表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/5

○第二話 そういえば授業中だな

―――ベシッ!!


うう…何だか頭が痛い


ここは…何処だ

俺はいったい…何をしてたんだっけ…


―――ベシッ!!


頭の上で鳴る謎の効果音をきくたびに、俺の意識は鮮明になっていく


うう…

そうだ…


俺は戦士少女マコと一緒に、悪の手下キルギスと戦って…

キルギスの圧勝でマコと一緒に崖から落ちて…


…そうだマコ…

マコは何処へ…


そう思いながら上を見上げると…



―――ズガッ!!!!


…黒くて四角い物体が顔面直撃

あの 真面目に痛いっす

今の




「何回叩いたら気が済むの? いい加減起きなさい!」


凄い剣幕を出しながら、第二教育科日本史教員の暁月先生が見下ろす。


…どうやら俺は数十分は寝ていたらしい。

黒板を見ると、さっきまで書いてなかった半分の黒板が埋まっている。


「わりぃ」


「はあ…全く…」


先生のため息とともに急に周りが賑やかになった

う…周りのやつらクスクス笑ってやがる。



「次寝たら…分かってるわね?」


「へ―い」


暁月先生は持った黒い生徒名簿を手に黒板へ向かった。

それに続いて笑っていたほかの生徒も授業に集中し始める。


―黒い四角…あれで叩いたのか…どおりで…



大体、昼休み後の日本史なんぞ寝ないほうが常識はずれだっ!

いや、

どの教科も眠いけどな 全部。

教室暖かい

静か

腹一杯


昼寝三条件揃いすぎだ!



――つんっ


ん?

誰かがシャーペンで俺の背中をつっついた。

まあ…俺の後ろに座ってるやつは当然―


「(なんだ紅咲?)」


「(たつや、あんたまた夜更かししたでしょっ!)」


先生よりは少々劣る剣幕で、紅咲美恵クレザキミサトが睨んできた。



「(仕方ないだろ、昨日は某アニメの第二期の一話が)」


「(だ―か―らっ、深夜アニメは録画して見てよ!! あんたのせいで毎回私まで言われるだから!)」

…なんでお前まで注意されるんだよ

全く関係ないよな。


しかし事実ではあった。

紅咲は俺の幼なじみという身分により、

時たまとばっちりがくる。

先生曰く、幼なじみだから紅咲が言えば説得できるだろってさ。


「(昨日はDVDデッキの容量が足りなかったんだ、仕方ないだろ)」


最高画質で録りたいから2テラの容量のやつを買ったが、アニメ見るための時間故にDVDにうつす時間がないのだ。


「(あっそ…大体アニメだったらDVD借り…)」


「……」


紅咲は話しを途中止めた。


俺達の第六感が何かを察したのだ。


――そういえば授業中だったな…

先生…背後に見えない炎がメラメラでてまっせ…



とりあえず前を向く。

先生は怒るつもりはないようだった。


しかし、俺は昨日のアニメのせいで授業が全く頭に入らない。


ちなみに昨日のアニメは

『戦士少女マコ』の第二期の一話という絶対見逃せないやつだ。


戦士少女マコっていうのは、まあオタ臭あり深夜だから多少ほにゃらら〜な表現ありのSF&ラブコメディーアニメ


部屋に入ると突然マコという女の子がいて

主人公はそいつらの戦闘に巻き込まれつつ、青春も体験するという…王道なストーリーである。


(ん…そういえば、さっき夢のなかでマコがいたような…)


―――気のせいか





学校後

俺と紅咲は里山公園にいた。


里山といっても山にあるわけではなく、むしろ海の近くにある。

しかも公園という名前の割に、若干の芝生と海に面して建つブランコしかないというあまりに淋しい公園だ。


「これ…いつものやつ」


「お、サンキュ」


紅咲はいつもの様に、コーヒー牛乳を買ってきてくれた。


おかしな話しだが、紅咲と知り合ってこの十年

一週間に一度は、こうして二人でブランコに座って話しをした。

例え話すことが無くても、とりあえず座る

話題がなくて、お互いダンマリで終わったこともあった。


そして決まって俺はコーヒー牛乳、紅咲は苺ミルクを飲みながら話すのだ。



「…ん? 今日はいつもの苺ミルクじゃないのか?」


「きょっ今日は売り切れて無かったの!」

「ふーんなになに…レモンジュース、カロリーゼロダィ…」


「仕方なかったの!」


紅咲はツンッとそっぽをむく。


ほお、昼食のときあんなにから揚げ食べていたのに。

わざわざダイエット系を…体重気にしてるのか?



「ところで、持ってきてくれた?」


「何を?」


「ねこぷよ…」


「あー持ってきた持ってきた」



『ねこぷよ』って言うのは、18禁ゲーム…いわゆるエロゲーで

ネコの耳が生えてしまった女子達を助けるためほにゃらら〜やほにゃらららら〜となるゲーム。


しかし、紅咲がいうねこぷよは…

ねこぷよのキャラクターが登場する対戦ゲーム『ねこぷよフィーバー』

でエロゲーではない


俺がねこぷよ本家をやっている最中に紅咲がきて、エロとか大嫌いな紅咲をごまかす為にねこぷよフィーバーを起動したら

紅咲はかなり気に入ってしまい、元はエロゲーということを知らずにはまっているのだ。


…これが元エロゲーだと知ったら、俺はあの世ゆきだ。


「きたきた、ねこぷよだ〜」


紅咲は嬉しそうに袋からねこぷよを取り出した。


「じゃ、とりあえず飽きたら返すくらいでいいから…とりあえず説明書は…」



「あれ…? これ…えっと…この前見たパッケージと違うよ?」


――――…えっ


「ねこぷよって書いてあるけど…」


―――…うそっ!?



「ま、まて紅咲! 開けるな!!」

―――…うそっ!?



「ま、まて紅咲! 開けるな!!」


しかし、もうパッケージは開いていた。

そして、ねこぷよの壮絶な18禁のイラストがあらわに…


「!!!!!!!!」


――――遅かった…




紅咲はエロというワードに抗体がないどこか


「な…なななな」


アレルギーを起こす!


「なにこれ!! あんた!!!」真っ赤になりながら紅咲は叫ぶ。


「紅咲…落ちつ…」

「信じられないっ!!! バカバカバカバカ!! アホ!! 変人!! ド変態――!!!!!」






ズガアアアァン!!!!



あまりに強力なアッパーに俺はのけ反ってしまった…

そして紅咲は真っ赤な顔をしてスタスタと帰っていった。




まさか…間違えるとはな…ハハハ…。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