表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/6

ミッシング・セールスマン

二宮法二にのみやほうじは何者かに殴られて気絶していた。

時はすでに殴られてから2時間経過していた。

外は日が暮れかけていた。

寒さも出てきていた。

法二は寒さで目を覚ました。


「うぅ...」


法二は床にうつ伏せの状態で倒れていた。


「冷たっ...寒っ」


なぜか床は水のようなもので濡れており法二の服も濡れてしまっていた。

いまだにガムテープは手足を縛っている状態だった。

手元を見るとハットの男から受け取っていたはずの札束が消えていた。

法二はすぐに自分を殴った奴が奪っていったのだとわかった。


「...クソッ」


どうするにしろ、まずはこのガムテープを外さなければならなかった。

キッチンなら包丁があるかもしれない。

法二はうつ伏せの状態でキッチンの方にほふく前進で移動し始めた。

豪邸はどの部屋も電気が点いてなかった。

薄暗い中淡々とキッチンがあるであろう方向に移動していった。

キッチンの手前に来たところだろうか。テーブルの下に鍵が落ちていた。

車の鍵みたいだった。

法二はそれを取って手のガムテープに押し当てた。

どうにか手のガムテープを切ることができた。

足のは手で剥がした。

法二はすぐにでもこの家から抜け出したかった。

家を出ると自分の車が無いことにすぐに気が付いた。


「嘘だろ...マジかよ。」


法二は自分の持ち物が奴らに奪われていたことを思い出した。


「あー...そうだった。」


ポケットをまさぐった。特に無いだろうと思っていた。

鍵があった。さっきの鍵。

ガムテープを切ったときに使った鍵だが、よく見るとストラップに車のリモコンキーが付いてることに気が付いた。

豪邸には車庫があった。

車庫は綺麗なシャッターで閉まっていた。

試しに法二はリモコンキーのボタンを押してみた。


「ピッピッ」


音が鳴った。

法二はここから歩いて帰るのは嫌だった。

まだ奴らがいるかもしれない。もし襲われたら対処できないと。

法二はシャッターを開けようとした。

最初は素手で


「くっ!、くくくくぅ!!ダメだ。」


手じゃダメだった。

ふと車庫の横に生えている茂みが視界に入った。

何か棒状のものでシャッターを開けるのに使えるんじゃないかと法二は思った。

それを取ってよく見てみるとそれはバールだった。

もしかしたらいけるんじゃないかと思い法二はもう一度開けるのに挑戦した。


「くっ!、くくくくぅ!!ダメだ。やっぱりダメだ。」


綺麗なシャッターはびくともしなかった。

茂みにバールを戻し、車はあきらめて歩いて帰ることにした。

豪邸の他にある建物は近くても2キロほど歩かなければならなかった。

あたりはすっかり暗くなっていた。

歩き続けていると建物の光が見えてきた。

豪邸から一番近いディスカウントショップだ。

金も携帯も無い法二は店に入って店員に訳を説明して助けてもらおうと思った。

店に入った。

メガネをかけた年配の男の店員がいた。

法二が入ってきたのを見ると驚いたようにしてこう言った。


「あんた、どうしたんだ。それ。」


え?っと法二は自分の身なりを確認すると手が血で真っ赤になっているのが見えた。

その血は服全体にも広がっていて、店の入り口にあった鏡で自分を見てみると顔が半分血で染まっているのが見えた。

法二は恐る恐る自分の顔に付いた血を触るとそれは表面に付いていた血だということがわかった。

痛みは一切感じていなかった法二は混乱した。


「け、警察、警察呼んでくれ。早く」


店員は他の店員にそう呼びかけた。


「お、男が血まみれの状態で店の中に、、えぇ、えぇ、わからないけど立ってるんです。」

「おいあんた、な、何があったんだ?ええ?何があったんかわからんが警察呼んだからね!警察」


法二はすぐに説明した。


「近くの家の、あそこの豪邸で夫婦が殺されたんだ、、二人の強盗が殺ったんだ。それで俺は豪邸にセールスで行って」

