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ユートピア  作者: オータ
3/5

外へ

 散歩をしていた白い塊達は、1000年ぶりに「声」を聞いた。

赤ん坊の泣き声。

存在しないはずのバグの行く末は先祖返りだった。

白い塊達は、一切その声に干渉しない。

まるで聞こえないように去ってゆく。

けれど、自分はもうその外にいる。

産まれてしまった特異な存在を拾い上げて、抱きしめた。

ゆらゆらと揺らしてみたりすると、赤ん坊は笑った。


 その声に、その顔に、そして小さな指に、白い塊は応えるように泣き始めた。

涙も声も体の構造上出ない……から、体の構造が少し変わった。

ほんの少しだけで、見た目は他の塊と変わらない。

そして在りし日の地球で使われた、全世界共通語の一語を、赤ん坊へ言った。



「愛してる」



 声は不器用だった。産まれたての赤ん坊よりも遥かに。

けれど、その声に赤ん坊は笑った。

隣のあの人も、同じように声をかけた。



「愛してる」



 二人で小さな体を抱えた。

そして、逃げるように、生活区域からどんどん離れた。

幸い赤ん坊も食事や排泄が必要な体ではなかった。

だから、三人でどこまでも遠くに逃げた。

神か宇宙人か何か知らないが、プログラムの外へ隠れてやる。

そう強く思って、三人は逃げて逃げて逃げ続けた。

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