真っ青な顔の義弟
「ただいまぁ……」
玄関扉が開いて、義弟の声が聞こえ、すかさずにソファーから立ち上がり玄関へと急いだ私。
「おかえりなさい、たく……」
私が玄関に着くなり、彼が顔を真っ青にしながら脂汗を浮かべて腰がひけたような体勢でいた。
「せんぱ、いぃ……ごめん、ごめん俺が……お、れが……赦しぃ、て……ぇお願いぃぃっ……」
「えっ……?どうしっ……なんでそんな謝るの?ねえ、どうしたの?一旦落ちつこ、ねっ拓海」
私は状況が理解出来ないで困惑しながらも、彼を落ち着かせようと右腕を彼の背中に伸ばし摩ろうと触れた。
すると彼が怯え、さらに身体の震えが先程とは較べようもなく凄まじくなり、ひぃっ、と悲鳴をあげる。
「ごめんごめん、ごめん先輩ごめん先輩、先輩先輩先輩先輩先輩先輩ごめんごめんごめんごめんごめん、赦して赦して赦して赦して先輩ごめんごめんごめん——」
「もういいから……拓海くん、ねえ謝らなくていいから部屋行って休もう。ね、拓海くん?」
彼が頭を抱え、胎児のようにうずくまり謝り続ける光景に恐怖を抱きながらも自室で体を休めるように柔らかい声音を心掛けて促すことで必死な私。
5分ほど念仏のようにブツブツと謝罪をしていた彼がようやくのそりと立ち上がって、靴を脱いで階段を上がろうとした。
よろける彼の身体を支えようと片腕を伸ばしたが、触れた瞬間に払い退けられた私。
「平気だよ……だからボクをほっといて、一人にしてよっ」
そう吐き捨てた彼は壁に片手をつきながら、のそりのそりと階段を一段ずつ上がっていく。
恐怖で怯えた震える彼の背中を見上げながら、自暴自棄のような彼の言動を疑問にし、リビングへと戻る私だった。
彼には何も訊けずに、その夜は母と義妹の三人で家族会議を設けた後に就寝した。




