常識よりも事実
【ドクンッ、ドクンッ】
立て続けに二度の脈動。しかも大きい。
それを感じたと同時に辺りが騒がしくなった。
今度のは、他の人も感じたらしい。
でも、それ以上でも以下でもない。
地面が揺れているわけでも、雲行きが怪しい訳でもないから。
深夜だと言うのに、家々には灯りがつき始め慌ただしく動き始めている。
慌てて外に飛び出した人もいるんだろう。
叫び声や話し声が、開けた窓から聞こえてくる。
そして数分後、数秒の静けさのあと
『きゃぁぁぁぁぁ。』
『バケモノぉぉぉ。』
そんな声が聞こえてくると、言葉にならない叫びや大きな生き物の鳴き声が至る所でしている。
流石に尋常ではない様子に僕は、不要になった為にバラバラにしておいたワードローブの柱を持ち、左手には、リュックサックに数冊の雑誌を入れた物を持つ。
更に念入りに腹にも漫画雑誌を入れて、近くにあったビニール紐で括り付けた。
考え得る最強装備を纏い、部屋から出る前に、いつもの癖でケータイを手に取ると画面には
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コウ・ミヤムラ
学生 17歳
レベル 1
HP 30
MP 64
攻撃 21
魔攻 30
特攻 34
防御 19
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(なんだこれ?誰だ?)
メールが送られてきたのかと思ったが、壁紙がソレに変わっている。
外も気になるが、興味がケータイに移った。
画面に触れると画面が切り替わる。
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体力 14
力 16
敏捷 19
器用 21
知力 24
精神 34
魔力 30
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完璧にコレ、ゲームのステータス画面です。
高いのか低いのか、よく分からない数値をさらっと流して、また画面に触れてみる。
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右手 鉄の棒(長め)
左手 バッグ(盾モドキ)
頭 なし
身体 雑誌の腹巻き
ズボン ハーフパンツ
靴 なし
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ケータイ片手に自分の姿を見る。
・・・・・・
合ってる。
偶然では、ないよな。
検証するために、そのままの画面で左腕に絡めてあったリュックサックを下ろした。
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右手 鉄の棒(長め)
左手 なし
頭 なし
身体 雑誌の腹巻き
ズボン ハーフパンツ
靴 なし
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変わったのを確認。
こういう時は、自分の常識よりも事実を受け止めて前に進むことが有効なんだと思う。
リュックサックを持ち直して、外へと飛び出した