ピープル退治から魔獣退治
俺達が会ってるトマソと今のトマソが同一人物。
話だけを聞くとこの場合…
「二重人格ですかね。」
「そういう捉え方になるよな。」
「そう私達は二重人格。悪の私と善良な私。2つの関係性にはちょっとしたすれ違いが起これば人格が入れ替わるのよ。そうだね。例えば…村のピンチとか?」
「村のピンチ?……まさか!彼女は自分自身を追い込んで自ら人格を…」
「千夜は頭がいいわね。でもまぁ半分正解かな。自分を追い込むというより追い込まれてしまったといえば話がはやいかも。エルフにとって時間はそれなりに結構ある。人間達なんかよりも寿命は長い…けれどどうしても時間だけで解決できないものがある。それが人の進行速度。」
「人の進行速度?」
ガヴリエルがどう言う意味?というよな感じで首を捻りながら疑問を浮かべる。
「人って、エルフと違って寿命が短いってあなた達は知ってたかな?その中でも私達エルフは耐え難き時間を生き延びている。それも100年に200年と時を重ねて私達は時代を跨いでいる。コレがどう言う意味かわかる?」
何だ突然。
急に寿命の話をしだした。
何か関係性があるのか?
[僕が具体的に話してやろうか。エルフについてよく知っているのは私だ。]
「じゃあ私がどうして寿命に拘っているのかあなたにわかる?」
[愚問だな。……耐えきれなかった。そうだろう。もう一つの人格が時折私に相談してきていたからな。生きる意味なんてあるのだろうかと…]
トマソがそんな事を?
とてもじゃないが、悩みを抱えてるようには見えなかったが…
「私から言わせていただきますが…とてもじゃないですけど、そんなふうには見えませんでしたね。」
「表向きはね。けれど裏である私は人生の悩みを抱えていた。ダークエルフとホーリーエルフこの2つのエルフ族の関係性では特にコレといった問題はなかった。しかし表の私はある人間と会って恋をした。そしてそれがどれだけの悲しみを背負う事になったか…」
「人間とエルフでの寿命が異なる。その上で表向きのあなたはその人間と人生を共にしたのではないですか?それは単なる後から来る後悔。ただの自業自得です。」
「おい千夜何もそこまで言わなくても…」
「いいえコレはあちらの問題です。それを巻き添えになる私達の身にもなってください。巻き込まれ挙げ句の果てには利用された。こんなのあたかも私を腹いせにしたとしか言いようがないんです。」
「そこの人間の言う通りだよ一夜。エルフの単なる戯れで妖精の宝玉を取られてしまうなんて持っての他…その身勝手のせいで私の使い魔がやられたんだ。」
「って言ってもただのピープルじゃないの。そんな弱々しいピープルでこの森を守っていたのには正直笑いが起こりそうだったわ。」
「くっ!言いたい放題いって…そもそも妖精の宝玉を手に入れてどうするつもりなの!それは私達ピープルが管理しているものなんだ。お前が手にしていいものじゃない。」
「それはどうかな?私が手にしていいかどうかはコレから決める。」
トマソは手にした妖精の宝玉を握りつぶしながらそこから放つ光みたいなのが周りにピカっとなり目の前が奇妙な光で包みだされる。
[まずいぞ!コレじゃそこの森が保てなくなる。]
「保てなくなる?それってもしかして、あの宝玉が原因か!」
いや待てそもそもトマソはいつから妖精の宝玉を手にしていたんだ。
俺達と話している時宝玉を持っている素振りは何一つなかった。
というよりあの宝玉は確かワータンが持っていたんじゃ…
「くっ!いつから宝玉を持っていたんだ。」
「きっと!私の使い魔を倒された時だ。私の使い魔を全て倒す事でランダムで何処かの森に配置される形でインプットしている。だからどうやってかは分からないけれど、それを見つけて上手く自分の手の中へと移動させたんだ。」
「な!?なんだそれ!ワータンが持っていた妖精の宝玉…アレはいったいなんだったんだ。」
空間移動か何かをも使えるのか?
そんな力があるなんて聞いてはいなかったぞ。
「!?皆んな伏せて!凶々しいオーラが周りに解き放たれる!」
それを聞き周りはしゃがみこみながら、ライの言う通り凶々しいオーラが周り全体へと広げさせ波を放つかのようにウェーブを起こす。
そしてその波が止まり伏せていた一夜達は再びトマソの方へと視線を向ける。
「……やられましたね。」
「何!何!何!トマソお姉ちゃんどうしちゃったの!何か怖いよ!」
[なんて事だ。起きてはならない事が起きてしまった。]
「……まさか宝玉を自分の体に埋めこめさせるなんて……正気の沙汰じゃないよ。あのエルフ。」
「………トマソ。」
トマソが凶々しいオーラを放った瞬間。
トマソ自身の体が変異を伴って形を変えていた。
それはまるでなにかの動植物みたいな。
いや肉食動物みたいな姿になってこちらに向かって雄叫びを放つ。
「ぐおおおおおお!!!」
「………は、はは。冗談だろう。ピープル退治の次は魔獣退治かよ。……笑えねぇ。」
[しかし魔獣変化かコレは興味深いな。]
ザン!
