乙女のような表情にある意味、怖さを感じる
クラスメートの女子——麻生愛梨彩の鋭い眼光に怯んでしまう俺だった。
「友人、的な……関係?」
視線を彷徨わせ、誤魔化そうとした。
「何で疑問けいだしッ……ミサキが見かけたって言ってたから訊いただけつーの。まあ、いいや〜ぁ……」
煩わしそうな低い声音の彼女。
ギャル風な派手な容姿で目付きが鋭い彼女の圧は物凄いものなのだ。
空気のような扱いの俺に声をかけてくるなんて珍しい。
彼女が言う見かけた、とは何をだろう?
ま、まさか、ねぇ〜……
冷や汗が……
「まだ、何かあるんですか?麻生さん……」
立ち去ろうとせず、俺を見下ろす彼女におずおずと訊いた。
「えっ……い、いやーぁ……何つーか——」
先ほどとは打って変わり、狼狽え、言い淀む彼女。
彼女が周囲を窺いながら屈んで、耳もとで囁いてきた。
「蜜牧先輩と友人の四條原、さんに頼みたいんだけど……先輩と話せる場を設けてほしい、って頼みは無理かな?」
「えっ……?」
「無理な感じ?」
「……いやぁ、訊くだけ訊いてみるけど、返事はどうか分からないですよ。それでもよければ——」
「良いからッ!それで良いからお願い、します……」
必死すぎるぅっ、この人っ!?
「うっうん……」
俺が首肯すると、乙女のような表情を浮かべた彼女だった。
我に返り、顔を片手で隠して、席へと小走りで戻っていく彼女。
彼女のあの表情って、初めて見たなぁ……麻生のグループに属する女子の恋バナにはあんな表情しないから。
仏頂面とまでは言わないが、真顔の彼女は本気で怖い。ガチギレしてるのかと思うほどの圧を感じる。
髪は染めているが金髪ではないだけマシというものだ。




