鴉、驚愕する。
『説得してくれたんだって聞いた。ありがとう』
「……礼を言われる筋合いはない。
実際お前が動いてくれた方が楽だと思ったからだ。
それにその責任だってあるし」
『うん、感謝してる』
「多少条件の譲歩はあったけど
日本に行った所であの人には会えないよ。
向こうも既に了解済だ、それでも良いのか?」
『構わない、本来の目的が果たせれば』
「四堂……俺に言いたい事
あるんじゃないのか?」
『無いよ』
「嘘つけ、俺の事怒ってるんだろ?」
『どうして?
レイは俺を裏切ったりしてないのに。
何を画策した所で全部俺のため思って
の事だって知ってるから。
怒りようがないよ』
「………………ごめん、四堂」
『こっちこそ心配かけたな、もう大丈夫だから』
彼にかせられた制限は決して小さくは
ないのにモニター越しに嬉しそうに微笑んでいた。
交渉、段取りと『R-GG』が動く度に
此方もベレスフォードを同行させ
殊更『R-GG』の後ろには『Updraft=Faust』
在りきとアピールするのは、
俺達の会社が現在世界でもそれなりの
立ち位置にあり、日本でも注目度が高いと
知り尽くした上での行動だった。
分かってるからこそあからさまにやってる訳で、
事実それが功を奏して『R-GG』の株が
此処に来て目に見えて上がってきている。
言い方はどうであれ、信用とはったりが
混在しそれがまた武器にもなる。
展開が変われば手のひらを返したように
一気に状況も変化する。
―――良くも悪くも。
業界は云うなればそういう世界なんだと
たったこの数年で何度も見てきた。
いや、もっと日本より非情なくらい……に。
「お疲れさん、お互い暫くは自粛だな。
といってもお前には色々仕事があるんだろうけど。
あと、昨日電話があったよ、
助かったって桐江さんから。
お前宛だから伝えとく」
帰国した四堂とのいつもの夜のWebチャット。
そう伝えた時のアイツの顔といったら。
『そっか……ありがとう』
「…………。」
その顔、桐江さんに見せてやりたいよ。
「……今更俺が言うのもおかしいけど
会わなくて良かったのか?」
『良いんだ、今はまだその時じゃないから』
“今は”か……。
俺と同じだとそう思っていた。
恐らく彼の恋も進展はしないと
――勝手にそう思い込んでいた。
だから、
「―――今、何て?」
あまりの信じがたい言葉に俺は
思わずもう一度聞き返していた。
四堂の十八歳の誕生にバースデーカードとか
気の利いたモノが思い付かなかった俺は
翌朝、彼が出社する前を見計らって
電話をかけた。
だけど、電話はすぐに出たのに
なんか様子がおかしい。
出てる気配はある、だけど無言。
しいて言えば時々微かな物音がするような……?
「四堂?」
『……っ……あ、ごめんレ、レイか』
声がくぐもっててやけに聞きづらい。
「どうした?何かあった?」
『え、あ……うん?えーと、
それよりなんか用だった?』
「いや、誕生日おめでとって言おうと
思ってだけど。カードとかなんか照れ臭くって」
『ああ、そっか。ありがとう』
「声、小さいけど風邪か?」
『いや……人がいるから』
こんな朝早くに?人?
昨夜誰か泊まったって事?
「あ!?もしかして女の子?」
以前の事を思い出して
ごめん切るよと言いかけた俺に、
『違う、桐江さんだよ』
「!?」
意外過ぎる人物の名前に
俺は暫く二の句が継げなかった。
桐江さんが?何故?
『来てるんだ、此処に』
「お前いま日本じゃないよな?
いや、それ以前にどうして……」
四堂の話からあの桐江さんが
アイツを追ってニューヨークまで
来ているのだと言われても今までの経緯を考えると
どうしてもすぐには信じ難くて。
というかその急展開に
全く頭がついていけなかった。
『今、まだ俺のベッドで寝てるから
……詳しい事は後日こっちからかけ直す。
電話ありがとう、レイ』
聞いたこともないくらい嬉しそうな声で
電話は切れた。
「…………。」
つまり……
そういう理由でいるって意味?
だから、邪魔はするなってことなのか。
四堂と桐江さんが……
そっか、そうなんだ?
頑張った甲斐あったじゃん四堂。
「…………っ」
凄く……物凄く羨ましくて
羨ましくて仕方がない。
良かったと素直に思う気持ちは
確かにある、でも自分でも理解し難い
苦い感情が渦を巻いてるのも事実で。
素直に喜んであげなきゃと思うのに
俺はどうしてこんなに嫌な奴なんだろう。
やっとイメイラをUPしました。
自サイトのメインページに兄単独と
【采且の絵】の所に朝輝×零一Vaです。
解像度を最初から下げての設定なので
PCで見ないと本来のトーンで見れないと思います。
……要は画像がデカイっていう訳ですねm(__)m
物語も大分佳境に入ってきてます(多分)
なんとか7月中には終わらせたいと思っています(希望)




