯爵家が長男。ゼノン・フリューゲルと申します。遅らせながら、お迎えありがとうございます」
「え、えぇぇぇええええええええ!?」
僕の名乗りに対し、ナターシャは驚愕の声をあげる。
「王都では姉二人が待っていますので、少々早い出発にさせてもらいました」
そんな彼女をしり目に僕は幸運にも大した攻撃は受けておらず、まだ走行できそうな馬車へと乗り込む。
「さっ、行きましょう?」
そして、そのまま僕は早く出発しようと急かすのだった。
■■■■■
僕がナターシャたちと出会った地点は王都からかなり近い地点だった。
出会ったのが朝。
そして、夕方にはもう王都へとたどり着いていた。
「……こ、こんな早く戻って来て、どう母上に説明すれば?」
サクッと終わった行軍。
終わり過ぎた行軍を前にナターシャは僕の前で頭を抱えていた。
「自分の勝手だと言えば納得もしてくれるでしょう」
「未だ……あの、光景が信じられていないところもありますし、まず何処から説明するべきなのか。その根本で頭を抱えているんです」
「あら、そうですか」
大変そう。
でも、僕には関係ないや。
「じゃあ、僕は王都観光をしてきますので、ここら辺で失礼します」
「……はい?」
「では」
どうせ、僕が王都に入ればお姉ちゃん二人に補足されてそのまま王都観光どころじゃなくなってしまうのが目に見えている。
ここは大々的にではなくこっそり入って、しばらくの王都観光を楽しもう。
「ちょっとぉぉぉおおおおおおおおおおお!?」
僕は馬車から飛び出し、そのまま魔力で一気に加速して王都の中へと入る。
「おぉ!ここが王都か!」
王都の街並みに降り立った瞬間、周りの人たちが色めき立つが、それにも気を払わず、僕は辺りを見渡す。
「久しぶりね。ゼノン」
「会いたかったよぉ!」
さっ、観光観光。
そう、街に繰り出そうとした僕の肩が二つの手に掴まれる。
「……わぁ、早い」
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