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天女姫のお婿君  作者: 七星北斗
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プロローグ 現下

 年端もいかぬ童が暗い森で迷い、微かに差し込む太陽の光を頼りに歩くと、神々しいまでに清い湖に辿り着いた。


 湖に近づく童に、バシャバシャと水が跳ねる音が聞こえる。


「何だろ?」


 近づく度に童に聞こえたのは、妖精のような透き通る笑い声。


 そして目にしたのは、二人の少女の一糸纏わぬ姿。


 湖で水浴びをする少女、近くの木には衣がかけられていた。


 二人の少女は艶やかで美しく、同じ顔をしていた。


「やっぱここ異世界だわ」


 私、笹山斜芽(ささやまななめ)『高校生』は、どうやら異世界に転生したようです。


 で、今の私はショタっ子。


 それと、ずっと気になっているが、ゲーム画面のように、私のステータス一覧を見れるけど。


 ステータスに表示された魔女の呪いと、女たらしってなによ。


 私、中身女なんですけどーー。


 でもまぁ、男は苦手だし、女の子は好きなので、逆に好都合。


 しかし日本のアニメや漫画とかでしか見たことのないような可愛い女の子の裸、興奮しないわけがない。


 ガサッ。あ、しまった。


 興奮しすぎて油断してしまいました。


「誰っ?」


 えーっと……こういう場合、どう誤魔化せば。


 そうだ、今の私は子供。全力で可愛さをアピールして、助けを乞おう。


「僕、森で迷子になっちゃって」


 とりあえず、可愛さをアピールしたけど、反応はどうだろう?


「何だ、子供ね。覗きだったら殺しちゃうところだったよ」


 あれ!なにこの子供、とても可愛い。それに少しドキドキする。


「アザリー、この子どうする?この森に置いて行くのは危険だし」


 チラッとアザリーを見ると、呆然とした様子だった。どうしたんだろ?


 可愛い、可愛い、可愛い、可愛い。持ち帰りたい。


 アザリーは、表情をスッと冷たくすると、落ち着いた様子で言葉を返す。


「仕方ありませんわね。見捨てて魔物に襲われてしまっては、後味が悪いですし」


 何だ、いつものアザリーだ。


 どうやら助けてくれるみたい。全力の可愛さアピールの効果は、あまり無いように感じるけど。


「ナザリー、体を乾かして服を着ましょう」


「了解」


「遥かなる風の恵み、大地をそよぐ神の御使い『風陣』」


 二人の少女の周りを、風の柱が巻き上がる。


 なんだこれ!これが魔法?スゴッ


 濡れた体が、見る見るうちに乾き。アザリとナザリーは、下着に白の薄いローブを身に付ける。


 そして木にかけてあった羽衣を纏い、私に向き直った。


「少年、君の名は?」


 名前……前世の名前を言うわけにはいけないし。


「僕の名前は、ナオです」


「ナオね、了解した。私の名前は、エトワール・アザリーノ。こっちが、エトワール・ナザリーノ。少しの間だと思うけど、よろしくね」


「よ、よろしくお願いします」


 ぐーぐー。


「お腹空いているの?」


 私は恥ずかしくて、顔を背けた。森に迷って、半日何も食べていないのだから。

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