母親
「ゼノンッ!ゼノン……ッ!」
アスカねぇとリーノねぇの両名が学園へと通う為に王都へと向かった為、比較的静かとなったフリューゲル家の邸宅に僕の名を呼ぶ声が響き渡る。
「何処に……何処に行ったの!?」
その声の主は僕の母、マリア・フリューゲルであった。
ドレスで着飾っているその人は息を切らしながら邸宅の廊下を走っていた。
「……あの、二人にあの子の面倒を見てもらっていた弊害が出ているわっ!こう、自分でちゃんと見るとわんぱく過ぎるわっ」
お母さんはあれだからね。僕のことを性的に見ないよう頑張っていたからねぇー。
僕が赤ちゃんとしておっぱいを吸っていた時は我が子として見ていたようだけど……成長すると共に、お母さんが僕を見つめる視線の中に情欲が入ってきたからね。
それを嫌がったお母さんはスッキリした時と大事な時以外に僕と関わらないよう努め、姉二人に僕の面倒を任せていたのだ。
だから、僕がお母さんから逃げ回っているのは優しさなんだよ?
あの人の前に出ないようにしてあげているのだ。
別に僕が自分の娯楽の為に森で魔物と格闘していたり、奴隷として売られたらどうなるかの好奇心で奴隷商に捕まったり、盗賊団を一つまとめて潰してみたり、今度は逆に支配して傭兵団にしてみたり。
そこら辺の行為はすべて、お母さんを考えてのことなのだ。
「あの子にっ……学園についての書類を渡さなきゃいけないのに」
「あっ、それは欲しい」
魔力で自分の存在を覆い隠して世界に紛れてながら天井にへばりついていた僕はその、お母さんの言葉を聞いて天井から落ちて、その手にある一枚の書類を手に取る。
「うわっ!?ど、何処から落ちてくるのよ!?」
「何々……?」
僕はその書類へと視線を送り、その文章を読み進めていく。
「……うん。特別なことは書いていないから。もう少しで王都に来てもらう時期だから。準備しておいてね、ってことか」
一年半前にアスカねぇが。半年前にリーノねぇが王都の学園へと入学した。
後、半年もすれば僕も学園に入学する。
学園の入学前に、王都で生活するための基盤を整えると、純粋な領地から王都の方までの移動時間もあるので、そろそろ僕もこの育ってきた土地を離れるときだ。
「よし!学園に行くための準備だね!必要なものをちょっと街で買いそろえてくる!」
「あっ!ちょっと待ちなさい!一人で街に出るなんて許さないわよ!」
「大丈夫大丈夫!うちの街にしか出ないから!あそこならもう一人で歩き回っている僕に慣れちゃって、堂々とみんな視姦するにとどめているから!」
「し、しかん……!?ちょっ、いい歳の男の子がなんてことを言うのよ!?」
「はっはっは!」
「って、はっ!待ちなさぁぁああああああい!」
顔を真っ赤にする初心なお母さんを笑い飛ばし、そのまま僕はこの邸宅を飛び出していった。
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