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✦ ルミナス・ラブロマンス ✦ ― 聖女は光の中で恋をする ―

作者: 高橋 淳
掲載日:2026/03/01

元は連載作品の一部です。

連載作品を読んでいなくてもわかると思うのでぜひ読んでみてください

✦ ルミナス・ラブロマンス ✦


― 聖女は光の中で恋をする ―


▶ New Game


▶ Continue


▶ Option


> New Game を選択しました





◆ プロローグ


王都ルミナス中央学園。

貴族、王族、そして特別な力を持つ者たちが集う場所。


(……また、視線を感じる)


背中に刺さる冷たい視線。

振り向かなくても誰のものか分かる。


悪役令嬢 、セレスティーヌ・ド・ロシュフォール。


銀髪に完璧な微笑み。

だがその裏で彼女は一貫して私を排除しようとしている。


「聖女ですって。平民上がりがずいぶんと都合のいい称号を得ましたわね?」


(……またか)


私はエルシャ。

光属性を持つ“聖女”として認定されこの学園に通っている。


けれど、ここは恋と政治が交錯する場所。

力があるだけでは生き残れない。



◆ イベント:講堂前・朝


講堂の前が、少し騒がしい。

人だかりの中心にいるのは――


王太子エドワード・アルベール。


金色の髪に理知的な眼差し。

その隣には眼鏡をかけた青年。


王太子の側近、財務・運用担当――ロレンツ。


(あ……)

王太子がふとこちらを見たその瞬間、セレスティーヌがわざと私の前に一歩踏み出した。


「王太子殿下。本日はご機嫌麗しゅうございますわ」


完全に、私を遮る位置。


(どうする?)



▶ 選択肢


A:一歩下がり、礼儀正しく様子を見る



B:自分から前に出て、正式に挨拶する



C:セレスティーヌに微笑みかけ、あえて譲る


▶ 選択結果:A


《評価変動:民衆支持+/王太子好感度+(小)》



◆ 講堂前・朝(続き)


私は一歩静かに後ろへ下がった。

視線を伏せ、口を挟まない。

(今はまだ出る場面じゃないよね)


セレスティーヌの声だけが、場に響く。


「殿下、こちらへ。本日は――」


だが。


「ちょっと待って」


低く、落ち着いた声。

空気が止まった。


王太子エドワードはセレスティーヌを見ていなかった。


彼の視線は人混みを超えてセレスティーヌを見ることもなく、真っ直ぐに私を正確に捉えている。


「……聖女エルシャ」


周囲がざわめく。

セレスティーヌの笑みが、一瞬だけ歪んだ。


「おはよう。今日もいい天気ですね」


(……え)


私は一瞬戸惑った。何も言っていない。ただ黙って下がっただけ。


それでもエドワードはわたしを見ていた。



◆ エドワード(心中・非表示)


(ああいう場で前に出ない者は珍しい。私の元に来るわけでもなく、このように身分を気にせずにいていい場所で、静かに一歩引いて上位のものに道を譲る平民なんて今まで見たことないぞ)



「おはようございます、殿下」


私は一礼する。


「今日もいい天気ですね!暖かくて毎日こんな日ならいいのにって思っちゃいます」


ちょっと焦ってしまったけどなんとか微笑んで答える。エドワードはわずかに目を細めた。


一拍。


「こちらから急に話しかけて戸惑っただろう、楽にしてくれ」


その言葉に、

周囲の貴族生徒たちが息をのむ。


(王太子が、自分から歩み寄った……?)



◆ セレスティーヌ


「殿下?」


甘く取り繕った声。

だがエドワードはようやく彼女を一瞥しただけだった。


「ロシュフォール嬢。後ほど正式な場でお話を」


それだけ。


再び、私に向き直る。


「聖女エルシャ。もし差し支えなければ、講堂までご一緒願えますか」


(これ、断れないやつ……)



▶ 選択肢(次)


A:静かに頷き、同行する



B:一度辞退し、距離を保つ



C:ロレンツにも声をかける




セレスティーヌの視線が、背中に突き刺さる。

でも。


▶ 選択結果:C


《評価変動:ロレンツ成長フラグ++/王太子好感度+/場の空気緩和》



◆ 講堂前・朝


「……あっ」


気づいたら、口が先に動いていた。


「ロレンツさんもご一緒しませんか?」


自分でも少し驚くくらい明るい声。思ったことをそのまま言ってしまった。


「え?」


ロレンツが完全に虚を突かれた顔をする。


「ほら、殿下と二人だとなんだか私、すごく緊張しちゃいそうで……!」


えへへ、と笑うと周囲の空気が一気に緩んだ。


(……あ、やばい、これって不敬?)


