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へんめが

変態女神が創ったRPGはろくなもんじゃない 第七話からのルート分岐 もしも沙耶が歌っていたら ※バッドエンド注意

作者: 山田千春

 四ノ宮浅那は目を覚ます。


「……知らない天井だ」


「何を言ってるのじゃ。天井などなく、ただの青空じゃ」


「……その通りだな。あれからどれくらい経った?」


 だんだんと思い出してきた。たしか沙耶に殴られたのか?そうあれは――アックスボンバーだった。


「ふむ、大丈夫そうじゃの。なに、5分ほどじゃ」


「いてて、全然大丈夫じゃねぇよ」


 倒れたときに地面にでも打ったのか体の節々が痛い。まだ高校1年生だってのに。


「ではプリンの材料を買いに行くとするかの」


「プリン?あれ?確かなんかの揚げ物を作る予定じゃなかったか?」


「なに、記憶が混乱してるだけじゃろ。今はプリンじゃ」


「……そうか、えーとプリンの材料ってなんだ?」


「砂糖、卵、牛乳、バニラエッセンス……はないじゃろうから洋酒でいいかの。あとはバターがあればいいじゃろ」


「……ずいぶんと詳しいんだな」


「なに、せいぜ……時間がある時に練習したのでの」


「ヘーソウナノカー」


「……最低限の礼儀をわきまえるのは常識だと思うのだが?自分から聞いておいてそれはないじゃろう?」


「……それもそうだな。善処しよう」


「ふぅ、まったくなのじゃ」


「それはそうとして、金がないぞ?」


「……売れる物はないかの?」


「あるわけないだろ」


「……生産系スキルは?」


「覚えてない。第一材料がない」


「……路上で何かしらの歌を歌ったり、手品をしたりして稼ぐのはどうじゃ?」


「オレは歌えないし、手品は……昔、妹から教わったから少しできるが今手元にある物では何も出来ない。それにトランプを使ったものが多いからな。この世界にトランプはないだろう?」


「似たものならあるのじゃが?」


「手に入れる手段がないだろ」


「うぅー。ならば妾が」


「ああ、頼む」




**********




「1万ハルと2千ハルくれたらあ・い・し・て・るー 8千ハルよけいーにくれーたらこの町燃やしてあーげるー」


「やめろ」


 この歌はいくらなんでもアウトだろう。


「誰だ。そのような歌を歌う輩は」


 沙耶が歌っているとどこからか鎧に身を包んだ騎士達が集まってきた。


「誰だ?」


「この町を守る守護騎士とでも言っておこうか。この町に反抗するような者がいると聞いたのでやって来たのだが……まさか本当にいるとはな。成敗してくれるわ!!」


 そして火球が四方から放たれる。囲まれている?!なっいつの間に。しかし、沙耶がどこからともなく出した扇子を一振りすると火球が消える。


「浅那!!今のうちに逃げるのじゃ!!」


「そんなことできるわけないだろ!!」


 そして、突っ込んでくる騎士達との戦闘が始まる。しかし、開始5分程でオレのトンファーが折れる。どうやらガッキーさんとの戦闘でかなり無理がきていたようだ。そのまま騎士に捕らえられてしまう。


「浅那!!」


 沙耶の叫び声が広場に響く。どうやらあちらも捕まってしまったようだ。


「こうなったら浅那だけでも元の世界に戻す!!もしかしたらその反動で記憶を失ってしまうやもしれん!!勝手ですまないのじゃが今までありがとうなのじゃ。妾は楽しかったぞ」


「何ごちゃごちゃ言ってんだ」


騎士の1人が沙耶を蹴りつけようとする。そこで必死に止めようとするが取り押さえられているので思うように体が動かない。そこで突然目の前に黒板が出現し、眩い光を放つ。


「沙耶ッ!!」


 沙耶のことを必死に呼ぶが返事がない。浮遊感を感じる。そこで視界がブラックアウトした。




**********




「おーい、四ノ宮。何寝てんだ。起きろー。授業中だぞー」


 その声で机に突っ伏していた顔を上げる。どうやら授業中のようだ。周りを見回すとみんな普通に授業を受けている。なぜだかとても久しぶりに皆の顔を見た気がする。そしてしばらくすると授業が終わる。お昼を食べ、午後の授業が終わっても記憶の整理がつかない。皆が部活へと向かう中、オレは1人席に座っていた。なにか長い夢を見ていたような気もする。確か……ここではない世界に行く夢だったような気もする。でも1人ではなかった。誰かが一緒だったような気もする。……だめだ頭が痛い。これ以上思い出そうとすると頭痛が酷くなる。


「おーい、部活行こーぜー」


「あっああ」


「おい、なんで泣いてんだよ?」


「ん?なんでだろうな……」


「変な奴だな。先行ってるぞー」


「ああ、すぐに行く」


そして浅那は、なぜだかわからない涙を浮かべながら1人で窓の外に見える紫色の空(・・・・)をいつまでも見つめていた。

浅那「紫色の空…………?」

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