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もっと見たい向けられた笑顔

「──ねぇ、授業が始まってるよ、後輩くん。ねぇってば!」

まどろむ意識の外側から急かすような声が耳に届くと同時に頬に突っつかれる感覚を感じて、唸りながら重い瞼を開けた俺。

「うぅぅ......うえぇっっ!?蜜牧先輩ぃ~っっ!どうして......」

蜜牧莉奈の整った顔が覗かせて、キスが出来そうな距離にあり、突っ伏していた上体を起こして飛び起きた俺。

「私のこと、知ってるんだ。始まってるよ、授業。授業をすっぽかしても良いの?後輩くん」

「はっはいっ!って、もうそんな時間!?急がなきゃ......って、蜜牧先輩こそ授業は?」

教室を出ようと駆け出し、廊下へと飛び出す寸前に立ち止まる。俺の席から動かず佇む彼女に振り返り、訊ねた。

「保健室に向かってたときに寝てる君を見掛けて気になっただけで。気にしないで、後輩くんっ!」

笑顔を浮かべ、片手を振りながら急ぐように急かす彼女。

「......急ぎます」

彼女に一言残し、体育館へと急いだ。



蜜牧先輩──蜜牧莉奈、彼女こそ俺の想い人だ。

校内において、先輩後輩、同級生、教師からも人気の高い女子生徒である。

後輩である俺らの学年にも彼女を射止めたいと思っている生徒は多い。





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