ドン!
「呑気に感想なんか述べてる場合じゃありませんよ。どうするんですかこの状況!」
魔獣に変化したトマソの大きな手での攻撃。
それを一夜達は難なくと避ける。
[うむ。まずはあの中に取り込まれてる宝玉を取り出す事だね。そうじゃないと君達同様その森も危うくなる。]
サ!
サ!
「どう言う事だ。何で危ないんだ。俺達に危険が及ぶのはわかるが、この森も危うくなると言うのがわからん。」
[その森は妖精の宝玉の力で森全体を守るようにして覆っているんだ。つまり宝玉が何者かに許可なく取られたりそれを無闇な方向で使用すれば…]
グニャグニャ…
「うわ!地面が泥みたいになってるよ!」
「ヤバイね。この森があのデカブツに侵食されている。」
「どうしようどうしよう!ガヴ沼にハマった事ないから対処の仕方が分からないよ!」
「……この泥逆に利用できるかも。」
「え!それってどう言うこと!」
「そこの妖精もどき私の言う通りにして。」
「もどきじゃないもん!精霊だもん!」
あの2人何か話し合ってるみたいだが…何かしようとしているのか?
「一夜さん。あの魔獣あのまま放置するわけにもいきませんよ。」
「ああ被害が村の方まで行き届いてしまったら、何のために俺達はここのピープル退治にきたのか意味が分からないからな。それに妖精の宝玉を手に入れるのが俺達の目的だし…このままおめおめと帰るわけにはいかない。」
雷の力はまだ使えそうだし…
それにもしかしたら…
「ワータンあれからトマソを取り除く事はできるんですか?」
[できない事はない。ただそれをするには今の君達の力量では無理があると推測する。]
「あの魔獣は猪みたいだが、それに関する攻略法はあるのか?」
[………やった事がないから何とも言えない。]
「じゃあやるしかないか……ガヴリエル、ライ聞こえるか!」
俺は少し離れた場所にいるガヴリエルとライに大きな声で聞こえるうにトマソをあの魔獣から取り除く事を伝える。
「あの人間なんて無茶な事を…でも案外肝が据わってるね。人間は嫌いと思ってはいたけれど、なんだかんだやっぱりあの人間は別かな。」
「え?え?え?どう言うこと。ガヴとライは何をしたらいいの?」
「もう私が指示を出すから。そっちは言う通りにして動いて。」
「了解!」
返事はいいんだね。
ザガン!
ドカン!
ドドン!
やたらと森をめちゃくちゃにしていく魔獣基トマソ。
最早自身を見失っているのか全てを無茶苦茶にしようと何が何でも巻き添えにしようとするかのように暴れ回る。
ずさー!!
「ふんす!ふんす!」
「さすがは猪さんですね。目の前の敵に脅威を感じているのでしょうか…まるで私を獲物と捉えています。」
ダン!
ドドン!ドドン!ドドン!
魔獣トマソはそのまま猪突猛進をして千夜は目掛けてたい当たりをしていく。
「そう来るのはお見通しですよ!」
ヒュイン!
ズゴン!
1つの大木を千夜は力を使って魔獣へと向けて放ち魔獣はそのまま横転しながら傾いて転ぶ。
「ぐるるるぐふ〜!」
「まぁそうですよね。大変ご立派になられると思います。しかしそれは仇となってしまうのですよ。」
魔獣はまたもや猪突猛進をして千夜へ向かって体当たりをしていく。
だがそこで…
「今だよ!ガヴリエル!」
「えーい!」
ヒュイン!
パン!パン!
ヒュルルン
パン!
魔獣の周りは至る武器や防具の残骸が落ちておりそれをあらゆる形で1つの檻を作る。
ズドン!
ズドン!
ズドン!
「ああ〜それ無理無理。何せ私の力でその檻の下は泥状化としているから。」
ミシミシ!
ギュルルルン!
バシャン!
「あちゃまさかの檻ごと破壊か〜やられたな。」
「呑気な事言ってる場合じゃないよ!ガヴの作った檻が!」
「にひ!」
魔獣が笑った。
まさかトマソさんが?
ズシン!
ズシン!
ズシン!
「あわあわあわ!このままだと!ガヴ達押し潰されてしまうよ!」
「私の指示ダメだったのか…あるいは力不足だったのか。いやでも泥の状態で抜け出せなかったのは正解だから。やっぱり檻に問題が…」
「もう!こんな時に問答してる場合じゃないよ!主様〜!助けて〜」
「ああ〜もう!お前らも少し時間稼ぎはできないのか。」
「主様!」
ピンチになる2人に颯爽と現れる一夜。
ここから一夜の本来の力による規制された力が解放される。
「さて、まずはどうやってアイツからトマソを引き摺りだすかだが……まぁ初手はやっぱりあの技だな。」




