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らえん

「茜!こんなところでなにしてるの?」


生まれた均衡は後ろから安心と怒りがないまぜになったような声によって切り裂かれた。それは私にはとても頼もしく落ち着つくものだったが、死者の群れには焦りなどを与えたようで叫び始めたのだ。


「なんで生者が入ってくるんだ境界はどうした!!」

「儀式は完全に失敗したんですか!?」

「そいつも死んでればいいんじゃないか!!」


ざわつくかれらの視線はいつしか双子に集まっていく。しかし異様な様子に気づいていないかのように姉がまたおおきく声を上げた。


「こら!お友達に危ないもの向けないの!」


ごめんね、と近づく気配をついふりむいたしまった私は人影が視界に入るとそのままグラウンドに飛び出し縋りついた。いきおいのまま胸に顔をうずめた私の背中を姉の手が優しくおさえてくれると、一気に覚悟が緩み涙とともに流れ落ちてしまった。


それでも校舎の中に意識を向けるといつの間にか先ほどまでの怒鳴り声はなくなりただざわめく気配は増えているように感じられた。声が小さくなったためか言葉が聞き取れなくなっていたが、子供の特有の甲高い声ははっきりと届いた。


「落ち着いて。状況を確認し次第再開しますので皆様は会場に戻りお待ちください」

「あの方たちと接触すると今日は儀式ができなくなる可能性がありますのでご協力お願いします」


双子がいくつか言葉を発するとざわめきは遠ざかっていきすぐその気配は感じ取れなくなった。しかし、一人分の足音が近づいてくる。


「すみません、父たちが本気で仮想したせいで驚かせすぎたみたいです」


「ううんそれでも茜、うちの妹があなたを直接傷つけようとするのはおかしいから。おかしあつめに負けたくなくて頭に血が上ってたのかもしれないけど」


「そうなのですか、だからここのパーティーに来られたのでしょうか。なら、もうおどろかしてしまったあとですがこのドロップ飴を持って行ってください」


カラン、と音がして姉が手を離した後少し体を前に倒してうけっとったあと何かテープをはがす音がした。


「お返しとお詫びにこのお菓子もらってくれないかな?余り物になっちゃううんだけど」


「いえいえ!ありがとうございます。ならわれたいかせんべいをいただけますか」


「袋も空いてて湿気てるけど大丈夫?」


「大丈夫です、むしろその方が好ましいので」


あねはいろいろな十効かない点があるようで変だなと小さくつぶやいたが負い目もあるためか素直に渡したようだ。


「ほんとにごめんなさい、茜もほら自分で謝って」


姉がそういってかおを双子の方を向かそうとするので、あわててしがみつく力を強めながら絞り出すようにごめんなさいといった。


「大丈夫ですよ。父たちが悪ふざけで脅かそうとするかもしれないのでこっちは見ないように気を付けて帰ってください」

双子がそういうと姉は納得してなさそうだったが、これ以上は何もできることはないと思ったのかわたしの右手をとって歩き始めた。


腕の包帯で目を隠して歩いていたけど、校門を出たときについきが抜けてみてしまった校舎にはいつもと違った部分は(´;ω;`)そこでやっとお姉ちゃんと声を出せた。


それからしばらく心配させた挙句にけがをしていることを責められながら公園に戻ると子供はかなり少なくなっていたが私の友人は待ってくれていた。途中で姉にいわれてはいたが一時間たっても戻ってこない私を心配してくれていたらしい。


それから、遅い時間になったからか一緒に待っていた健太のおかあさんたちと姉が話している間私は質問攻めにされた。


本当のことは説明するのも怖いので双子と首無しの男が学校にいて探検していたと話すと本音を知らない友人たちはのんきに羨ましがってお菓子がもらえてなくても私の価値だと言ってくる。


それで、ゆういつもらった飴の缶を思い出したので姉から受け取りみんなで食べることになった。あの化け物のような死者たちからもらったと思うと不気味だったが、友人たちと冒険のあかしだと思って食べるとむしろいつもより輝いて見える。


残りのお菓子はまた学校に行って集まったときに食べることにして飴だけならとみんな許可され一斉に口に放り込むと期待以上においしく、かえる体がとても軽くなった。



クリスマスまでに次のリレー小説したいですね

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