心
ガヴガヴガヴガヴ……ウップ。
ドスン!ドスン!ドスン!
ヒューーーン!
黒いヘドロのモンスターは怯えていた子どもを食べ満足そうにしながらその場を離れていき、白い霧が消え通常の街いや覇気のない街へと戻る。
「…………」
駄目でした。完全に気を喪失していました。あんなのに私が歯が立てるのですか?マスターならもしかしたら何とかできたかもしれないのに、私はただただ建物の中で怯えている他なく皆さんと同様臆病者に成り下がっただけにすぎませんでした。
「な、情け無いです。」
「情けない?それは違うにゃ、あれはどうにもできなかった。いやどうする事もできなかったのが正解にゃ。ああやって気を抜いてしまった何人かの種族はあのブラックハウスの餌食となって死んでいったにゃ。」
「ブラックハウス?」
「そう私達がそう呼んでいるにゃ…」
「全てを丸く飲み込んでしまう黒い泥沼の化け物。俺達は奴の事をブラックハウスとそう呼ぶようにした。」
「……家みたいに丸ごと真っ暗な場所に死を致しめるからブラックハウスそう言う事なんですね。」
「だからこの街は活気が無くなって来る奴らは視察やら街の経費や資金等で来る奴しかいないにゃ、お前みたいに武具や武装と言って店に来る奴はまずいないにゃ。」
「そうだったのか嬢ちゃん小さい割にしっかりしてんだな。悪いがそれを買ったままこの街を出た方がいい、もうこの街はそう長くはないだろう。あのブラックハウスがこの街にずっといびりつく限りもはや安寧の場所はない。だがそれでもここを我が故郷と思う奴はいる。怯えながらもいたいという奴は月に一回来ると言う新月(新月)という月が出た時に俺達は祭りをやる。その時でよければまた遊びにきてくれ。」
「………あの差し出がましい事を言うのですが、あの起こった出来事は皆さんどう思われているのですか?まさかあんなのはよくある事だから直ぐに忘れろとかそう思っているんじゃ…」
ガシ!
「おい!グルルマニャ!」
私が言った発言で思いっきり胸ぐらを掴まれてしまい形相した顔のグルルマニャさんが睨みながら私の顔を覗き込む。
「いいか、余所者は分からないかもしれにゃいが、誰もがそう言う感情を抱くのは普通におかしいと思うのが普通なのにゃ、平気でアレを水に流せる種族がどこにいる?そいつは最早闇に穢れた腐った野郎だにゃ。今の発言私がこうやって胸ぐらを掴んでお前に忠告をしているのは何処かで同じ事を言えばこうじゃただで済まされないと言うことをよーく脳内に叩き込むのにゃ。」
語尾にニャが入りつつもその真剣な顔で私に忠告をしてくれるグルルマニャさん。そうやっぱりそうですよね。そんな平気なわけがないんです。でもだからこそ私は聞きたかったんです。もしかするともしかするとと何処かしらあの人の背中が浮かびあがって期待している自分がいるんですから。でもそれにはまずやらなきゃいけない事があるんです。
「すみません。蛇足でしたね。以後気をつけます。」
「分かればいいにゃ…私も別にお前に対して怒っているわけじゃないゃ…」
「え?」
「ああ俺から代弁させてもらうよ。単に俺らは力がないから自分自身に怒っているだけなんだ。確かに嬢ちゃんの言い方は何もしないでただ見ているだけでこのまま引き下がるだけでいいのかと言ってる部分ではあるがそれは俺達が1番よく知っている事なんだ。だからどうにもできない事を余所者に言われると腹が立つというのはこの街の住人は誰しもが思う事なんだ。いやまぁ嬢ちゃんが悪いわけじゃない、ただこの街ではその言葉は禁句だ。言葉にする時はなるべく気をつけてくれ。」
「なるべくじゃなく肝に銘じてが正しいんじゃないのかにゃ?」
「あはははそれもそうだな。所で嬢ちゃんこの街に来て装備品を買った後何処かに行くのか?」
「はい。実は私獣人族の村に行きたいんです。そこである装飾品をもらいにいかなければならないんですがご存知でしょうか?」
「………」
「………」
何やら2人の顔が険しそうにしながら困り果ててるようにも見えた私は何か変な事でも言ったのかと心配しながら質問した答えの言葉をグルルマニャさんからとんでもない事を聞かされる。
「えーと、そのその為にこの街にきてあれなんにゃけど、獣人村はとっくの前に無くなっているにゃ。」
「…………え?」
そ、そんな。いやそんな事はありえません。現にまだ目的地とされる場所はちゃんとマークされています。だからその場所に必ず村があるはず。
「本当に無くなったのですか?」
「んにゃ…あれは30年前かにゃ、獣人族の村が人間側にとっては邪魔な村だから消して焼き払えと言われて燃えてしまって無くなったのにゃ今では獣人族達は離れ離れになっているやつも多いにゃ。でも装飾品なんて私の村にあったかにゃ?」
若干覚えているか分からない物が村にあったかどうか思いだすグルルマニャだが、それに月は妙な違和感を覚える。
思い出せるかどうか分からない村の宝玉。もしかしたら記憶操作されている可能性があるのかもしれません。いえ実際にこの目で見れば分かることです。ここからは新しい箒で飛べばほんの少しで到着できます。後は箒の回収ですが…
「すみません服を買った後に言うのもなんですが、何か箒みたいなのってありませんでしょうか?」
???