でももう、言ってしまったものは仕方ない。



◆ ロレンツ


「わ、私が……?」


眼鏡の奥で目を泳がせる。


「い、いえ、その、私はただの側近で――」


「ただの、じゃないですよ!」


私は即座に返す。


「殿下が信頼してる方なんでしょう?それってすごいことです!」


(あ……言いすぎたかな)


ロレンツの耳が、分かりやすく赤くなった。



◆ エドワード


「……ふっ」


小さいけど確かな笑み。


「確かに。ロレンツ、君抜きで進むのは不安だ」


「で、ですが殿下……!」


「婚約者もまだいない可憐なご令嬢と私が2人で過ごすのはあまり良くない。君も来るんだ。」


エドワードはそう言って、歩き出す。


「では私も聖女殿の“緊張対策”ということでご一緒しますよ」

ロレンツは少しぶっきらぼうに、耳まで赤くなった顔を隠すようにエドワードの側に控える。




◆ セレスティーヌ


取り残されたその場で、

セレスティーヌは爪をきゅっと握りしめた。


(……笑顔で場を取るタイプ。私とは相性が悪いのよね。厄介だわ。)



◆ 講堂へ向かう回廊


歩きながら、私はふと思い出したように言う。


「あ、ロレンツさん!」


「は、はいっ」


「この前の寄付金の使い道、すごく分かりやすかったです!孤児院の子たち、すっごく喜んでました!」


「……!」


ロレンツは嬉しさと驚きで言葉を失う。


「そ、そんな……私は数字を処理しただけで……」


「でも、誰かの役に立つ数字って、一番かっこいいと思います!」


にこっと笑う。


それを見てエドワードは何も言わず、ただ静かに頷いた。



◆ ロレンツ


(……この人は、王太子の側近というロレンツではなく、僕を見てくれている)


◆ 中盤チャプター


― 建国祭 前夜・王城 ―


王都は明日の建国祭に向けて光に包まれている。

祝祭や栄光、王国の歴史を称える年に一回のお祭り。そして次代の王と、その隣に立つ者を示す舞台。


(……そうだよね、明日は大事な日。)


今年の建国祭はただのお祭りじゃない。

誰が王太子の伴侶にふさわしいのかを民衆と貴族、この国の民に見せつける場。


私は回廊を歩きながら思わず背筋を伸ばした。


「エルシャ」


振り返るとエドワードがいた。いつもより表情が硬い。


「今夜は、できるだけ一人にならないでほしい」


「え?」


「……忠告だ。理由は、察しているだろう?」


(……うん。わかっている。わたしがしているのは許されない恋なんだって…。)



◆ セレスティーヌ(あらすじ/要点確認)

婚約者を奪われるわけにはいかないセレスティーヌは頑張っていた。


「聖女が建国祭の祈りを穢すかもしれない」という噂や支援していた孤児院への寄付金がなぜか遅延。

他にも聖女の衣装が、直前で変更されたという連絡に「平民出身の聖女が前に出るのは建国の精神に反する」という貴族の声が上がるようになど、様々なことを仕組んでいたのだ。

すべてにおいて、セレスティーヌ・ド・ロシュフォールの名前は出ない。


◆エルシャ


正直、ちょっと怖い。許されない恋をした自覚がある以上、表立っての抗議もできない。

でも。それでも。


「……でもね」


私はぎゅっと拳を握って、すぐに笑った。


「建国祭、楽しみなんです!」


「エルシャ?」


「だって、みんながお祝いする日ですよ?嫌なことだけをたくさん考えるなんて、もったいないです!」


(……言ってて自分でもびっくり。わたしっていつからこんなに強くなったんだろう。)


エドワードは、しばらく私を見て。

小さく息を吐いた。


「……君は、強いな」


「えへへ。よく言われます!」


(あ、褒められた!)



◆ セレスティーヌ(前夜)


「まぁ、楽しそうですわね」


冷ややかな拍手。

振り向くと、豪奢なドレスに身を包んだセレスティーヌ。


「建国祭前夜に殿下と親しげにされているなんて」


視線は私ではなく。

エドワードにまっすぐ向けられている。


「婚約者として少々不安になってしまいますわ」


(うわ、直球……!)


