表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/66

虚しい想いは何処かへ

放課後、決心して告白をしてこいと友人から脅迫めいたものを受け取った俺は下駄箱にもたれ掛かり、蜜牧先輩を待つことに。


20分、30分......と時が経過して、待つこと一時間──蜜牧先輩と彼女の友人らしき女子が話ながら向かってきたのが確認でき、ゴクッと唾をのみ込み、落ち着くようにと呼吸を整える。

彼女の声と足音が近付いて、目の前を過ぎ去る瞬間に呼び止めようとしたが、思うように声が出ず、高く掠れた声だった。

「あっ、のぉ......」

彼女が俺の呼び止めた声に気付き、足をとめ、俺の方に振り返り見詰める。


──。

──。


彼女の足音が聞こえなくなったことに気付いた友人の女子が俺を見詰めながら佇む先輩に声を掛ける。

「莉奈、どうしたの?早く帰ろうよ~っ!」

「......」

「返事してよ、してってばっ!」

「──くから。用事を思い出したから、今日はごめん......また、ね」

申し訳ないような小声で返答した先輩。

「でも──じゃあ、またね......」

力なく返し、下駄箱へと歩きだし、昇降口を抜け、駆け出した彼女の友人。

「......良いんですか?蜜牧先輩」

「まあね......私に用があって、待ってたんでしょ?後輩くん」

「は、はい......そう、です。あの......すっ、すすっ......きぃ、で、でぇすっっ!」

首肯して、2分もの沈黙をつくり決心して、頭を下げて今まで彼女に伝えたい想いの丈を打ち明けた俺。

「......無理、なの。今、は......早ければ──」


彼女の返答は予想通りだった。

玉砕した。

面と向かって、無理と断られるのは思っていたより胸を抉られ、ショックで立ち直れそうもない。


今は......早ければ......ってどういうこと、なの?


放心状態で立ち尽くした俺に呼び掛け続ける彼女。

「ねぇ、後輩くん?だい、じょうぶ......だよね?かたまっ、ごめんねっ、ごめんね、後輩くんっ!──後輩くぅ~んっっ!!!」


──。


校内に彼女の叫び声が響き渡った。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