虚しい想いは何処かへ
放課後、決心して告白をしてこいと友人から脅迫めいたものを受け取った俺は下駄箱にもたれ掛かり、蜜牧先輩を待つことに。
20分、30分......と時が経過して、待つこと一時間──蜜牧先輩と彼女の友人らしき女子が話ながら向かってきたのが確認でき、ゴクッと唾をのみ込み、落ち着くようにと呼吸を整える。
彼女の声と足音が近付いて、目の前を過ぎ去る瞬間に呼び止めようとしたが、思うように声が出ず、高く掠れた声だった。
「あっ、のぉ......」
彼女が俺の呼び止めた声に気付き、足をとめ、俺の方に振り返り見詰める。
──。
──。
彼女の足音が聞こえなくなったことに気付いた友人の女子が俺を見詰めながら佇む先輩に声を掛ける。
「莉奈、どうしたの?早く帰ろうよ~っ!」
「......」
「返事してよ、してってばっ!」
「──くから。用事を思い出したから、今日はごめん......また、ね」
申し訳ないような小声で返答した先輩。
「でも──じゃあ、またね......」
力なく返し、下駄箱へと歩きだし、昇降口を抜け、駆け出した彼女の友人。
「......良いんですか?蜜牧先輩」
「まあね......私に用があって、待ってたんでしょ?後輩くん」
「は、はい......そう、です。あの......すっ、すすっ......きぃ、で、でぇすっっ!」
首肯して、2分もの沈黙をつくり決心して、頭を下げて今まで彼女に伝えたい想いの丈を打ち明けた俺。
「......無理、なの。今、は......早ければ──」
彼女の返答は予想通りだった。
玉砕した。
面と向かって、無理と断られるのは思っていたより胸を抉られ、ショックで立ち直れそうもない。
今は......早ければ......ってどういうこと、なの?
放心状態で立ち尽くした俺に呼び掛け続ける彼女。
「ねぇ、後輩くん?だい、じょうぶ......だよね?かたまっ、ごめんねっ、ごめんね、後輩くんっ!──後輩くぅ~んっっ!!!」
──。
校内に彼女の叫び声が響き渡った。