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いざ、キール軍との戦いへ!みんな行くわよー!

門の上に立つ私は、目の前に広がる兵士たち一人ひとりを見渡し、意を決して声を張り上げた。


「よしっ、たくさん集まったわね! みんな、配置について!」


私の言葉に兵士たちは静かに頷き、それぞれの陣形へとついていく。皆、迷いを捨て、強い覚悟をにじませた表情で自分の位置に着いた。


門の向こう、敵のキール王国の大軍は冷たい目つきでこちらの出方をうかがい、開門の瞬間をじっと待っていた。彼らの指揮官が嘲笑を浮かべ、大声で挑発してくる。黒いマントを肩にかけ、戦傷だらけの鎧がその歴戦ぶりを物語っていた。


「この国に、もはや戦う力など残っているはずがない! 無駄な抵抗はやめて降伏するがいい。武器も持たず、どう戦うつもりだ? ははは!」


よしよし、どうやらこの強面のおじさん、私たちが武器を持っていることに気づいてないみたいね


私は小さく笑みを浮かべ、堂々と声を張り上げた。


「降伏しろ、ですって? ふふ、そう言えるのも今のうちよ。後悔しても知らないんだから!」


私の宣言に、敵軍がざわつくのが見える。私は動じることなく、敵の指揮官を鋭く見据え、自分の剣を高く掲げて号令をかけた。


「みんな、行くわよ! きっちりお返ししてやりましょう!」


その掛け声に応じて門が勢いよく開かれ、待機していた兵士たちが一斉に敵軍に向かって突撃を開始した。


兵士たちは全力で駆け出し、敵軍の陣形に容赦なく切り込んでいく。突然の攻撃に、キール軍は驚き、瞬く間に混乱が広がっていくのが見て取れた。


「な、なぜ武器を持っている……!? 報告と違うではないかっ! こ、こんなはずじゃ……あり得ん……!」


敵指揮官は取り乱した様子で声を震わせ、その隙に私たちは一気に敵陣へと駆け込んだ。


剣を振り上げる兵士たちの掛け声が戦場に響き、士気はどんどん高まっていく。門の上から私はその様子を見つめ、兵士たちの勇敢な戦いぶりをしっかりと見届けていた。


「今がチャンスよ! 油断してるうちに押し込んでいくわ!」


私の掛け声でさらに鼓舞された兵士たちは、果敢に突き進む。彼らは迷いを見せず、仲間と互いに背を預け合い、鋭い眼差しで戦い続けた。


一方、キール軍は予想外の展開に次第に混乱が広がり、次々と後退を余儀なくされていた。驚くほどの威力で切り込んでくる剣に、彼らは防ぎきれず、混乱のまま総崩れになっていく。


「くそっ、退却だ! 一旦引け!」と指揮官が叫ぶと、キール軍は慌てて戦場から撤退していった。


敵が去っていくのを見届けると、私は弾むように息をつき、自然と笑顔がこぼれた。


やった! これって、私たちが勝ったのよね?


兵士たちも疲れきった顔で剣を収め、安堵と喜びの表情で勝利を分かち合い始めた。私は彼ら一人ひとりに声をかけて回る。


「みんな、見事だったわ! 本当にお疲れさま!」


私の言葉に、兵士たちは少し照れくさそうに笑いながら、何度も頭を下げていた。


しばらくして、何人かの兵士が私の方に歩み寄り、一人が嬉しそうに声をかけてくれた。


「アンナ様、あなたのおかげで勝てました! 本当にありがとうございます!」


別の兵士も真剣な眼差しで続ける。


「アンナ様の剣があったからこそ、こうして国を守ることができました。本当に感謝しています」


「いいのよ、みんなが頑張ってくれたおかげだから」


そう言って、私は彼らの疲れきった顔に優しい眼差しを向けた。


「でも、まだ取り戻さないといけない集落や町も残っているわ。そして王様も救わないといけないから……まずは明日、みんなも体をしっかり休めて、ケガ人を治療して、明後日からまた一緒に取り返しに行きましょうね!」


兵士たちは力強く頷き、私の言葉に応えるように揃って叫んだ。


「はい、アンナ様!」


その瞬間、ふわりと白い光が舞い降りるようにして現れたのは、魔力を測定してくれた美しい魔術師、エマさんだった。


「みんな、本当にお疲れさま。治療は私に任せてね。ちゃんと元気にしてあげるから、安心してゆっくりしていてね」


エマさんが手を差し伸べると、白い光が傷ついた兵士たちを包み込み、痛みを和らげていく。彼女の癒しの力に、兵士たちはほのかに頬を赤らめながら感謝の目を向ける。


「エマ様、ありがとうございます……!」


兵士たちの安堵の表情が、私の心も温かくしてくれた。回復していく彼らを見つめながら、私も静かに微笑んだ。


エマさんがふとウィンクして私に声をかけてくる。


「アンナちゃんのリーダーシップ、とっても勇ましかったわ。堂々とみんなを引っ張る姿、ふふ、私、惚れちゃいそう」


照れくさくて視線を落とすと、胸が少し温かくなるのを感じる。でも、どう返事をしたものか戸惑っていると、エマさんが少し申し訳なさそうに続けた。


「ごめんなさいね、攻撃魔法が使えない私には、こうして応急の治療をするくらいしかできなくて……」


私はゆっくり首を振った。


「そんなこと言わないで、エマさん。みんな本当に助かってるから!」


エマさんはわずかに表情を和らげて、再び兵士たちの治療に戻った。彼女の長い髪が光に揺れて、まるで聖母のようなその姿が私の心に静かに残った。

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