森での夜
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雑談をしながら街へと向かっていたが、しだいに日が沈んでいった。
「……間に合わなかったじゃない‼︎いやよこんなとこで寝るの‼︎」
結局、森を抜けることも叶わず、少し開けたところを探してそこに泊まることにした。
……泊まるといっても木に寄りかかって寝る程度の仮眠なのだが。
「寝ないよりはマシだろう!」
「……」
ロッティは木に寄りかかるツバキを見て、近くの木へと寄った。
「まさかロッティ、寝るの?」
大丈夫なの?とティノがロッティの近くへ来る。だが、ロッティは木の元へとつくと、身軽にその木を登り始める。
するすると木を登り太い枝へと移ると、そこに腰をかけた。
「私は、ここで……」
さすがに地べたで寝るのは気が引けたのだろう。
「おぉ〜。じゃあ、私もそこにしようかなぁ〜」
ティノは黒猫の姿になると、しなやかな動きで木を登りロッティの元へと行った。そして、ロッティの腿の上に丸くなって寝る。
「お前ら……俺だけ地面かよ……」
愚痴をこぼすようにツバキが呟く。
「そこで番人でもしてなさいよ〜」
そんなツバキに対してティノは冷たくあしらう。ロッティはティノの綺麗な毛並みを向きに合わせて撫でながら、目を閉じていった。
「……ロッティ、ぐっすりね」
撫でられたことが気持ちよかったのか喉を鳴らしていたが、ロッティが寝たのを確認してから口を開いた。
「毎日、気を張っていたんだろ……。そりゃあ疲れる。でも、すぐに俺たちに気を許すなんてな……」
初対面にもかかわらず、ロッティは自分たちが探していた人物だと分かると平気でついてきた。
「それだけ安心したんでしょ。……どれだけ大変だったのかしらね、この歳で、あなたの元へたどり着くのは」
「……」
ロッティの見た目は十四くらいだ。大人というわけではないし、子供としても扱いづらい年頃だろう。
今まで、どうやって生活してきたのか。どれだけの間ツバキたちを探していたのだろう。
「それにしても、ツバキにしてはよく話したわね」
「なにを」
「シェリのことよ」
「……」
シェリ……それは、日が沈む前に話していた、ツバキの恋人の名だ。
「アレスの情報が少しでも得られそうで、あなたも安心して口が軽くなったのかしら」
「……そんなことは、ない……」
そう言いツバキは顔をさげた。夜の明かりにかすかに照らされていたツバキの顔に影ができる。
「…………ティノ。俺の"呪い"は、自分自身の弱さなんだろうか」
問いかけるように言うツバキの顔は、ティノがいる木の上からは確認できなかったが、自分を責めるような声音で静かにそう言った。
「…………そんなことないわ。これは運命だと思えばいいのよ」
少し考えてからティノは言う。
「……助け、られるかな……」
普段強気なツバキが、弱音を吐く。
「大丈夫よ。だってあなたはレグルスなのよ?」
励ますように言うティノだったが、ツバキにその声は届かない。
「もう残された時間は少ないんだ……。はやく、はやく行かないと……」
今にでも泣き出すのではないかと思うほどにツバキの声は震えていた。
そんなツバキを見ていたティノは、木の上から音を立てずに降りてくるとツバキへと寄り添った。
「大丈夫。今日はもう寝たほうがいいわ」
ティノはそれだけを言うと、またロッティの寝ている木の上へと戻っていった。
「……そうだな。寝るか……」
一言そう呟くと、ツバキは誘われるように夢の世界へとはいっていった。
短い文章で何回も投稿していてすみません……!
次は少し長くなるかも……!
がんばります。
楽しんで読んでいただけたら幸いです