「それに」


一歩、こちらへ。


「明日の祈り、本当に聖女様に務まります?民衆の期待はとても重いものですから」


にこりと微笑む。

でも、その目は笑っていない。



◆ エドワード


「……ロシュフォール嬢」


低い声。


だが、

その前に。



▶ 重大選択肢(建国祭前夜)


A:天真爛漫に受け止め、逃げ場を与えない



B:聖女としての覚悟を、静かに示す



C:エドワードの腕をそっと離し、一歩前に出る



>Aを選びました


◆ 建国祭 前夜・王城回廊


私はにこっと笑う。


「ありがとうございます!」


その一言で空気がわずかに歪む。


「期待していただけるなんて、光栄です!建国祭の祈りだなんてやったことないですし、緊張しますけど……」


胸の前で手を合わせる。


「でも、お祝いの気持ちは負けません!」


セレスティーヌは、瞬きもせずに私を見つめていた。


「……本気で言っていらして?」


「はい!」


即答だった。


「だって、建国祭ですよ?この国が生まれた日なんですから!」


少し首をかしげて、付け足す。


「誰が前に立つかより、みんなが楽しめるかどうかが大事だと思います」


沈黙。

セレスティーヌの唇が、わずかに震えた。



◆ セレスティーヌ(心中)


(……違う)


(この女、自分が何を奪っているのかなにも分かっていない)


(王太子の視線。民意。未来の王妃としての舞台。わたしがどれだけ努力して今まで生きてきたと思ってるの。)


(それを、気持ちだの想いだの綺麗事で。)


(……許せない)

(私がどれだけの教育を受け、どれだけふさわしくあるために努力してきたと)


(それを運で得た聖女の力で――)

(……笑顔で、踏み荒らす)


爪が手袋の内側で食い込む。

(壊すしかない)

(この無邪気さごと)



◆ セレスティーヌ


「……そう」


声は完璧に整えられていた。


「では、どうかお務めなさいませ。聖女様」


その声は刃のように冷たい。



◆ エドワード


「……話は終わりだ」


短く、低く言う。


「建国祭前夜にこれ以上の不安を持ち込むのは控えてもらおう」


セレスティーヌはゆっくりと一礼した。


「……承知いたしました、殿下」


彼女に優しく寄り添う一方で、けれど私を見る目だけは一切和らがなかった。



◆ イベント後


彼女が去ったあと私はようやく息を吐いた。


「……こわかったです」


ぽつり。


「でも逃げたくなかったので」


エドワードは一瞬だけ言葉に詰まり、静かに言った。


「……君は私の思っている以上に戦っていたんだな、」


私はよく分からなくて、えへへと笑った。


「そうですか?わたしなんてまだまだですよ!!ちゃんと明日もがんばりますから見ててくださいね!」



◆ 建国祭 当日 ― 昼 ―

大聖堂・祈祷イベント


大聖堂には白い光が静かに降り注ぐ。

私は祭壇の前で深く息を吸った。


(大丈夫。みんなのお祝いの日だもん)


両手を胸の前で重ね、練習した通りに祈る。


「――この国に加護を」


特に大きな変化は起こらないが、神聖な空気があたりに満ちる。


そして静かな安堵だけが場を満たしていた。



▶ 選択肢(スピーチ内容)


A:形式通り、淡々と祈祷を終える



B:民衆への感謝を言葉にする



C:国の未来への祈りを加える




> B を選びました



「今日という日を皆さんと一緒に迎えられて嬉しいです。どうかこの一年も、笑顔がたくさんありますように!」


民を前に少し照れながら微笑む。それだけで十分だった。



◆ 聖水配布


私は一人ひとりに聖水を手渡す。


(ちゃんと、届きますように)


貴族も平民も、身分の差なく直接手渡す。



▶ システム


《聖水の信頼度:最大》

《偽聖女疑惑:発生せず》



◆ 建国祭 当日 ― 夜 ―

王宮・祝宴の間


音楽、笑い声、燭台の光。


私は少し緊張しながら壁際でグラスを持っていた。

平民として育ったためにいまだにこの空気に上手く馴染めない。


(……華やかだなぁ)


