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異世界公安第六課 異能特殊事件対策係   作者: 一二三 イロハ
甲子 《 設立 》
7/10

嚆矢濫觴

担当していた謎多き事件の捜査。

長期に渡る事件現場での捜査はある日を境に行えなくなる。


俺はあの日、全身黒いローブを着た怪しい人物を目撃を最後に記憶は途切れた。

目を覚ませば、自然豊かな平原の地で俺は一つポツリと立った木の下で横になっていたのだ。


自身で語りながらも思う。 まるで名探偵の少年を彷彿とさせると。

今になり冷静に語れはするが、当初は状況や記憶の混濁もあり、言葉にして独り言を呟くほどには少しパニックになっていた。


「・・・ここは何処だ」


途方も無くどこを見てもそれは日本には無い見慣れぬ風景。 拉致され、他国で何も無い田舎に落とされただと思っていた。

何故そんなことをされたのかも分からぬまま、とにかく今自分が何処にいるのかを把握すべく、土地勘も無いまま一方の方向をひたすら歩き人の気配がありそうな場所へと宛もなく探し歩く。


見慣れぬ動物、見慣れぬ草木。 違和感を抱きながらなだらかな道を進み、体感小一時間程だろう。

やっと見つけた集落には人が居た。


やっと出会えた人に感動を覚え急いでその集落へと向かうと村の人々はざわめきながら集っていた。

まるで童話にでも出そうな外国の古い衣装をまとう人々は俺を見て驚きはしたものの皆が向ける視線はすぐ様集う人々の中心に避けるように倒れた一人の人に視線が戻る。


「これは・・・」


俺は直ぐに駆け寄り横たわるその人の意識を確認するがもう息は無い。


「死んでるな、誰が最初に見つけたんだ?」



俺の言葉に人々は一瞬静まり返る。

よく見れば日本人らしき人物は俺だけ?服装も俺だけスーツで場違いだが・・・。ここは外国なのか?

必死に中学、高校の時の英語を思い出しながら言葉にしようと試みた時だった。


「私が見つけた」


そう言って出てきたのは腰に大きな剣を差し鎧で武装した一人の少女だった。

少女が剣を?鎧?今日はハロウィンか何かなのか?

どっしりとした形に艶、本物にしか見えない。


「君が?」

「えぇ・・・所で君はどこの誰?」

「俺か?警察だ」口頭と共にスーツの内ポケットにしまっていた警察手帳を開いて見せるも少女含め人々は不思議そうに見つめていた。


「・・・怪しい」と少女は睨みながら俺に向かい言う。

「俺がか?」

「見たことの無い装備で身を包んでいる所を見ると他国の人間か・・・」


どうやらここは日本では無い事は確かなのだろう。

警察手帳も分からないとなれば自身を証明する物・・・。


「そうだ、電話する。とりあえず事件現場には間違いないが・・・地図マップを開いてその地域の警察に」


ズボンからスマホを取り出すもスマホは充電が切れ真っ暗で動かない。 充電をよく怠る性格が仇を生した。


「なんだその板は?」と人々はそれを見てどよめき、少女は腰に差した剣を抜き俺に突き付ける。


「それはなんだ?魔具の一つ?」

「魔具?スマホだろ」

「魔法?」

「スマホだ、あのな大人を馬鹿に・・・」


不意に動いた俺に少女の剣の先は喉元に置かれ、触れた刃先に首の皮を掠め血を流す。 本物か。


「次に不審な動きを見せれば切る」

「あのな、ガキでも容赦しないぞ」

「ガキ?」


その言葉に少女の俺に対する目付きは鋭くなる。殺意の籠るその目には冗談でない本気のそれを見た。


「・・・まさか犯人は君じゃない」

「そんな刃物出されながら言われても説得力無いぞ、お嬢さん」


ふぅと一息ついた少女は剣を収め言う。


「分かった。君が犯人だ」

「証拠は?」

「無い。君が犯人でこの話は終わり」


少女はそう口にすると腕を振り上げ何かを唱えた瞬間、俺の両腕は勝手に後ろに周り、まるで手錠をはめられた様に身動きが取れず硬直する。


「なん・・・、何した」

「このまま拘束して街で裁いて貰う」


周囲の人々はざわめき、俺達との距離を取る。

少女はその華奢な体格に見合わない力で俺を引き摺る様な無理矢理力でその場から剥がそうとする。

必死の抵抗を見せると少女も負けじと腕を引っ張る。


署内でも力馬鹿と言われる程度には体力と筋力に少し自信があったがこんな少女一人に苦戦するとは・・・衰えたか・・・。

自身の怠慢を恥じている場合ではない。俺は必死の抵抗を見せると周囲にいた人々は疑いの声と共に口々に言う。


「ニコ・トーチ様が仰るなら本当に犯人では?」

「見たことの無いあの服装も怪しいし、あの板で殺したのでは?」

「"カンデラ"で裁かれるんならきっととんでもない死に方だろう」


まるで少女の言葉が真の様に人々は団結し始める。

まずい、何がどういう状況なのかも分からないまま冤罪になるのは。


俺は少女から無理矢理剥がれるように離れ大声で言った。


「お前ら良いのか!!この村に住む人間一人が殺されて、本当の容疑者はまだ居るんだぞ!次に殺されるのは自分かも知れねえのに、犯人でもねえやつ捕まってそれで解決か!?」


その言葉に人々は静かになった。

そう、自身の身の危険を考えれば慎重になる。

冤罪を掛けて一人を牢に送っても解決した事にはならない。 何より安心して暮らせないだろう。

黙って聞いていた少女は口を開く。


「今一番怪しいのは君だけど?それで君を疑わ無いのは難しいけれど」

「さっきも言ったが、証拠は何処だ?お前、そのなりでどんだけ偉いのか知らねえけど、もしまたここの人間が殺されて見ろ。お前責任取れんのか?」


少女は顎に手を当て少し考えた。


「では犯人を見つけて貰う、もし見つからないなら君が捕まる。 それで良いですよね皆さん?」


人々はその言葉に一瞬戸惑うも、一人がそれに拍手をすると次々に拍手が始まり姉妹には俺を除くその場にいた人間全てが拍手をしていた。


「とんでも無い所にとんでもないタイミングで巻き込まれた」


これが俺のこの世界で一件目の事件だった。


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