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シークレット・ゲーム  作者: 岩神 シキ
1/18

プロローグ

初投稿です。誤字脱字などがあればご報告下さい。


よろしくお願いします。

 とある王国のとある城。

 そこで、無数の金属が衝突し合う音が響いていた。



 つまり、争いが起きている。

 だが、そんな騒音の中で戦っているのは、たったの二人。


 一人は、闇と同化する程真っ黒な大槍を。もう一人は暗闇の中でも存在感を現す白銀の大剣を。

 それぞれに向かい合う敵に刃先を向けている。


 ……いや、それだけでは無い。

 二人の背後に存在する無数の剣と槍・・・・・・、それらも含めて敵に刃先を向けている。


 その武器達には手に持って操る者は居らず、剣は大剣と同じ白い色の服装をした男が、槍の方は黒い服装の男が操っている。

 剣と槍は、一つ一つが意思を持っているかの様に、それぞれの敵に向かって突進して行く。


 だが簡単には届かず、互いの剣と槍がただぶつかり合い、ただ音を鳴らすだけに留まっていた。


 そんな環境の中で、二人は殺し合いをしていた。











「–––––––我を前にして、ここまで持ち堪えるか。流石は『戦王せんおう』といったところか」


「その割りには、随分と余裕の無い顔しているんじゃないか?」


「………人間風情が。『魔神まじん』である我を殺せると思っているのか?」


「勿論、殺すつもりだ」


「ハッ! 力を手に入れただけの劣等種が、我を殺すなどと………。思い上がるな、人間!!」




 その侮蔑を含んだ怒号を合図に、両者共に床を蹴る。同時に、空中で静止している武器達も動きを始める。


 魔神と名乗る黒槍の男は、戦王と呼ばれる男の心臓目掛けて槍の穂先を突き出す。

 対して、戦王と呼ばれる男は即座に白銀の大剣で防御する。が、防ぎ切れず槍の軌道を反らすという形となった。


 魔神はすぐさま空中で動き回っている幾つかの槍を操作し、戦王の男に向かって突進させる。

 男は自分に向かって来る槍を即座に打ち落した。だが、




「これで最後だ!『グングニル』!」




 戦王の背後から、嘲笑うかのように放たれた黒き閃光が疾る。

 その光によって、大剣を持っていた右腕が跡形も無く消滅した。


 禍々しい光は城を貫き、丸い穴を開け、そのまま暗き夜空へと消えて行く。

 その光景を見て、魔神は思わず勝利を確信し、嘲笑染みた笑みが溢れた。


 だが魔神が喜ぶのも束の間だった。


 事実として、右腕を失った戦王は倒れなかった。

 まるで、この事が起きると分かっていたかのように、即座に大剣を左手に持ち変え、




「な!––––––」




 魔神の胴体に深々と突き刺す。

 突如、白銀の大剣は強い輝きを放ち、とどめとばかりに魔神の腹部を中心にして白い光が蝕むように広がっていった。




「ガァッ……。貴…様……いったい、何を……した?」


「そんなこと今更どうでも良いだろ?………どうせ、どちらも死ぬからな」




 右肩から止めどなく流れ出る血河を眺めながら、戦王は呟く。

 見て分かる程出血量が多く、治癒魔法を行使したとしても、到底助からない。第一、治癒魔法を扱える者はここにはいない。


 その事実が、戦王を死へと向かうことを肯定させてしまう。




「一撃喰らっただけ…で……これ程とは。…やはり………『聖剣』……には…勝てぬ……か」




『魔神』は苦しさの余り、血を吐きながら立て膝を付く。




「………だが…我が今死んでも……一千年…いや……五百年もすれば…我は蘇る…。貴様は………無駄死にという訳だ」




 魔神は負け惜しみの言葉を吐きながら、静かに笑い始める。

 普通の人間なら、ここで絶望するなり激怒するなりするだろうが、この男は違った。




「……俺の命だけで世界が数百年も平和になるなら………安いもんだろ」




 その言葉には絶望は混じっておらず、どちらかと言うと楽観的だった。


 こちらも負けじと思って言ったのだろうが、それを言った頃には魔神は既に息絶えてしまっていた。

 その言葉を聴いている者は、この場にはもう居ない。


 すると、男は糸が切れたように床に倒れる。刻一刻と『死』が近づく中、男は悲しみの籠った言葉を放つ。




「………結局、約束守れなかったな」




  その言葉は、誰に対して言ったのかは分からない。


 そして、そう呟いた瞬間、男の意識が途絶えた。

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