そのとき。


「――よろしいかしら」


場の空気を切り裂く声。

セレスティーヌ・ド・ロシュフォール公爵令嬢、その人だった。



◆ 強制イベント:断罪開始


「この女は…偽聖女ですわ」


一瞬、音が消えた。

私は目を丸くする。


「え?」


「本日の祈祷もインチキ。そして配布されたあの聖水」


セレスティーヌは高らかに言い放つ。


「すべて偽物。これは民を欺き、神への冒涜行為です!」



▶ 選択肢


A:否定せず、事実のみを述べる



B:慌てて弁明する



C:沈黙する



> A を選びました



「……私はいつも通り祈っただけです」

震える声で続ける。

「嘘をついた覚えはありません」

それだけを述べてぎゅっと手を握る。



◆ セレスティーヌ


「ではなぜ!」


声が鋭くなる。


「貴族の中にはあの聖水にあまり効果を感じなかった者もいる!」


ざわり。


「代々伝わる聖水と比べて、あまりにも――」



だが。


「……それは言いがかりですね」


別の貴族が低く言った。


「我が家で使っている聖水には何も問題を感じなかった。むしろあれがないと落ち着かないくらいなのだ。」


「我が領でもだ」


「効き目に差などない」


視線がセレスティーヌに集まる。



▶ システム


《偽聖女告発:失敗》

《貴族信頼度:セレスティーヌ −−》



「……っ」


それでも、彼女は止まらない。



◆ 第二の断罪:王太子


「では、殿下についてはどうですの!」


矛先がエドワードに向く。


「遊興ばかりで執務を怠っている!」



▶ 選択肢


A:エドワードを庇わない



B:事実を補足する



C:視線を伏せる



> B を選びました



「殿下は……」


私は少し迷ってから、言った。


「毎晩、執務室の灯りが消えるの、王宮で一番最後です。」


嘘じゃない。

彼はいつも最後まで執務室にいるのだ。

そばで仕事を手伝っていたし、間違いない。



「……加えて」


聖女の反応を無視したままに、セレスティーヌがさらに叫ぶ。


「側近ロレンツ!金銭の流れがおかしいと聞いています!」



◆ ロレンツ


「……その件ですが」


ロレンツが静かに一歩前へと進み出る。


「すでに王妃殿下と監査済みです。不正は、一切ありません」



▶ システム


《告発:全項目棄却》

《セレスティーヌ精神安定度:崩壊》



◆ セレスティーヌ(完全崩壊)


「……嘘……嘘よ嘘よ嘘よ嘘よ…!」

虚な目でぶつぶつと呟く。

「全部、全部……奪われた……!」


声が震え、理性が明確に切れた。


「平民上がりの聖女ごときが!私の立場を!未来を!」



◆ 判決イベント


「――十分だ」


静まり返った王宮内に響く王妃の声。


「公の場での虚偽告発、王族への侮辱、聖なる儀式の冒涜。」


「そして、聖女への明確な悪意」


静かに冷たく淡々と告げる。


「セレスティーヌ・ド・ロシュフォール。あなたは、越えてはならない一線を越えました」



▶ 最終選択肢


A:助命を願う



B:沈黙する



C:涙をこらえて見守る



> A を選びました


◆ 王宮・祝宴の間(続き)


