ドラマで泣きたい
瞳に映るのは、室内で唯一の光源を発しているテレビの映像だ。
嗚咽を漏らすのを堪えながら、際限なく溢れる涙でテレビで流れる映像が滲んでいる。
壁に背中をもたれ、両膝を抱えながらレンタルしてきた『1リットルの涙』というタイトルのドラマのDVDを再生していた。
自室の扉を閉め切って、カーテンも締めて、蛍光灯すら消している私。
階下からは生活感のある物音は聞こえてこない。
義妹は実家を出て行き、東京に住んでいる。
義妹とはここ数年、顔を見てないし連絡もない。
義弟も実家を離れ、一ヶ月に何度か母親の様子を見に帰ってくるだけだ。
転がり込んできた母娘が残って、もとから住んでいた住人が実家を出ていってしまった。
ほろよいの缶を掴んでグビグビと残った酒を喉に流し込み、飲み干したほろよいの缶をグシャリと潰して、床に落とした。
ほろよいを何本飲み干したところで一向に酔えない。
アルコールの度数が高い酒を飲めば済むが、翌日に支障をきたすところまで至るのは避けたい。
同僚の教師はおらず、先輩教師で誘える人物は——そうそう居ない。
精神が擦り減った哀れな三十代の女性で、将来を語り合える相手さえ現れない。
校長や教頭には怒鳴られることは日常茶飯事で、生徒にも授業が詰まらないだのなんだのと愚痴られる日々である。
拓海の瞳が、私を減滅したように感じられるものになっていっている。
拓海が高校生だった頃までは会話があったのに、大学生になってまもなくした頃から会話が減っていった。
昔のようにはならない。
四條原莉奈の人生は——味気ないものへと変容していた。
私はヨレヨレのグレーのスエットに視線を落とし、はぁー、ため息を吐いた。
オシャレに無関心になったのは、いつからだっけ。
そんなことがふと過った私だった。
ベッドのシーツを撫でた。




