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異世界公安第六課 異能特殊事件対策係   作者: 一二三 イロハ
プロトタイプ
3/10

2

とある民家の一室で俺と少女は2人きりとなった。


話の様子からどうやら、少女は使われていない民家を借り俺を尋問するという内容で許諾を得ている。

これから俺は暴行罪でも切られるのだろうか、剣も火も良いのにか?いや、銃を出したからか。


「さて、あなたには聞きたいことがいくつかあるけど」

「俺も聞きたいことがある」

「成程、けど私が先。なんであんな危険な場所にわざわざ出てきたの?私だけで処理出来ないとでも?」

「俺は警察だ。見て見ぬふりは出来ない」

「けいさつ?」


少女は首を傾げるので、俺は警察手帳を出すのも両腕は拘束されているので顎でスーツの内ポケットを差し、探る様命令した。


言う通りに少女は内ポケットをま探り手帳を取り出しては中を確認するが眉をひそめる。


「これが・・・何?」

「警察手帳だ。この国ではこの形じゃないのか?」

「けい・・・さつ・・・」


やはり理解出来ていない。そんな様子だ。


「俺から質問したい」

「ダメ。あなたがどんな身分なのかは今審議出来ないから質問を変える」

「わがままだな」

「あなた名前は?」

「その手帳にも書いてる。"東雲 爻(しののめ こう)"」

「しののめ・・・と書くのか、成程」


文字は読めない、警察も伝わらない。しかし言葉は伝わる。何とも奇妙で仕方が無い。

やっと落ち着いた現状に頭を働かせる余裕が出来たがそれでも理解は追いつかず。


「しののめ」

「呼び捨てかよ」

「今回の騒動を収めてくれたその行動力は良いが、出てきたと思えば無謀な行動、誉められるものでは無い」

「まあそうだな、冷静では無かった」


少女に正論を唱えられるのは何とも情けない。 しかし事実だ。


「それでも事実あいつの行動を止めてくれたことには感謝する。正直私だけでどうするか少し悩んでいた」

「周囲の人間もいたから悩むのは正しい、俺が悪い」

「それだけ理解してるのであればまだ話せる・・・か」

「分かったら拘束をといてくれ」

「出来ない」

「おい、まさか暴行罪でとか言わないよな?あそこは緊急事態だろ、正当防衛だ」

「ぼうこうざい?何か勘違いしてるようだけど、素性の分からないあなたをそのまま『はいどうぞ』と離す訳無い」


素性、俺の住んでいる国とは違うのだから怪しまれないわけもないだろう。 従わないと不利になり得るか、一旦話を聞くことに方向を変える。



「どこの人間だ、少なくともその無防備な服にあの見慣れない武器。ここの人間・・・いやまた違うのか・・・。とりあえず名乗って」

「出身は日本、武器は拳銃だがよく分からない場所で発砲するのも許可も分からなければ状況判断も出来なかったから使わなかった」

「にほん・・・知らないな。武器はけんじゅう・・・銃と言えばのあの銃か?見せて」


少女は腰に付けたホルスターに手を掛けようとするが咄嗟に腰を振るい少女の手を避けた。 その行動に少女は腰から短剣を取り出して俺の喉元に刃先を突き付け言う。


「何の真似?」

「他の人間に触れさせないのが鉄則だ。かなり厳重にズボンに付けられてるから取り外せないしな」

「触られたくないと」

「ああ、俺も君が何者か分からない」

「成程。けれどそれは私も」


互いに一歩も引かぬ状況、どちらか譲歩しなければ蟠りも話も解けない。

強引に何とかしたくなくもないが、拘束されては何も出来ない。 ここは大人らしく折れるか。


「銃は渡せない、拘束を解いてくれれば見せることは出来る。それが出来ないなら他の質問にしろ」


少女は悩みながらも喉元手前の短剣を収める。


「強引に奪えるけど、この1件を収めた人物には違いないからあまり乱暴な事をすれば私の名に傷は付く。 何にせよここの人間では無いことは分かればそれで良い・・・か」

「分かってくれたという事で良いか?」

「とりあえずは」

「なら、俺からの質問いいか?」

「どうぞ」

「あの火を出した男はなんだ」

「最近流行っている薬草の中毒者。情緒も安定していない所を見るに間違いない。私が相手をしていた時から話が噛み合っていなかったし・・・」

「・・・じゃなくて、あの男は?」

