一杯のコーヒーを千円で売るにはどうすればいいのかという問いかけがあるが実際起こりうる問題として二杯五百円のコーヒーを片手で持つにはどうすればいいのか、と聞いたほうが面白い面接になるのではないか
何故かデータの底の方に有ったのでもう投稿
高速バスを利用したことのない人は、おそらく自家用車に乗ったことのない人よりも多いだろう。最近は事故によりやや危険なイメージが先行するかもしれない。
しかしながらバス内では他の乗客に迷惑とならない限り比較的自由な行動がとれる。座席自体が小規模な個室となり、飲食やノートPCの使用など他の人の視線が気にならない。
(もちろん一例であり、強烈な匂いがするものを持ち込んだりイヤホン無しで音楽を聞いたりすることは駄目だ)
一度バスに乗り込めばそこからは暫くの待機時間だ。新幹線のような車内販売は無いし、ちょっと小腹が空くからパーキングエリアに寄るなどといった行動は出来ない。こうして書くとかなりの不自由さを強いられるかのように見えるが、事前に持ち込めば問題がない。
そう、事前に持ち込むというのが問題点なのだ。
空腹感を感じるのであれば事前にコンビニなどでパンやおにぎりを買って持ち込み、その場で封を破って食べれば良い。飲み物も、栓があるものならキャップをすれば良いのだ。
ところで、ある珈琲チェーン店にて『2杯目100円キャンペーン』が実施されているのをご存じの方は居るだろうか。その名の通り2杯目で同じサイズのコーヒーを注文するとそれが108円(税込)で飲むことが出来るというものだ。
私は愚かにもそれに非常に惹かれてしまったのだ。
高速バスという密室。利尿作用の大きいコーヒー。さらに、注文したコーヒーにはプラスチック製の蓋があるのみ。
「アッスイミセン、今からバス乗るんですけど2杯目って同時に頼めますか」(小声早口)
「はい! ご会計が2回になりますがよろしいでしょうか?」
「アッハイアリガトウゴザイマス」(小声)
その時私は片手にスーツケースを引いていた。するとどうなるか。
そこには、コーヒーのグランデサイズ2杯をなんとか左手で抱えようとしながらスーツケースを右手で引っ張る若者が居た! ご丁寧に両方にミルクを注いで!
ふと時計を見やると発車時間まで残り2分。距離にしておよそ50m。一般的成人男性なら、おそらく小学生でも間に合う時間だ。
だが、その時の私は右手でスーツケースと左手にコーヒー2杯! しかも上手に抱えることが出来ずに若干熱いと思っていた! コーヒーは店員さんがサービスしてくれたのかほぼ波々。不安定な歩みに、若干あつあつのコーヒーが手にかかる。
私は激怒した。必ず、かの無知蒙昧たる自分自身を罰せねばならぬ。だがそれよりも今は走るのだ。
そうしてカタツムリのような速度の歩行を終え、私は何とかバスに乗り込んだ。
しかしふと気がつく。
このバスには、飲み物を置く台が存在していなかったのだ。
実体験に基づかないフィクションです
ごめんなさい実体験でした