二人で並んでラーメン1
「あのさ、ちょっと付き合ってよ。無理?」
「付き合う……?って、どこに……」
「ついてこれば分かる……」
田崎からの唐突な誘いに、首を傾げ困惑して訊いた私。
そんな私をベンチに置き去りにして、背中を見せ歩き出した彼女だった。
私は仕方なく、田崎の背後をついて歩いた。
人気のない灯りが少ない道を突き進んでいく彼女は、無言のままだ。
「……」
「あ、あのっ……カツアゲでもする気、ですか……?あの……」
十分は歩くことなく、ビルとビルの間に挟まれ建つラーメン屋の前で田崎が脚を止めた。
「入ろ、夙坂さん」
彼女が振り返り、優しく入店を促しながら暖簾を潜って、扉を開けた。
私はおそるおそる彼女に促されるがままに、ラーメン屋に入店した。
「……」
彼女は私に気遣うことなく、カウンター席の椅子に腰を下ろす。
「おっちゃん、注文いい?」
「あいよ!」
ラーメン屋の主人の威勢の良い声が厨房から聞こえた。
「味噌ラーメン、餃子、ライスの中を」
「おうっ!そっちの嬢ちゃんはなんだい?」
「えっ?あぁ、えっと、醤油ラーメンと餃子を……」
「そんなとこで突っ立ってたら迷惑かかるでしょ。さぁっ、座りなよ」
彼女はパンパンと右隣の椅子を軽く叩いて座るよう促した。
「そうだね。ごめん……」
「てかさぁ、カツアゲなんて夙坂にしなかったっしょ。そんなダサいことしないって、私」
「ダサい、ねー。田崎さんは改心したんだね、やっと」
「私なんて、生ぬるいほうだったよ……私より、不良が極まってるヤツらなんてゴマンといるからなぁ〜。ほんと……中学んときは悪かったよ、夙坂。ごめん」
「そうなんだ……もういいよ、そのことは。田崎さんて……居場所、ないの?」
「……居場所?そんな風な顔、してる?」
「あぁ、いや……勘違いだったら、ごめん。変なこと、訊いてごめん」
椅子の背もたれにブレザーを掛けていた彼女のブラウスが若干透けていて、右の肩に赤紫色の痣が視界に入り顔を背ける私だった。