私は一歩前に出た。足が少し震えていたけれど、止まらなかった。


「……待ってください」


静かな声。

でも、確かに響いた。


「セレスティーヌ様は、確かに間違ったことを言いました。私を傷つけようともしました」


一度、言葉を区切る。


「……でも」


私は、彼女を見る。


崩れ落ちたままもはや何も取り繕えないセレスティーヌを。


「それでも…命まで奪われるべきだとは、思いません」


息を吸って、続ける。


「聖女の力は裁くためのものじゃありません」


「光は誰かを完全に切り捨てるためにあるものではないと……私は、そう信じています。だから今こそ、聖女として彼女の処刑には反対です。」



◆ 静寂


王宮の祝宴の間が完全に沈黙する。


誰も、すぐには言葉を発せなかった。



◆ 助命嘆願後 ― セレスティーヌ暴走


エルシャの言葉が、祝宴の間に落ちた。


「……は?」


セレスティーヌが笑った。それはもはや貴族の微笑ではない。


「助命……?」

「私を、哀れんでいるつもり?」


声が次第に裏返っていく。


「黙りなさいよ!」

「平民の分際で! 聖女だか何だか知らないけど!」


理性が完全に切れて、淑女としてあり得ないくらいに荒れていた。


「私が! 私が正しかったのよ!」

「この国は、王太子妃の座は、私のものだった!」


彼女は前に出ようとし、次の瞬間騎士に取り押さえられる。



◆ 王妃、激怒


「――もう十分です」


王妃の声が落ちた瞬間、場の温度がはっきりと下がった。


「聖女の嘆願は理性ある者に向けられるべき慈悲」


冷たい視線がセレスティーヌを射抜く。


「あなたはそれを受け取れる段階を越えました」


司法を司る王弟が一歩前に出る。


「陛下、彼女は公爵令嬢です。法に則った判断を下すべきで」


「黙りなさい」


短く鋭い一喝に、王弟はそれ以上言葉を継げなかった。



◆ 判決


「セレスティーヌ・ド・ロシュフォール」


王妃は、感情を一切乗せずに告げる。


「あなたは虚偽の断罪、王権への反逆、建国祭の冒涜、そして、この場での暴挙」


「そのすべてをもって王国の敵と認定します」


間を置かず続ける。


「あなたは死罪に値する」


息をのむ気配が走る。


「ただし。」


王妃は、一度だけエルシャを見た。


「聖女の嘆願を完全には無視しません」



◆ 処罰内容

•貴族籍:即時剥奪

•名字・称号・家系記録:すべて抹消

•王都地下牢への永久収監

•名を呼ばれることも顔を認識されることも許されない

•存在そのものを社会から消す刑


控えていた書記官が処罰内容を書き留めると同時に、王妃は告げる。


「処刑は三年後」


「その間、自分が失ったものを毎日思い出しなさい」



◆ セレスティーヌ


「……は?」


声が震えた。


「三年……?平民になるなんて嫌よ!!!今すぐ殺して……!」


「それは、あなたの望みでしょう?どうしてわたしがあなたの言うことを聞かないといけないの?」


王妃は冷酷に言い切る。



◆ エルシャ


エルシャは、言葉を失っていた。


助命を願った。

それでも。


(……止められなかった)


エルシャは、わずかに肩を落としていた。

助命を願ったという事実だけが胸に残っている。


静かに影が寄り添う。


「……もう、見なくていい」


エドワードだった。

王太子はためらいなくエルシャの前に立ち、彼女の視界をそっと遮る。


「君はやるべきことをやった。これ以上、背負う必要はない」


エルシャが顔を上げるとエドワードは少しだけ眉を下げて、柔らかく笑う。


「建国祭は終わった。……あとは、私が引き受ける」


その言葉にエルシャの張り詰めていたものがようやくほどけた。


その光景が。

セレスティーヌにははっきりと、見える位置にあった。



「……っ、離しなさいよ!」


甲高い声が、床に落ちる。


セレスティーヌは、もう令嬢ではなかった。

名前も称号も、未来だって剥がされたあと。


乱れた呼吸のまま後ろから髪を強く掴まれ、体勢を崩す。


「やめ……っ、やめなさい……!」


足がもつれ、床に膝が当たる。


だが、止まらない。


引きずられるたびに髪が引っ張られ、首が後ろに反る。


視界が揺れる。その先にエドワードの背中が見えた。


エルシャを庇うように立ち、優しく声をかけているその姿。


「……っ……」


口を開こうとして声が出ない。


叫べばいい。

罵ればいい。


けれど、もう届く立場ではないと本能が理解してしまった。


視線が、床に落ちる。


さきほどまで自分が立っていた場所。

拍手と称賛が集まるはずだった場所。


そこに今いるのは…選ばれた聖女と、王太子。


そして自分は、名前も呼ばれず説明も与えられず、ただ処理される側。


「いや……」


掠れた声が床に吸われる。


髪を掴む手に引かれ、セレスティーヌはそのまま光の届かない方向へ連れていかれた。



エルシャは、背後の音に振り返らなかった。

エドワードが静かに言う。


「見なくていい」


その言葉に彼女は小さく頷いた。


選ばれた者は前を向く。

選ばれなかった者は誰にも見られないまま、消えていく。



◆ システム表示


【エンディング分岐】

•慈悲選択:成功

•完全救済:失敗(相手が拒絶)

•セレスティーヌ:社会的・精神的破滅ルート確定


感想もらえたら嬉しいです!

★、絵文字などでの評価もめっちゃ嬉しいです


よかったら連載も読んでみたください!

↓↓

死亡フラグ回避に飽きたので、悪役令嬢らしく悪の組織をプロデュースすることにしました

https://ncode.syosetu.com/n0554lq/

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