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一方通行な恋
放課後の教室。
教室内には俺と友人の加賀原の二人が残っていた。
「諦めなよ。ったくよ~脈なしなんだし無理だってぇ~」
椅子の背もたれに肘を付き、頬杖を付きながらつれないことを口にする彼。
呆れたようにため息を吐いた彼に言い返せない。彼の言う通り、脈なしなのだ。
突っ伏していた上体を起こし、彼の顔をまじまじと見ながら、「あのさ......」と呟いた。
「......」
「......」
「さっさと続きを言えってんだよっ!むずむずすんだよ、そういうの。早くしろ」
「うっ。ひ、酷いよね......たまに。好かれるようになるにはどうすれば良いかってことを......なんだけど」
彼の声に怯え、小声になる。
「そうでもねぇだろ。まあ、なんだ......あれだよ、調査。そう、好みを調べ、近付けばいけんじゃない?」
「うぅ~ん、そうだけどぉ~......」
「頑張れよ、諦められないってぇんだったらな。締められるぞ、そろそろ出ないと」
肩を叩き、椅子から立ちあがり、帰宅を促す。
「そうだね。帰ろ、見回りの教師が来る前に」
俺は、加賀原と教室を後にして、帰路につく。