グルルマニャとレドリリアは何で箒?という顔をしながらお互い顔を合わせ疑問に浮かび、月に言われた通りに箒を渡し月はそそくさとしながら無くなった言われた獣人族の村へと急いで飛んでいく。
………アイリス視点
ブォーーン!
アイリスとLLは何とか直したホバーバイクに乗りながら結局水上で移動するのは諦め、地上で移動する事になり先程の自分達がこの世界に害する3つのポインターの話をし続ける。
「私達が世界を維持させない役割…そんなのってあるの?」
「あるか無いかは分からないかな。実際に今んところは均衡に保たれているし何も問題はない。でもこの世界を救った事で何が起こるかは僕でも分からない。さて鬼が出るか蛇が出るかだね。」
「そう……後本当に地上を走って大丈夫なの?さっき地上で走ったら駄目みたいな事言ってなかった?」
「ああそれは大丈夫。一部周りには見えていないプロテクトをかけてるからそれで問題はないよ。まぁモンスターは別になるけどね。」
「それって他の種族に私達は敵意されてるって事なの?プログラム的にそうインプットしてあるからとか?」
「いいやそうじゃない。あそこで僕がホバーバイクを出した事で上の街の人間がこっちに気付く可能性があるからなんだ。因みにこのホバーバイク、隠してはいたけれど、あの街では唯一の原動力にもなっているからね。それを持ち出したとなればそりゃあ僕達は叛逆対象になっちゃうよね。」
「ねぇ?私達側がさっきこの世界での被害を及ぼす事を言っていたけれど、そっちも同じなんじゃないの?私明らかに巻き添えを食らっただけにすぎないんだけど。」
「さぁ!このまま何事もなく進めば後は野となれ山となれだ!」
コイツ、自称管理者側の癖に都合が悪ければ話を逸らした。絶対にこんな人に管理者候補なんて選びたくない。
ブーーーン!
ブーーーン!
ブーーーン!
「え?何の音?何かエンジン音みたいなのが聞こえるけど?」
「エンジン音?このホバーバイクの事じゃないの?」
「だとしたら二重にも三重にも重なって聞こえてるというのはまずおかしいも思わない。」
「………あ、本当だ。確かに何かダブってるね。でも何処でそんな音みたいなのが…」
「………何か後ろの方に土煙を巻いてるのが見えるんだけどあれじゃないの?」
「どれどれ?」
LLはホバーバイクにセットしていたドローンを出し後側に見える土煙の何かを確認しとびだたせる。
ヒューーーン
ヒューーーン
ヒューーーン
「じゃあモニターをだすけど…いったい何が映ってるのかな?」
ピコン!
ピコン!
ピコン!
「え?待ってあれって…」
ギュイーーン!
パーーー!
ドカン!
ドカン!
ドカン!
「え!ドローン壊されちゃったんだけど!何が起こったの!僕前にしか集中できないから状況わかんないんだけど。」
「ああ〜それで私にだけしか映像が映ってなかったんだ。いや今はそう言う問題じゃなくて、ちょっとLL完璧に背後から追跡されるんだけど、どう言うわけ!」
「え?もしかしてバレて追いかけれてる感じ?うーん……よしアイリス君に任せた!」
「え!投げやり!意味分かんないだけど。どうすればいいわけ!」
「僕にできない事に君が質問をしてきても意味ないだろう。そこは君が考えてっていたたた!」
全く持って無責任な言い方に腹をたてたアイリスはLLの頭を強く押す。
「チッ!仕方がない完全じゃないけれど、私の力を使うしかないってことよね。」
そう…ここで僕が力を貸してしまえばアイリスの力が不安定要素でしか使えなくなっていく可能性がある。寧ろこの展開は僕にとってはラッキーだ。
「能力……第2世界の力スキル発動。」
アイリスはホバーバイクに手を翳しながら自身の力を注ぎ込みホバーバイクの形が一部改造され戦車の様な形となりアイリスの乗っている場所にいくつかの銃火器が装着される。
「へ〜こう言う事もできるんだ。ん?このボタンはいったいなんだろ?」
「あ、それはまだ押しちゃダメ!まだこの乗り物にそれは使う必要はないんだから絶対に押さないでよ。」
そう言われてしまうと押したくなるのがサガだけど…また妙な事故なんて起こしたくないからひとまず我慢っと…
カチャ!
「さて、まずはどの武器でアレをぶっ飛ばそうかな。………よしコイツに決めた!」