「その血は夫婦のか!」

「え!?いや、いやでもわからないけど俺も拘束されてたんだ。強盗に持ってるもの全部取られたし。」

「とりあえずそこを動くんじゃない。あとは警察に任せるから」

「...もしかして僕を疑ってます?」

「...」

「おっ、俺はなんにもしてないですから!!」


それからすぐに警察がやってきた。




場所は変わって、警察署。

法二は取調室にいた。

無実の主張していたが今はもう心身ともにクタクタになっていた。

警察の話では凶器に使われたのは鋭利な刃物であり、家周辺で凶器にあたりそうなものを調査していた。

その中で凶器である可能性が高いものが発見された。

それはバールであった。

玄関横の茂みあったバールは家にあった刃物の中で唯一、血痕が残っていた。

それと同時に犯人と思われる者の指紋も確認された。指紋の照合は現在調査中だという。

法二は不安にかられていた。

不安の一つは凶器に使われたと思われているバールのことだ。

指紋を残したうえ他人の家のシャッターをこじ開けようとしたからだ。

シャッターの件が明らかになれば疑いの目は大きくなってしまう。

もう一つは血まみれでいたこと。

明らかに犯人の風貌になっている。

法二は無実を証明するために弁護士を呼んだ。


「あなたが二宮法二さん?」


弁護士がやってきた。


「ええ、弁護士の方ですか」

「はい、弁護士の落合和真と申します。事件のことは大体聞きました。二宮さんあなたの身辺情報も調べさせてもらいました。正直に言いましょう。あなたはかなり不利な状況に立たされている。」

「・・・そうですか」

「ですが、この状況をひっくり返せる方法もあります。」

「なんですか!あるんですかそんなこと!」


法二は椅子から立ち上がって弁護士に食い入るように聞く。

弁護士の和真は法二を睨むように見つめ言う。


「それは、あなたが私にハットの男の正体について答える。それだけです。」

「!?」


法二は驚いたように椅子に座り込んだ。


それから数時間が経って、法二は釈放された。

法二は警察署の扉を出てすぐにポケットに入っていたタバコを口にくわえた。


「フーーーッ...」


するとすぐに警察署から二人の刑事が出てきた。

二人は法二の取り調べをしていた刑事であった。

二人は法二の両脇に並び、タバコを吸い始めた。


「初めてじゃない。」


一人の刑事がしゃべりだした。


「あんた、今回の件以外にも何件か凶悪な事件に関わっていますよね。」

「・・・人聞きの悪い。私はどの事件にも関わっていませんよ。すべて無関係だ。」


法二はそう言い放ち歩き始めた。

二人の刑事は睨みつけるようにジッと法二の姿を目で追っていた。

二人の刑事は殺人事件を専門に取り扱う危機制管理部の者だった。


法二は通りなれた道を歩いていた。

あの事件以来、車を家に置いて歩きで行動するようになった。


「クソッ……でもよかった。無実を証明することができたんだからな」


ふと携帯が鳴った。知らない電話番号だった。

(誰からだろう)

法二は電話に出た。


「もしもし?」

「おい、俺だ!」

「ん?誰だ?」


(あ!あいつだ)

強盗グループのリーダーのハットの男の声だとわかった。


「あんたか!いやぁ、なんとかうまくいきましたよ。」

「ああぁ?!うまくいっただと?お前俺のことを警察にバラしたな。」


一瞬何のことかわからなかった。

ハットの男は怒っているようだった。


「え?何言ってるんですか。僕は警察には一言も何もしゃべっていませんよ。」

「嘘つくな!ペテン師が!」

「嘘じゃないです。本当です。」


法二は続けて聞く。


「というか、こっちがあなたに聞きたいですよ。口止めの札束を貰ってあなたが帰った後、僕殴られましたからね。あなたのデブの部下に。多分そいつが僕の札束を奪っていったんですよ。まったく腹が立ちましたよ。でも、おたくの弁護士に釈放していただいたのは感謝していますけどね。」

