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異世界公安第六課 異能特殊事件対策係   作者: 一二三 イロハ
プロトタイプ
5/10

4

目を覚ませば見知らぬ一室。

自室では無い、明らかに日本の造りではない内装のその部屋に一瞬驚いたが直ぐに冷静になる。


そうだ、俺は訳の分からないこの国へと何故かいるのだった。 思い知らされるように昨日の出来事が鮮明に思い返せる。

周りを見るとニコはまだ眠っている。窓を開けるとまだ日は登りきっていないがほのかに外は明るかった。


スーツを簡単に伸ばし、部屋に置かれていたパンと水を勝手に手をつけ口に運ぶ。

結局夢では無かった、まあ期待などしてはいなかったが・・・、さてこれからどうしたものか。


このまま路頭に迷うにもあまりにも世間知らず過ぎる。今はニコの言う通り彼女の言うその治安維持組織に入るべきなのだろう。


名称だけでその意味をそのまま捉えるのであれば、彼女の住むその街で公安や警察に近い組織を造り、活動するという事なら、この国、いやこの世界の事を知らずとも前職(?)の知識を活かしながら最低限働き生き長らえる事が出来るのでは無いだろうか?


ここはポジティブに考えよう、俺は公安に憧れていた。 場所は違えど、役割はどうあれ似たポストは貰えると考えれば路頭に迷い何も分からぬまま死ぬよりまだ良い。


精一杯の抵抗だ、言い聞かせているだけの悪あがき。


「まだ悩んでるの?」


ベッドの方から声がした。まるで俺の心を読んだかの様なその一言をニコは欠伸と伸びを同時にこなしながら俺に向け言う。


「起きたのか」

「一応、見知らぬ人間を部屋に招き入れはしているから早起きしないと寝首かかれたらそれこそ仲間に面目無い」

「俺の方が早起きだったな」

「まあ寝込みを襲われた所で返り討ちに出来るから問題は無いけど」

「随分自信家だな」

「まあそれ位の自信がなければ下に就く者も活気ずかないから、無駄な謙遜は士気を下げる」


一理ある。見た目は幼いが上であると言う自覚とそのプライドは行動から示す感じ、まるで大井さんを思い出す。


「それでどうする?私はもう今日にでもこの街を去るけれど」

「急かすな」

「急かしてるつもりは無い。この街に用があったのも預けていた装備一式取りに来ただけで、本当は治安維持組織の話も早めに作るように王からのご命令があったから、あまりここで時間を潰してる暇も無い」


どうやら考える余地は無いらしい。まあ特に選択の余地も無い。


「分かった。とりあえずその治安維持組織に入ってやる」

「随分と上から言う・・・。まあ良い、今は猫の手も借りたい」

「その治安維持組織についてだ・・・」


話し始める前にニコはまるで聞かないとでも言いたげに手をヒラヒラと扇ぎながら支度を初め出した。


「今は悠長に話していられない。加入は認める。 しかしそれら諸々の話は歩いてするから、とりあえずここを出る用意を」


早朝、少し慌ただしく俺達は宿を出て静かな街を去ることとなった。

街から離れ、随分と遠くまで離れた所で、先頭に立つ彼女はそこからゆっくりと歩くペースを落とし一つため息をつく。


「なんでそんなそさくさと出て行くんだ?急いでるというか逃げてるみたいに見える」

「まあ半分正解。 街の人達私に色んな物を施してくれたり親切にしたりするけど、直ぐに看板や壁の張り紙に"ニコ様愛用品取り扱い中"と貼るものだから出来るだけ一目につきたくない」

「良いじゃないか」

「良くない、何処にでもその名を貸せば安く見られるから」


彼女はそれらしく言うが、多分お人好しなのだろう。

断れなければ、強く言えない。 それでいて威厳を保ちたいとなれば関わりを出来るだけ避ける、という選択肢。


ああは言ってはいたもののやはり自身の姿や"若さ"に対するコンプレックスは多少あるのだろう。

俺はそれ以上突っ込まず「そうか」と一言添え話題を変えた。


「なあ、俺はこの国・・・、というか世界の事を良く知らないがそれでもその治安維持組織に入れるのか?」

「さっきも少し言ったけど人手が欲しい。後は私があなたのその無謀な所や変な度胸がある所を気に入ったから。 これ以上は特に無い」

「本当にそれだけなのか」

「しつこい、それだけ。でもその疑り深い所も何かしら役に立つかも」


まあ元が警察だ。と伝われば楽なのだが。

というかそもそもしっかりと素性も分からない相手について行くのだから普通に疑い深くもなる。


「"カンデラ"まで着くのに大体今日含め二日はかかる。その間聞きたいこと聞けるけど・・・、あなたには小さな子供に話すレベルで最初から話さないとダメそうかな」

「悪かったな」

「暇はしなさそうだから気にする必要は無い。ただ、たまにはあなたの話も聞かせてもらおうかな」


こうして長くも短い、"カンデラ"への道のりが始まった。


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