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後悔と気付き

私は風呂上がりに義弟の部屋の扉の前で立っていた。

彼に私の存在を悟られまいと慎重に息を吐き出して、扉をノックする。

「あのぅー、私だけど……今って良いかな?」

「はぁーい、良いですよ」

部屋から彼の返事が聞こえ、私はドアノブに手を掛け扉を開けて、足を踏み入れた。

彼はベッドに腰を下ろし、ラグに両足をおろして座っていた。

「どうしたんですか、先輩……?」

閉めた扉の前で佇む私に、彼が柔らかい声音で訊いてきた。

「四條原くん、隣に座って良い?」

「えっ、ああ、はい。良い、です……」

私は彼の返事を聞いてからベッドに歩み寄り、彼の左隣に腰を下ろした。

彼から動揺がひしひしと伝わってくるが、私は彼の太腿に片手を置き、吐息を多めに吐きながら妖艶さを感じるような声で、「拓海、私のことって嫌い?」で訊く。

彼は一瞬だがブルっと身体を震わし、「そんなこと……ない、よ」、と歯切れ悪く返答した。

「拓海って私の母が再婚する以前に、私に告白したよね?」

「う、うん……そうだけど、それは」

「拓海は私の裸を……抱きたいって、思ったことってあった?」

「えっ……先輩、何を言い——?」

彼の瞳が私の顔を捉えることなく忙しなく泳いでいた。

「莉奈って呼んで、拓海。そして、拓海の手で穢れた私の身体を清いものに塗り替えて」

私は言い終える前にルームウェアの留めていたボタンをひとつずつ外していき、ラグの上に脱ぎ捨てブラジャーのホックに手を伸ばし外し、ブラジャーもルームウェアの上に落とした。

私は立ち上がり、ルームウェアのズボンも脱ぎ始めショーツを穿いただけのあられもない姿を彼に晒した。

「……せ、んぱい」

彼は興奮した様子を見せずに、憐れむような瞳で私を見上げて硬直していた。

私は彼に構わずショーツを脱いで、その場に握っていたショーツを落とした。

「何しっ……先輩、どうしちゃったんだよ。早く着てよ……!」

彼は慌てて脱ぎ捨てられた私のルームウェアを拾い上げ返そうとした。

私はルームウェアを拾い上げようとした彼の腕を掴み、「私は……身体を清めて……ほしいの。拓海の手で……拓海の指先の感触がどうなのか……知りたい。お願い、拓海。私は……私以外の女子()は、拓海が満たされないものを満たしてるの?私じゃ……拓海が満たされたい全てを満たせないの?」

「……せぇんぱいは、何言ってんの?なんか……あったの先輩?」

彼は歪んだ顔で涙を流していた。

私は彼が涙を流している姿を見て、彼が何故泣いているのか理解できずに、「拓海、抱いて……私を抱いて。拓海に嫌われない女性(オンナ)になるからぁっ……ねぇ、拓海ぃ」、と彼の体に自身の身体を預けながら縋り続けた。


私が意識が戻って目覚めると、彼の体に覆い被さっていて裸で寝てしまったいたことを察した。

私は彼の体の上からおりて、閉められたカーテンを僅かに開け外が暗いのを確認した。

ブラジャーを付け直しショーツを穿き、ルームウェアを着て彼の部屋を出て自室に戻った。

私は自室に戻りスマホを手に取り、電源を入れ時刻を確認した。

3:24とスマホの画面に表示されていた。


私は、麻生が私に及んだ行為が——昔の父親だった卑劣なケダモノが及んだ行為は、四條原拓海であればどういった感情になるかを確かめたかった。


私は、四條原拓海(かれ)のことが好きだった。


あんなことして、拓海にさらに嫌われたよなぁ……


私は後悔で眠ることができずに、翌朝を迎えた。



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