「・・・おたくの弁護士?」


一瞬空気が淀んだ気がした。


「え、ええ。あれって・・・あなたが雇った弁護士ですよね?」


法二は冷や汗をかき始める。


「俺はてめぇなんかの為に弁護士なんて雇った覚えはねぇ。まぁいい。大体わかった。てめぇの落とし前はてめぇでつけてもらう。首洗って待ってろ!!」

ガチャッ!!


電話が切れた。

法二は走り出した。

遠くへ逃げる為に走り出した。


「殺される!、殺される!」


法二は息を切らしながら走り続けた。

もうどのくらい走ったかわからない。

足も痛いし、肺が苦しい。

携帯のバッテリーも切れて連絡も取れなかった。

電話の最後にハットの男が言った言葉が頭の中でリピートする。


「首洗って待ってろ!!」


法二がフラフラになりながら走っていると、法二の前にいきなり男が飛び出してきた。

法二にぶつかった。

法二は驚いて男を見た。

ぶつかった男は顔を怪我しているのか、包帯でグルグル巻きにしていた。

その男は包帯の隙間から目を覗き込ませて法二を見ていた。

そしてふとこっちを見たかと思うと、こう言った。


「……あれ?どこかで会いましたっけ?」


男は目をキョロキョロさせていて、挙動不審であった。

法二は驚いていたが、相手にしなかった。

(なんだこいつはいきなりぶつかってきておいて何をいってるんだ)

と思った次の瞬間、後ろから大きな声が聞こえた。


「おい!!そいつだ!」


振り向くとハットの男がいた。

(まずい!!!)

そう思って立ち上がろうとした時、法二は突然、腹に違和感を感じた。

法二は腹の方に目をやると、腹には大きい鉈が刺さっていた。

ぶつかってきたあの男が法二の腹に鉈を刺していた。

法二は顔を真っ赤にしながらその男の顔を見上げる。


「いやぁ、思い出しましたよ。」


その男は顔の包帯をクルクルと外しだした。


「あっ、、、あああ、、、、」


その男はあのハットの男のデブ部下であった。

法二は姿を見た後、地面に倒れこんだ。


「ん~、いやぁ、厄介なことをしてくれましたね。」


そう言うデブ部下の後ろからハットの男がやってきた。


「君にはこの世界から消えてもらう。抹消だ。墓はない。行方不明となるだろうが、誰も探しゃしないだろう。」


ハットの男は法二に語り掛けるが、法二から返事が返ってくることはなかった。



ハットの男は部下に指示を出す。

部下は、麦わら帽子を深く被り、法二の体を担いでどこかに歩いて行った。


ハットの男は黒い手袋で血だらけの鉈を持ち上げた。

そして部下が行った方向とは逆の方向に歩き始めた。

するとその道の先から一人の男がやってきた。

その男はハットの男の前に立ちふさがる。

男は銃を構えていた。

危機制管理部の刑事だった。

法二の取り調べをしていた一人だ。


「その鉈を地面に置け。」

「お前、俺が誰かわかってるのか?」


ハットの男はそう聞きながら、ゆっくり鉈をおろし始める。


「わかってる。福良橋k」


刑事が名前を言いかけたその瞬間、ハットの男が鉈を刑事に投げつけた。

刑事は瞬間的に鉈を避け、ハットの男に一発銃弾を放った。

銃弾はハットの男の心臓にピンポイントで撃たれた。

刑事も避けた際に倒れたが、頬にかすり傷ができた程度であった。


鉈についていた血は二宮法二のものであると特定された。

すぐに二宮法二の捜索が行われたが、発見されてはいない。


二宮法二の情報は行方不明者リストの一人として登録され、地下の情報保管室に眠った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