こんな偶然…
着替え終えた俺はリビングのダイニングチェアに腰を下ろした。
「その再婚相手との出逢いやきっかけって何なの?」
「ああ、そうだなぁ……そういうのはおいおい話すよ。恥ずいんだよ……勘弁してくれよ、今日は」
「やめとくよ、今は」
ため息が漏れる俺だった。
30分が経過した頃、インターフォンが鳴り、父が玄関へと向かう。
玄関先で父と女性が会話を交わす声がする。
女性の声音は母親の声の雰囲気ととても似ていた。
母親となる女性の声とは異なる声が僅かに聞こえてきた。再婚相手には子どもが居るんだなと理解した。
リビングに近づく足音は確かに三人で間違いなかった。
父の再婚相手である女性が視界に入った瞬間に既視感というのだろうか、なんだか雰囲気が誰かに似ていた。
瞬時にその相手が誰だったか思い出せそうで思い出せないもどかしさを感じずにはいられなかった。
「——」
「あっどうも……これからよろしくお願いします」
これから母親となる女性が発した第一声が耳に届いた瞬間に、わたあめを口に入れた刹那、舌に触れた瞬間に溶けたかのような感覚に——錯覚に陥り、咄嗟に返すことが出来なかった。
女性に叱られバツが悪そうな表情を浮かべながら背後から姿を現した少女を見て、合点がいった。
少女は——蜜牧莉奈だった。
蜜牧先輩の様子に父と再婚相手の女性——蜜牧先輩の母親が訊いてきた。
「「なんかあったの?」」
「「……」」




