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夢の国  作者: 虎月
4/5

四、観覧車

気付けば、空が白んできていた。

薄明るい中、観覧車は静かに回る。

生きた人間と、死んだ人間を乗せて。


「……最後まで一緒に居てくれてありがとうね」


「もう、終わりなの」


「うん」


巴の寂しげな表情は、その言葉が嘘ではないと告げていた。

胸が苦しかった。

出来ることなら、もっと共に居たいのに。


「……巴」


「なぁに?」


「大好きだよ。死んでても、変わらずに」


そう言うと、巴は笑ってこちらへ寄りかかってきた。


繋いだ手は、死者だとは信じられない程に今はちゃんと暖かい。

それが、とても悲しかった。

こんなに暖かいのに、彼女は死者なのだ。

決して共に居ることは出来ない。

ならば、これは夢か、それとも幻なのか。

だんだんと明るくなっていく空を見ながら、二人は何も喋らずに寄り添っていた。


「……私も大好きだよ」


そして、夜が開けた。

観覧車は動きを止め、その中にはもう、誰もいない。

遊園地も全て動きを止め、打ち捨てられた建物や遊具だけが残された。

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