第1話【計画】
なろうでは久しぶりの東方projectの二次創作です。
かつて、共に切磋琢磨して同じく二次創作を作って来た仲間達よ。
挫折した友よ!続きを悩む同志よ!
私は再び二次創作の舞台に帰って来た!
畜生界を動物達が支配する計画を阻止して数ヵ月が経つ中、幻想郷の閻魔である四季映姫・ヤマザナドゥはある提案を守矢神社の八坂神奈子に持ち掛けられていた。
「埴安神桂姫の代わりですか?」
「ああ。そうだとも。今回の一件で畜生界の規律は大きく変わるだろう。
いや、本来の弱肉強食の時代に戻ったと云うべきかね?」
神奈子はそう言って笑うと椅子に座る事を断り、床に胡座を掻いて映姫の顔を眺める。
椅子に座らないのは自分を罪人の魂ではないと自負しているからと云うのも込められているが、胡座を掻いて座るのは自身が映姫と対等の立場にいると示す為でもあった。
そんな神奈子に映姫は溜め息を吐く。
「そんな事を言う為に地獄の裁判所に来たのですか?しかも堂々と私の仕事中に?」
「悪いとは思うが如何せん、私達ーー守矢神社は部外者だ。
だから、幻想郷で起きた事件の真相や出来事を聞くのに少々時間が掛かってな」
「それは本当に私の仕事を妨害する程、重要な事なのですかね?
そもそも、貴女はーー」
「おっと、まさか、神である私に説教かい?」
「ここは貴女が依り代にする守矢神社ではありません。冥界の先にある地獄の裁判所です。
よって、今の貴女は私に裁かれても何も言えないと解っていますか?」
閻魔である映姫のその言葉に神奈子の笑みが消える。
神としての尊厳を冒涜されたからではない。
自身が軽率過ぎて閻魔の機嫌を損ねないか、一抹の不安が過ったからである。
神奈子の頬にツーッと冷たい汗が一滴流れる。
そんな神奈子の様子に映姫は杓を彼女へと向けた。
「此度の裁判の妨害は厳重注意とします。即刻、この場を去りなさい」
「その前に私の話しを聞いて貰おうか・・・」
神奈子はそう言うと自身の後方にいる魂に振り返る。
その魂は最早、人間の形を失い、フワフワと浮く丸い霊体となって漂っている。
「この魂になった人間は私達の信者だ。
だが、生前は罪を犯した荒くれ者だった。
そんな奴が行くところは地獄だろう。もしくは畜生界かも知れんな」
「それは今から執り行う裁判次第です」
「それなら今回、神である私はこいつの弁護をする」
その言葉に映姫は眉をひそめ、神奈子の出方を探る。
「・・・私に条件でも要求するつもりですか?」
「畜生界がまた弱肉強食に戻れば、事態は変わらない。人間には都合の悪い場所になるだろう」
「元々畜生界とはそう云う所です。今まで構築されたヒエラルキーがおかしかっただけです」
「果たして、そう言えるのか、四季様よ。
私は別の見方もしているが?」
神奈子はそう言うと微塵も表情を崩さぬ映姫に語る。
「埴安神桂姫は人が造り出した偶像の神だ。つまり、時が経てば、また似た偶像崇拝の神が現れ、畜生界は同じ事を繰り返す」
「確かに貴女の言う事には説得力があります、八坂神奈子。
ですが、それを決めるのは畜生界であり、私達ではありません」
「それの根底を覆し、此方でも管理し易くしてやろうって言うのが私達の提案だ」
その言葉に四季映姫はここに来て、はじめて守矢神社の祭神・八坂神奈子に興味を向ける。
「・・・何を考えているのですか、八坂神奈子?」
「ヒーローって云うのは何処へだろうと現れるものだろう?」
「私の聞き方が悪かったですか?
話しを続けろと言っているのですよ、八坂神奈子?」
神奈子はここに来て、再び余裕を取り戻し、映姫に笑みを浮かべる。
「まあ、そう急かすな、幻想郷の裁判官。
最終的に決断するのはあんたなんだからな。それに私はこう言った筈だ」
守矢神社の祭神である八坂神奈子はそう告げると一呼吸置いてから、もう一度同じ事を呟く。
「ヒーローって云うのは何処にでも現れるもんだってな?」
【八坂加奈子】
新勢力として幻想郷にやって来た守矢神社の祭神。
守矢神社の本来の神である諏訪子と自分への信仰力が失われるのを恐れ、風祝の東風谷早苗と共に幻想郷を訪れ、妖怪の山の一部を陣取っている。
幻想郷ではまだまだ新参ながら、その信仰を確実に伸ばしている。
【四季映姫・ヤマザナドゥ】
幻想郷の裁判官である閻魔。
白黒はっきりさせる程度の能力の元、その公平さはかなりのもの。
緑髪の可愛い少女の姿をしているが、部下にことある事に説教をしているだけでなく、休日も散歩がてらに幻想郷にやって来ては説教をして回っている為、幻想郷で相手にしたくない存在として一、二を争う程に避けられている。