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勇者パーティに追放されたけど瞬間移動の魔法を修得して無双します。ざまぁもする予定です。  作者: ameumino


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第1話 追放と“距離”の意味


 その日、俺は勇者パーティから追放された。

「……お前はもういらない」

 勇者レオンの一言は、あまりにもあっさりしていた。焚き火の火がぱちりと弾ける音だけが、妙に大きく聞こえる。

「理由くらい聞かせてもらえますか」

 自分でも驚くほど、声は冷静だった。

「足手まといだからだよ。お前の魔法は中途半端だ。攻撃も回復も一流じゃない。俺たちは次の迷宮に挑む。遊びじゃないんだ」

 横で腕を組んでいた剣士が鼻で笑い、僧侶は視線を逸らした。魔法使いだけが少し気まずそうにしていたが、何も言わなかった。

 分かっていたことだ。俺の魔法は器用貧乏。火も氷も風も使えるが、どれも一級には届かない。戦場では「一撃で流れを変える力」が求められる。俺は、そのどれにもなれなかった。

「……分かりました」

 そう言って、俺は荷物をまとめた。

 引き止める者はいない。仲間だったはずなのに、最後はこんなものかと、少しだけ苦笑する。

「野垂れ死ぬなよ」

 誰かが背中に投げた言葉を、俺は振り返らずに受け取った。

 ――こうして、俺は一人になった。

 王都を離れ、俺は辺境へ向かった。

 当てもない旅だ。ただ、勇者パーティの影響力が及ばない場所に行きたかった。彼らは有名だ。追放されたことも、すぐに広まるだろう。

 途中、小さな村で仕事を請け負いながら食いつなぐ。魔物退治、荷物運び、簡単な護衛。どれも地味だが、金にはなる。

 ある日、俺は森の奥で奇妙な遺跡を見つけた。

 崩れかけた石造りの建物。苔むした階段を降りると、ひんやりとした空気が肌を刺す。奥には魔法陣が刻まれていた。

「……転移陣?」

 見たことはある。だが、これは既存のものとは違う。もっと原始的で、粗い。だが、その分――自由度が高そうに見えた。

 俺はしばらく、その場に座り込んだ。

 考える。

 俺に足りなかったものは何だ?

 火力か? 回復力か?

 違う。

 “戦場を支配する力”だ。

 ならば――位置を支配できればいい。

 敵より速く、味方より的確に、“そこにいる”ことができれば。

「……距離を、消す」

 ぽつりと呟いた言葉が、妙にしっくりきた。

 俺はその日から、遺跡に通い詰めた。

 最初は失敗の連続だった。

 魔力を流し込めば、魔法陣は淡く光る。だが発動しない。式が欠けているのか、あるいは俺の理解が足りないのか。

 試行錯誤を繰り返す。

 既存の転移魔法の理論を思い出し、分解し、組み替える。座標の固定、魔力の圧縮、空間の歪曲。

 何度も気を失い、何度も吐いた。

 だが、諦めなかった。

 勇者に捨てられたことが、逆に俺を研ぎ澄ませていた。

 やがて――

「……行け」

 小さく呟いた瞬間、視界が歪んだ。

 次の瞬間、俺は数メートル先に立っていた。

「……成功、か?」

 心臓がうるさいほど鳴っている。震える手を見つめながら、俺は笑った。

 たった数メートル。

 だがこれは、“瞬間移動”だ。

 そこからは早かった。

 距離を伸ばし、精度を上げる。視認できる範囲なら、ほぼ誤差なく移動できるようになった。さらに、事前に座標を記憶することで、見えない場所への転移も可能になった。

 森の外、村の井戸の前、遺跡の入口――何度も往復し、身体に叩き込む。

 やがて、俺は気づいた。

「これ……戦闘に使えるな」

 例えば、敵の背後に回る。

 例えば、攻撃を受ける直前に消える。

 例えば――仲間を救うため、一瞬で距離を詰める。

 俺が持っていなかった“決定力”が、そこにはあった。

 ある日、村に魔物の群れが現れた。

 ゴブリンの群れ。数は二十を超える。村人たちは怯え、武器を持つ者も少ない。

「逃げてください。ここは俺がやります」

 そう言った自分に、少し驚いた。

 以前の俺なら、こんな無謀なことは言わなかった。

 だが今は違う。

 俺は前に出た。

 ゴブリンが一斉に襲いかかる。

 その瞬間――

 俺は消えた。

 次に現れたのは、群れの中央。

「遅い」

 短く呟き、魔法を放つ。火炎が広がり、数体を焼き払う。残りが振り向く前に、再び移動。

 背後、上空、側面。

 俺は“どこにでもいる”。

 ゴブリンたちは混乱し、次々と倒れていった。

 気づけば、戦いは終わっていた。

 静まり返る中、村人たちが恐る恐る近づいてくる。

「……今の、何だ?」

「瞬間移動、です」

 そう答えたとき、胸の奥に小さな熱が灯った。

 追放されたあの日、俺は“いらない存在”だった。

 だが今は違う。

 俺は、俺の力でここに立っている。

(見てろよ、レオン)

 心の中で呟く。

 いつか、必ず証明してやる。

 追放されたのが間違いだったと。

 そして――

 この“距離を消す力”で、世界をひっくり返してやる。

 そう決意した瞬間、俺の物語は本当の意味で始まった。

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