「男の素性?ならまあ恐らくある程度の魔法の使い手・・・位しか分からない。 街の人間が言うにはそれなりの手練だと言う話だった」


"魔法"?今この少女はそう言ったのか。


「そもそも私もここの人間では無いからして、あまりこの話に首を突っ込むつもりも無いけど、一応精鋭の警護として名前もそれなりにある分無視も出来ない」

「ちょっと待ってくれ、"魔法"?」


引っかかったその言葉を口にすると少女はまたも不思議そうな顔をする。 まるでありえないとでも言いたげな顔だった。


「"魔法"も知らない?」

「そんな物信じろって?」


互いの食い違いに対する確信を得た、2人してその場は硬直し静かな空気が流れる。


「惚けてる・・・とかふざけてる様には見えないんだけど・・・、本当に知らないの?他国・・・というレベルでは無くなる話だけど」

「ここは本当になんなんだ」


少女は腰に付けたポーチから折り畳まれた紙を取り出して目の前に広げ見せてくれた。

それはまるで世界地図にも見えるが、明らかに自身の知る世界の地形では無かった。


「これがある程度記録として書かれた世界地図。どこから来たか分かる?」


「何なんだこれ」と声は漏れ出る。これは夢なのか?

俺は咄嗟に近くの壁に頭をゴツゴツと叩きつける。

血が出る程に叩きつけていると少女は必死に止めに入って来た。


「待て待て!何してる?!まさかあなたも薬草使ってるの?」

「夢じゃない・・・のか?」


ズキズキとした痛みは頭に響く。夢じゃないのか?

地図を見て確信した訳では無い、だが違和感と不思議な世界に否定し切れない事実に対する追い討ち、いっそ夢であれと願えばの行動だった。


「ここで無闇に暴れれば本格的に拘束しなければならない。言いたいことは分かる?」


少女は冷静にそう俺に諭した。勿論その通りだ、取り乱してどうこうなるとも思っていないが今これをしなければどうにかなりそうだった。


「すまない、取り乱した。受け入れる、ここは俺の知る場所じゃない」

「でしょうね」と少女は頷く。 やはりからかっている風には見えない。

黙り込みしばらく考えていると、混乱する俺を気遣ってなのか少女は自ら語る。


「私の名は"ニコ・トーチ"」

「急に?」

「名を名乗らせて名乗らないのは無礼だった。どうやら状況は飲み込めていないのはあなたもだったというのは配慮に欠けている。 質問したい事があるって話だったけど、私ばかり聞いても何も分からないでしょ、聞いてあげるから落ち着きなさい」


正直言えば聞きたいことは山ほどあるが、聞いた事で何か変わるとも思えない。 それならば現状を理解する以外無いと思った。


「とりあえず、今俺がいるこの地が自分の生まれ生きた世界とは違うと理解した・・・。いや理解出来てないか、聞いていいんだな?」

「どうぞ」

「この国では人はどう生きる」

「難しい事を聞く」

「じゃあもっとシンプルにどうやって生計を立てるんだ?」

「それならまだ答えやすい。人によるけど大抵はモンスターを倒して生計を立てている。ほとんどの職業がそれらに関わりのある職業と言えば具体性に欠けるが、大筋は伝わるかな?」


"モンスター"・・・。益々嘘のような漫画の話になってきた。

これ以上に質問する事が無いほどに自分の生きていた世界とはかけ離れ過ぎている、ある意味質問した所でこれ以上無意味であると判断せざる得ない。


何故俺がこんな場所に落とされたのか、それに理由があるのか・・・。

頭を抱える俺にニコと名乗る少女は言う。


「もしかして職がない?」

「警・・・いや、君の話が本当ならきっと警察も無いんだろう、無職には違いない」

「成程、傷心の所でこう言うのも無作法だけど、実はあなたの素性を知りたかった理由があって」


改まった様子で少女は短剣を取り出し、両腕に巻かれた縄を切り、拘束は解かれる。


「実はあなたの無謀にも突っ込んでは、武器を収めその拳一つで男をのした力強さと度胸を個人的に買っていて、今度私が作ろうとしている組織に入れたいと思っている。

根拠の無い一目惚れだけど」

「部隊?一目惚れ?」

「大都市"カンデラ"で治安維持組織を作りたい、仲間にならないか?」

「治安維持組織?」


治安維持・・・。と言うとつまり、"警察"?

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