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#00 それは生まれたての豆電球のような明るさで

新作を立ち上げました。どんどん感想送ってって下さい!※この物語はフィクションです。どこかの何かと似てても、それは気のせいです。

…ううっ…くううっ…オトシゴロぉ…なんで死んでしもうたんや…なんでなんやぁ…」

北海道のとある小さな牧場の、小さな事務室からそんな声が聞こえてくる。声の主は伊丹敬三。馬主だ。

オトシゴロとは、彼の所有していた名馬『タツノオトシゴロ』のことで、G1を4勝もしたどこに出しても恥ずかしくない名馬だった。そんな彼は去年のこの日に亡くなってしまった。元々ひ弱な事もあってか、10歳という若さでの死だった。それ以来伊丹は毎晩酒浸り(というよりも酒漬かり)になり、ギャン泣きし、素晴らしいダメ親父へとメタモルフォーゼしようとしていた。


「伊丹さん!伊丹さん!早く来て下さい!」「何じゃ牧場長!ワシは今オトシゴロスなんじゃ!出直してこい!」「オトシゴロスって…フフッ…いや、それどころじゃないですよ!伊丹さん、アメノムラクモの子供!今生まれ始めました!」「ナニィ!?何故それを早く言わんのじゃ!」「ああもう!とにかく急いで!」


ダメ親父は繁殖牝馬を1頭持っていた。それがさっき出た『アメノムラクモ』だ。パッとしない血統だが、先祖をたどっていけばトウカイテイオーやヒサトモ、シンザンといった名馬とも出会える牝馬で、伊丹曰く『ロマンじゃ!』と言ってセリで買ってきたものの血統的に付けれる種牡馬が余りおらず、更にお金が無いこともあってか、『じゃあとりあえず落ち目の馬でも付けてみっか』と、その時安かった『ライトニングライト』と言う馬と種付けされてしまった、哀れな牝馬である。(種付けの時は両馬ともども楽しんでいたらしいが。)


閑話休題。


伊丹と牧場長が着くと、既に足が出てきていた。

「牧場長…これは…」「ええ、恐らく逆子ですね。」

「頑張れ…頑張れ…」

伊丹の牧場では、出産の時は余り手を貸さず、母馬に任せると言う手法を取っているため、逆子であっても手を出さずに見守らなければならない。としている。つまり、無事に出産しますようにと祈るしか出来ないのである。

生まれ始めてから少し経ち、天気が悪くなっていた。大雨が来るか、といったその時。

!!!!!

落雷である。恐らく事務所のある母屋の避雷針に落ちたと思われるその光は、伊丹を、牧場長を、その他牧場の職員を、そして今現在全力で子供を産むのを頑張っているアメノムラクモを驚かせるのには十分過ぎる音と光だった。

「…っ!ビックリしたぁ!」

「…あっ!?牧場長!牧場長!」

「えっ!?」

伊丹の指差す先には仔馬が一頭、目をパチパチさせていた。

「「う、生まれたぁ!?」」

この、落雷によって生まれた仔馬が『ブリッツ』という名前を付けられ、活躍するのはまだ少し後だが、とにかく今は生誕を祝おう。


ヒヒィ~~ン!?!?!?(何じゃこりゃあアアアアア!!!!?!?!?!?!?)

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